Two Dances 2.Slow Drag Op128

 


 ◆この話は『悪魔のラグ』に収録された『野薔薇』の続編です。まあ、細かい事は気にしないのがポイント★


「八戒、今夜イイだろ?」
 悟浄は八戒の耳元でそっとそう囁いた。
「…………」
 それに対して八戒は小さく俯き、何も答えないまま悟浄から離れていく。
 その行動を悟浄は『肯定』の意味で受け取った…。


 八戒はいつもそうだった。
 どれだけ昼間無関心を装っていても、夜になればいつものように自分を誘う。
「ま、そういうの嫌いじゃないけどね」
 どちらかと言えば好みだ、と悟浄は心の中で付け足した。
 昼間は聖女のように…そして夜は売女のように……。
 そんな女たちを今まで何人か相手にはしてきた。
 それでも、その中でも八戒は特別だった。
 男であるのに、八戒に惹かれている自分がいる……。
 昼間清純ぶっている分だけ…夜汚して、乱してしまいたい。
 

 悟浄の姿が見えなくなってから、八戒は深く溜息を吐いた。
 悟浄に誤解されたまま、もう随分の時が流れた。
 早く本当の事を言ってしまえば良かったのかもしれない。
 でも…躊躇っている間に関係だけがすすんでしまい、もう…もう何も言えない状態になってしまいった。
 今では悟浄だけでなく……。
「………………」
 八戒はそっと三蔵の後ろ姿を見ると、また俯いて溜息を吐いた。


「なあ、三蔵。今晩暇か?」
「なんだ?いきなり」
 突然そう声を掛けてくる悟浄に三蔵はそう言葉を返す。
「イイ想い…お前にもさせてやろうか?」

 

「失礼します……」
 指定された時間に、悟浄の部屋を訊ねた八戒はその扉の中の光景に固まった。
「さ…三蔵…どうしてここに……」
 今日は一人部屋を四つ取った。
 だからここには悟浄しかいないはずだ。
 それなのに、その部屋に三蔵の姿が……。
「驚く事はないだろ?
 三蔵とも『そういう関係』なんだろ?」
 まあ俺は驚いたがな、と悟浄は笑いながら付け加える。
「悟浄……三蔵……」
 二人の男の視線から逃れるように八戒は後ずさる。
 扉を開けて部屋から飛び出してしまいたかったが、ノブに伸ばそうとする右手を左手に押さえ込まれてしまう。
「そんなトコにいつまでも突っ立ってないで中入れよ。
 早く始めたいだろ?
 そうだ、せっかくだからサルも誘ってやろうぜ」
「え…待って下さい…」
 当然悟浄の言い出した事に八戒は慌てて声を上げる。
「もしかしてサルもとっくに手だしてるとか?」
 そう悟浄は笑いながら部屋をでる。
 向かう先は悟空の部屋だろう……。
「あ…あの、三蔵……」
 このまま、悟空にまで誤解されたくない…。
 せめて三蔵にだけでも本当の事を話して理解して貰いたい。
 悟浄が悟空をつれて来るよりも前に……。
 今更何を言っても遅いかもしれないけれど、このまま誤解されるよりは……。
「大した淫乱っぷりだな。相手は誰でもいいのか?」
 八戒が言うよりも先に三蔵が口を開く。
「違うんです。三蔵…聞いて下さい」
『何を説明しようと言うのですか?
 いいじゃないですか。このまま楽しみましょうよ』
「……あ……や……」
 八戒の左手が自由を奪い動き始める。
 ベッドに腰を掛ける三蔵を押し倒すようにのし掛かり、倒れ込んだ三蔵の中心に八戒の左手が伸ばされる。
「何が違うんだ?
 大人しそうな顔して大胆だよな、お前は」
 あざ笑うかの様に三蔵は八戒を見上げた。


「なんだ、もう始めてんの?」
 そんな状態で部屋の扉が開かれ、悟浄と悟空が姿をみせる。
「悟空……」
「へ〜、ホントに八戒って好き者だったんだ〜」
「な、俺の言った通りだろ。
 お前もサせて貰えよ」
 八戒の気持ちなど知らない悟浄と悟空はお互い勝手な事を言い合う。
 …何故、そこまで言われなくてはならないのだろうか…。
『アナタはホントに愛されてますね』
 清一色の声が頭の中に響く。
 それと同時に三蔵に伸ばされていた手が今度は悟空に伸ばされる。
「八戒って意外と大胆だね」

 

「ん…やめて下さい……あ…や……」
 掠れる声で訴えられる言葉は誰も本気とは思わない。
 誰も信じない……。
「じゃあ、俺最初に入れていい?」
 いつもの様に明るい悟空の声…。
 そんな明るい声の後に、悟空のモノが八戒の中に無理矢理押し入って来る。
 その苦しさに大きく開いた口に、今度は三蔵のモノが入ってくる……。
「舌も仕えよ…」
「じゃあ、仕方がないから俺は手でいいから、シテよ」
 悟浄のそう言い、八戒の手に自分のモノを握らせる。
「…ん……んん……」
 全身にかかる熱と苦しさに意識が遠のきそうだった…。
 そんな八戒の頭の中で楽しそうに笑う清一色の声 ……。
『本当に人気者ですね。
 みんなアナタを求めていますよ。
 …我も楽しませてもらいましょうかね』
 清一色の声に、八戒の左手は自分の中心へと伸ばされる。
 すでに反応を示し始めていた八戒のモノは一気にその熱を高めていった……。

「さ、交代するか」
「………………」

 長い夜は…まだまだ始まったばかり……

 

 

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