禁じられた遊び Op103


 ※この話はもしもボックス(笑)による『三蔵と八戒が一緒に暮らしている世界』を覗いたモノです。
 やたらと新婚モード全開であったり、三蔵が大変クソ甘い人間になっているカモしれませんが、それはただの『もしも副作用』ですのでさらりとお読み流しください。



「行く当てはあるのか?」
 寺の門の前で三蔵は八戒にそう言う。
「いえ、しばらくは近くの街にでも落ち着いて、それから旅にでも出ようかと思います。
 色々とありがとうございました」
 八戒は小さく頭を下げると荷物を持ち門から出る。
 しかし直ぐに振り返る。
「…三蔵?」
 三蔵の手が八戒の服の端を掴んでいたからだ。
 困惑する八戒の腕を掴み自分の方へと引き寄せる。
「行く所が無いのならココに居ろ。
 何処へも行くな…」
「三蔵…でも僕は貴方の側に居られるような人間じゃありません」
「そんな事関係ない」
 そう言い八戒の躰を抱きしめる。
 八戒は慌てながらもゆっくりと三蔵に躰を預ける。
「貴方の側に居ていいんですか?」
「ああ、それ以外は許さん」

 それはまるでベタな恋愛ドラマのプロポーズシーンの様だった…。
 のちに悟空はそう語る。
 ……いや、間違ってはいない……。



 その後八戒は寺の端に建てられたはなれで生活している。
 そして勿論三蔵も一緒に…。

「ん……良い天気ですね…」
 八戒はカーテンを開けながらそう言う。
 三蔵はもう目を覚まして、ベッドに横になったまま新聞を読んでいた。
「今朝食の準備しますね」
 三蔵に向かってそう微笑むと台所へと向かう。
 精進料理が好きでない三蔵の食事はいつも八戒が作る。
 ココには肉も魚も煙草もお酒もそろっている。
 …ほんとはいけない事だけど。
 しかしココには治外法権でも有るかのように誰も何も言っては来ない。
 言えないとも言うが…。
「今日もご飯ふっくら炊けてますね〜」
 炊飯器の蓋を開けるとお米の炊けた良い香りが広がる。
 八戒は嬉しそうにそれをかき混ぜる。
 基本的に三蔵は朝は和食を食べる。
 ふっくらと美味しいお米は一日の始まりの中で最も重要だろう。
 それからおみそ汁を作り、卵を焼く。
「今日のおかずはししゃもにしよう」
 冷蔵庫からししゃもを取りだして、さっと焼く。
「あ、三蔵ちょうど朝ご飯できましたよ」
 ちょうどご飯が出来上がる頃三蔵がダイニングに顔を見せる。
 三蔵は何故かいつも見計らったかのように良いタイミングで現れる。
 あまりにタイミングが良すぎて、本当はどこかで見張っているんでは無いかとさえ思えてしまう。
「はい、三蔵」
 炊きたてのご飯をお茶碗によそって三蔵に手渡す。
 三蔵は黙ってそれを受け取る。
 三蔵が食べ始めるのを確認してから八戒も朝食に手をつける。
 特に会話は無く静かだけど、そんな時間は決して嫌いではない。
 こんな朝の落ち着いた時間が好きだ…。

「今日の帰りはいつも通りですか?」
「ああ。特に遅くなる予定はない」
「何か夕飯食べたいものありますか?」
「……アジが食いたいな」
「分かりました。良いアジ探して来ますね」
 毎朝変わらず繰り返される会話。
 それでも飽きることはない。
「いってらしゃい」
「ああ」
「え…んん」
 出かける三蔵を見送ろうとして近づいた八戒の腕を掴むと、掠めるように口づける。
 そして、行ってくると言いそのまま出かけていく。
「もう……」
 三蔵の背中を見送りながら八戒はため息を吐く。
 でもその顔は幸せそうだった。

 特に仕事をしているわけでもないので、三蔵の出かけてから八戒は家の中で過ごしている。
 掃除をしたり洗濯をしたり…。
 たまに悟空が尋ねてくる事もある。
 あとは買い物に行って夕飯の支度をして…三蔵の帰りを待つ。

「三蔵、お帰りなさい」
 かならず毎日玄関まで迎えに行ってそう言う。
 それだけは欠かさないようにしたかった。
「夕飯もうすぐ出来上がりますから少し待っててくださいね」
「…待てないな」
「え……?」
 いきなり三蔵は八戒を壁に押し付け強く口づける。
「ちょっと…三蔵、どうしたんですか?」
「たまにはこういうのもいいだろ?」
 耳元で囁く三蔵に八戒は小さく笑う。
「『たまに』ですか?」
 こんな事がついこの間も有ったんではないか…と八戒は少し意地悪な顔をして三蔵に言う。
「気にするな。嫌なのか?」
「嫌なわけ無いじゃないですか」
 八戒は笑って三蔵に口づけた。


「あ……さんぞ……」
 壁に押し当てられたまま八戒が甘い声を漏らす。
 その足下には八戒の着衣が落とされている。
 玄関の明るい電灯の下で一糸纏わぬ状態で三蔵に縋る。
 もう恥ずかしいなどと言う言葉はどこかに行ってしまった。
 それぐらいに八戒は三蔵の与える熱に浮かされていた。
「どうした?俺が居ない間そんなに寂しかったか?」
「ええ…寂しいです。
 もう一時も離れたくない。
 貴方の側に居たいんです」
 深く甘い口づけを交わしながら、八戒は三蔵の服に手をかけ少しずつ脱がせていく。
 そして三蔵の唇から自分の唇を離し下へとずらしていく。
 三蔵の無駄のない引き締まった躰を唇でなぞる。
「いつだって、何処にも行かないでって我が儘を言ってしまいそうになるんです」
 八戒は三蔵の中心をそっと手の平でくるみ口内へと導く。
 そして舌を這わせ、三蔵の熱を高めていく。
「…お前がそれを望むなら、そう言えばいい」
「……いえ、それは言ってはいけないんです。望んではいけない…だから望みません。
 ですからせめて…今だけでも誰も寄れないぐらい近くに来て下さい。離れられない位…」
 八戒は熱を持った三蔵のモノを自分の秘部へと導く。
「お前の望みは叶えてやるよ…なんでもお前が望むならな」
 八戒の躰を支え一気に奥へと進める。
「あぁ…三蔵……。
 もっと……もっと奥まで…来て下さい……」
「八戒…お前を愛してる…」
 腰を掴むと更に置くまで躰を重ねる。
「ん…あ…僕も愛してます…。
 貴方だけを…いつでも……」


 寺の端に建てられたちいさな離れ…。
 其処は禁断の地。
 誰も踏み入れてはならない……。



Op101〜Op120に戻る