サマータイム Op113



 ーーーーーー その日は朝から暑かった By悟浄


 だから俺はサルを連れてプールに出かけた。
 近くの安っぽいプールではあったが、それなりにビキニのねーちゃんもハイレグねーちゃんも発掘する事が出来た。
 採点的にはまあまあ、上々ってトコだろうか。
 サルも(三蔵の金で)屋台を端から端まで食べ尽くしてご満悦という感じだ。
 夕立には降られたが、そのおかげか随分涼しくなったし。
 これで風呂でも浴びて冷たいビールでも煽って寝たら気持ちいいだろう。
 そんな事を考えながら家へと戻った。
 (家と言っても自分の家では無く、旅の途中で足止め食らってる間借りてる借家だ。
 足止め中とはいえ、こんな遊んでていいのかねえ〜)


 家に戻ると…熱帯だった。
「暑っ……」
 と、いうのも別に気温の問題ではない。
 何が暑いって……三蔵と八戒だ。
 この二人がコソコソと付き合っていたのは知っていた。
 そう言う事に関して俺の目は鋭いからな。
 しかし、今は今までに比べてラブラブ1.5倍(当社比)って感じだ。
 何があったんだ…。
 っつーか一発ヤッただろうという勢いのラブラブ具合ではないか…。
 マジ暑い……。
「おかえりなさい、悟浄・悟空。
 プールは楽しかったですか?」
「う…うん。楽しかったよ」
 ニコニコと声を掛ける八戒の腰には三蔵サマの手。
 おまけにコッチを睨んでらっさる…。
 さすがに鈍いサルだって、三蔵サマのガン付けに気づいてかいつもの様に八戒に飛びついたりしない。
 そりゃ、賢明な判断だな。


 今まで俺はラブラブには広い目で見てきた。
 仲むつまじい二人に文句をつけるなんて、もてない男のひがみだと言ってきた。
 しかし、少し考えを変えた。
 端から見たら迷惑かもしんないと…。
 この空気…耐えれんな…。
 四人で食事をしていると言うのに、約二名別世界に居るんすけど。
 三蔵は八戒しか見てないし、八戒も三蔵しか見てない。
 いわば二人の世界に入り込んでいるのだ。
 そら二人はいいかもしんないがな。
 ここに残された俺らはどーすんだ。
 …クーラー入れても暑いし…。
 そんなに飯食ってねえけど、もう腹いっぱい。ごちそうさまって感じだ。
 さすがの食欲魔神のサルでさえ、しかめっ面しながらご飯を飲み込んでいる。
 これはさすがに参るなあ……。
「おい、サル。部屋行こうぜ」
 とりあえず飯を済ませると悟空にそう言い、早々にラブラブ光線の当たらない所へ逃げた。


「ああ…涼しい…」
 部屋にはクーラー入っていないのだから、どう考えてもダイニングより暑いのは当たり前なのだが…何故だか涼しく感じるなあ…。何故だろう…はは。
 横にいるサルを見ると、ほっと一息を吐き項垂れている。
 マジたまらんわ…。
 これから先の旅はどうなる事やら。
 こんな新婚と一緒でやってけるんか?
「今日は早くねるぞ」
「おう!」
 暑くても布団をかぶって…。
 決して隣の音が…聞こえないように…。

 嗚呼…隣はいつでも熱帯夜……


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