三文オペラ おまけ『水の上の歌』〜Op159


「おかえりなさい」
 扉が開いた瞬間、八戒は悟浄に抱きつき口づける。
 一週間という空いてしまった時を埋めるように深く深く……。
 そのまま悟浄を求めるように自分の体重を悟浄に預ける。
 そんな八戒に悟浄は苦笑する。
「おいおい……シャワーぐらい浴びさせてくれよ」
 悟浄の言葉を聞いても八戒は悟浄を離そうとはせず、尚も抱きしめる力を強くする。
「なら、一緒にはいりましょう、ねv」





 深い口づけを交わしながら八戒は悟浄の服を脱がせていく。
 そして悟浄の唇から離れると、そのまま唇を下へと移していく。
 一層日に焼けた引き締まった筋肉を舌でなぞる。
 すると愛おしい悟浄の香りが伝わってくる。
「そんな寂しかったわけ?」
 お返しとばかりに八戒の服を脱がせながら悟浄はそう言う。
「……寂しかったに決まってるじゃないですか」
「そうだよな、こーんな積極的だし。
 淫乱八戒さんは」
「もう……またそれを……」
 そんなやりとりをしながら二人で小さく笑う。
「さ、風呂入ろうぜ。風邪引いちまうぜ」



「仕事はどうでしたか?」
 悟浄の背中を流しながら八戒はそう問う。
 この一週間で悟浄の体は一層引き締まった様に感じられる。
 自分の体に比べて……断然男らしい。
「んー、まあ何と言っても土木だからさ。
 筋肉痛で毎日ギシギシだったぜ。
 あちーしさーー。
 朝から晩まで働きづめだったし。
 あんま電話出来なくて悪かったな」
 悟浄は一週間を思いだし、苦笑いしながら言う。
 この季節にここまで日焼けしているのだから、かなりだったのだろう。
「いえ、ごくろうさまでした」
 耳元で囁いて、軽く耳たぶに唇を落とす。
 悟浄はそんな八戒の肩を掴み自分の方に引き寄せる。
「そーいや、電話してたとき何かお前の様子おかしかったよなー」
「え?」
 突然の悟浄の言葉に八戒は驚きの声を上げる。
 悟浄からの電話の時といえば……。
 それを思いだし、八戒の顔が赤く染まる。
「あんとき何してた?」
 いやらしい笑いを浮かべながら悟浄は八戒に言う。
 一体あの時八戒が何をしていたか、分かって聞いているのだろう。
「なあ、何してたの?」
「それは……何でもないです!」
 八戒は恥ずかしそうにそう言い顔を背ける。
「ホントに?
 何でもないとは思えないけどなーー」
 尚も虐める様に悟浄は八戒に詰め寄る。
「何でもないです!」
「じゃ、体に聞いてみよっかな。
 ベッドルームでさ」
 そう言い、自分と八戒の体の泡をシャワーでさっと流し、八戒の体を抱き上げる。
「ご……悟浄!」
「今日は離さねえからな、覚悟しとけよ」

「……ええ、ずっと離さないでくださいね」



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