浮き雲 Op100 三話
「どういう事なんですか?」
ベッドに押し付けられ悟浄を見上げる。
予想をしていなかった訳ではない。
でもあえて悟浄の口から聞くために八戒はそう言った。
「この体勢でする事って言ったら決まってるだろ。
イイ事しようかと思ってさ」
悟浄はそう言いながら八戒の首筋に顔を埋め軽く吸い上げる。
「もー、今日は僕に楽をさせてくれるんじゃ無かったんですか?」
「ん。だから八戒は何にもしなくていいよ」
「はい?」
悟浄の言っている事の意味が分からず八戒は一瞬動きを止める。
その間にも悟浄は八戒の衣服を器用に脱がしていく。
「え…え…?…ちょっと悟浄……」
「だから今日の八戒はマグロ状態でイイって事。
まな板の上の魚は俺が美味しく調理してやるよ」
「何ですか、ソレは…。ちょっ…ん…んん…」
何か反論しようとする八戒の唇を自分の唇で塞ぐ。
八戒は両手で必死に悟浄を押し返そうとするが、口づけが深く甘くなって行くに連れて腕の力が抜けていく。
「ま、ちゃんと八戒の事気持ちよくしてやるから」
潤んだ瞳で睨み上げる八戒のまぶたにそっと唇を当てる。
そして額、頬、耳の後ろなどに順番に唇を落としながら手の平を胸元へと滑らせる。
諦めたのか八戒は力を抜き悟浄の愛撫に身を任せる。
「ん…んん……」
少しずつ八戒の躰に熱が籠もっていくのが、薄いピンクに染まっていく肌と甘くなる声で分かる。
ゆっくりと下降していく唇が胸の突起で止まる。
その周りを舌でゆっくりとなぞるようにしてから口に含む。
「あ…ごじょ……」
そして手を下肢へとのばす。
少し反応を示していた其処は悟浄の手の中で更に熱を持つ。
その熱をゆっくりと高めるように悟浄はそっと手を動かす。
「ん…あぁ……」
緩やかなその動きではだんだんと物足りなくなる。
強い刺激を躰が求め始め八戒の腰がわずかに動き始める。
「や…悟浄……」
「どうした?もう我慢できないのか?」
からかうような悟浄の口調に八戒は恥ずかしそうに悟浄の肩に顔を埋め小さく頷く。
「仕方がねーなー」
悟浄は軽く笑い、八戒の中心から先走りの液体をすくい取るとソレをその奥の蕾に塗りつける。
そしてゆっくりと指を差し込み広げて行く。
「や…あっ…ごじょ……もういいですから…はやく来て下さい…」
悟浄の背中に腕を回し耳元で囁く。
「いいのか?」
「…ん…早く……」
その言葉に悟浄は八戒の足を掴み大きく左右に開かせる。
「ちから…抜いてろよ」
ズボンの前をくつろげ自信を取り出し押し当て、ゆっくりとその身を進ませる。
「あぁ……んん……」
「大丈夫か?」
「……はい…大丈夫です……」
お湯で濡らしたタオルで躰を拭く悟浄に八戒はまだどこか虚ろな目で答える。
「怒ってるか?」
少し八戒の様子を伺う様にそう尋ねる。
それに対して八戒はにっこりと微笑む。
「怒ってませんよ。ただ一つお願いしてもいいですか?
母の日、あと半日延長して欲しいんですけど」
「…え…ソレって……」
八戒は笑うだけでそれ以上は何も答えなかった。
半日=炊事洗濯のみもう一度…。と言うことだろう。
笑い続ける八戒に悟浄も引きつりながらもつられる様に笑顔を返した…。
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