八戒お誕生日企画(悟浄編)
「ただいま」
と、悟浄が帰ってきたのは9月20日のPM11:30。
「おかえりなさい。今日は早いんですね。どうしたんですか?」
「ん、別に」
しかし、早く帰ってきた割には悟浄は酔っている。
これはかなりのハイペースで飲んできたということだ。
そんなことは今までには一度もなかった。
別になんでもない、という訳ではなさそうだ。
「お風呂わいてますよ。入ってきたらどうですか?」
「…え…でも…」
珍しく悟浄がごねる。
「入らないんですか?いつも帰ってきたらすぐに入るのに」
八戒が悟浄の行動をあやしく思う。
「ん…入ってくるよ」
何かをごまかすように、悟浄はそそくさとお風呂へ行った。
───── 5分後。
「悟浄、もう出たんですか?」
あぁ。いい湯だったぜ…」
「…でも…まだ5分しかたってませんよ」
……あやしい。
悟浄は別に長湯な方ではないが、それでも5分というのは短すぎるだろう。
いかにもあわてて入ってきたという感じだ。
そのあとも悟浄はソワソワと落ち着かない様子である。
「……悟浄、……本当にどうしたんですか?」
「……八戒……」
のぞき込んだ八戒の肩をつかむと深く口付ける。
何度も角度を変え唇をあわす。
肩をつかんでいた手を離すと、お互いの手を絡める。
「……悟浄……?」
長い口付けから唇が離れたとき、八戒は自分の左手の薬指に指輪がはまっているのに気付く。
「……これは…」
悟浄の瞳と同じ色をした真っ赤なルビー。
「ハッピーバースディ 八戒」
八戒が時計を見ると針は12時をさしていた。
日付が変わり、9月21日。八戒の誕生日。
「何をやろうかずっと考えてたんだけどさ…。
これで、俺と離れているときだって…一緒だろ?」
ま、極力離れねぇようにしてるけどな、と笑う。
「指輪を渡すのって結構勇気いるな。勢いづけるのにかなり酒に頼っちまったぜ………八戒?」
八戒がうつむいて………かすかにふるえている。
上げられた顔にはうっすら涙。
「ありがとうございます、悟浄」
そして再び交わされる長く深い口付け。
───── 僕を戒める赤い瞳。
その戒めがあるから、僕は生きていくことが出来る。
END
悟浄編です。
三蔵サマと対照的に日付が変わった瞬間です。
ちょっと悟浄に、たまにはカッコイイトコ見せてもらおうと思ったのですが……カッコイイ?
さ…寒い…。