Canzonetta Op102
長い旅の途中で立ち寄った小さな温泉街。
「せっかくですから、今日は温泉で疲れをとりましょうよ」
そんな意見に反対する者もおらず、今日の宿は温泉宿となった。
……そこまでは別に普通の話であるが。
「でコレは何だ…」
三蔵は眉間に皺を寄せながらそう言う。
「え?家族風呂ですよ」
さらりと言う八戒に三蔵は更に皺を深くする。
「誰が家族だ…」
「まあ、そうですけど」
確かにいい年した男四人で『家族』というのもどうかと思うが。
「せっかくだからゆっくりとお風呂に入りたいじゃないですか。
で、丁度この時間家族風呂の予約が取れたんですよ。
この機会にスキンシップを深めるのもいいじゃないですか」
「スキンシップ…な…」
……数分後、八戒はこの言葉を激しく後悔するのであった。
「わーい、温泉ー」
「ちょっと悟空。
入る前に体を洗ってください」
元気よくそのまま入ろうとする悟空を捕まえてそう言う。
悟空は『ごめんなさい』と言ってから八戒を見て、えへへっと笑う。
「ねー八戒、洗って〜」
そして八戒に甘えた口調でそう言う。
「仕方がありませんね」
八戒は小さく笑いタオルに石けんを付けて泡立てる。
ゴシゴシと背中を洗う八戒に悟空は嬉しそうに笑う。
そんな微笑ましい光景はまさに家族風呂といった感じだ。
悟浄と三蔵はやや呆れる様にそれを見ながら、各々躰を流し湯船につかる。
「はい、洗えましたよ」
そう言い肩からお湯を流し泡を落とす。
「ありがとー、お礼に俺も八戒の躰洗ってやるよ」
「それは嬉しいですね〜」
悟空はウキウキと八戒から石けんの付いたタオルを受け取る。
そしてゴシゴシと背中を擦るが、ふとその手を止める。
「どうかしましたか?」
「八戒の肌ってさ…すべすべしてるな」
悟空はそう言いながら八戒の肌をさする。
「それに白いし…。
…結構肩も細いんだー」
八戒の背中から腕を回し抱きしめる。
その様子に、今まで呆れて見ていた二人に焦りの表情が見える。
「ちょっと…悟空…」
「八戒痩せたんじゃない?
メシちゃんと食ってる?」
話している内容はさほどおかしい物でもないのだが…なんといっても話ている体勢がおかしい。
抱きしめる悟空がいつまでも離さない事に八戒も慌て始める。
「悟空離して下さいよ…」
「え?なんで。
こうしてると気持ちいいじゃん」
悟空は平然とそう返す。
悟空相手では振り払う訳にもいかず、八戒は困りながらも悟空の腕の中でじっとする。
「悟空、八戒が困ってんだろ。
離してやれよ」
それに見かねた悟浄が口をはさむ。
「いーじゃん」
悟空は悟浄を見てそう言うが、睨み付けてくる悟浄に諦めて渋々と手を離す。
やっと解放され八戒はほっと息をつき悟浄を見る。
悟浄がいて良かった…と。
「お前そう言うのは好きな女にやれよ」
「じゃあ、いーじゃん。
俺、八戒の事が好きだもん」
さらりとそう言う悟空に悟浄も頭をなやませる。
「そういう意味じゃなくてなあ…」
あまり恋愛に興味のなさそうな悟空に『好き』の違いを説明するのは難しいだろう。
どう説明をしたら良い物やら…。
「お前八戒の事抱きたいのか?」
説明するのが面倒になったのか悟浄は直接的に悟空に聞く。
その言葉に八戒が何かを言うより先に悟空は大きな声で『うん』と言う。
「……お前『抱く』って分かってるか?
抱きしめるって事じゃねえぞ」
「分かってる!
俺、八戒とセックスしたい」
……………………。
その瞬間時が止まった。
三人とも呆然と悟空を見る。
一番先に我に返ったのは八戒だった。
「だからイイだろ」
といい再び抱きしめる悟空の感触で…。
それに少し遅れて二人が我に返る。
「いいわけね〜だろ」
悟浄は慌てて湯船から出ると悟空の腕を持ち八戒から剥がす。
「悟浄…ありがとうござ……」
「誰がてめーにやるか。
八戒は俺のモンなんだよ」
お礼の途中で悟浄から発せられた言葉に八戒は再び固まった…。
「悟浄…?」
そう呼びかける八戒に構わず二人は言い争いを続ける。
「いつ八戒が悟浄の物になったんだよ」
「てめーが知らねえだけで八戒はずっと俺の物なんだよ」
「ずりーよー」
いつの間に自分は悟浄の物になったのだろう、という基本的疑問さえ挟む隙がない。
一体何が起こって居るというのだろう…まったく…。
「あの…」
「じゃあ一回ぐらい八戒貸してよ」
「…お前には勿体ねえよ。
まあお子様はそこで黙って見てなって」
「え………?」
貸す?…何を…?
見る?…何を…?
そんな事を考えている間に八戒は悟浄の腕に抱かれ、押し倒される。
「え…ごじょ……ちょっと。
……三蔵、黙って見てないで何とかしてください」
八戒は慌てて視界の端に映る三蔵に助けを求める。
三蔵はやれやれと言いながら近づき…そして
「スキンシップを深めるんだったな…」
「……………」
三蔵から発せられた言葉に八戒は『何とか』はそう言う意味じゃない…と思った。
「や…ほんと…やめてください…」
八戒は涙目になりながら三人にそう訴える。
しかし誰もその言葉を受け入れようとはしない。
それぞれ好きなように八戒の躰をまさぐる。
「八戒の肌ってやっぱりスベスベして気持ちいい〜。
それに八戒って感じやすいんだー」
悟空はそう言いながら八戒の胸の突起を口に含む。
「そりゃ俺が仕込んだからな」
「ちが…ん…ぐっ……」
腰の辺りをまさぐりながら言う悟浄に反論しようと大きく開けた八戒の口に三蔵のモノが押し込められる。
突然の事に八戒は苦しそうに声を上げる。
「あ、三蔵ずりー」
「あ?なら後でして貰えばいいだろう」
さらりとそう言う三蔵に悟空はぶーたれながらも渋々納得する。
「で、誰からヤルわけ?」
「年の順だろ」
「えー、若い順?」
「んなわけねーだろ」
「ココは平等にじゃんけんだな」
当の本人である八戒を除いて三人は勝手に話を進め、じゃんけんまで始める。
「わーい、俺の勝ちー。
いっちばーん」
じゃんけんで勝った悟空は嬉しそうに良いながら八戒の腰を掴み高く持ち上げる。
「しゃーねーな、俺はとりあえず上の口で我慢すか」
悟浄はそう言い八戒の口を大きく開かせ己のモノを銜えさせる。
「……時計回りな……」
残った三蔵は小さくそう呟き八戒の中心に手を伸ばす。
各々自分のポジションに着くとそれぞれ勝手に始める。
「ん…んん……ん…」
苦しそうに呻く八戒の事などお構いなしに……。
そうして時は過ぎていく……。
そして……
最後に発せられた八戒の言葉に三人は凍り付いた…
-------------------このままで済むなんて…思わないでくださいね……
「八戒、好きなおかずやろうか?」
「八戒、まだ酒飲むなら取るが…」
「八戒、マッサージしてやろうか?」
その後必死に八戒の機嫌を取る三人の姿があった…。
おいたはほどほどに……
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