48 STUDIES Op48
6.乱れ牡丹(みだれぼたん)
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最近どうもイライラする……
悟浄は本日何本目になるか分からない煙草に火をつけながらそう思う。
煙草の煙を肺に押し込んでも気分はすっとしない。
ただイライラした気持ちが溜まっていくだけだ。
「……チッ……」
まだそれほど短くなってもいない煙草をギュっと灰皿に押しつける。
悟浄がこんなにもイライラしている理由……
それは八戒そして三蔵が原因であった。
四人が旅を始めてはや数日。
その数日でいろいろ気がついた。
ジープに乗るとき、八戒の隣は必ず隣だとか……
三蔵と八戒が同室な事が多いとか……
……つまり嫉妬である……
しかも三蔵は八戒に特別な想いを持っているように思える……
三蔵が八戒に向ける眼差しは、自分や悟空に対する物とは全く別な物だ。
それに対して八戒が三蔵に返す眼差しも普段は見せない特別な物……
今まで、八戒のそんな特別な微笑みを向けられるのは自分だけだった。
八戒とは三年一緒に暮らした。
その間にただの同居人というラインは超えた。
もちろん肌を合わせた事も何度かある。
だからイラだつのだ……
自分に対してだけ向けられていた微笑みが三蔵に向けられる事が……
……あの微笑みはそこまで特別な物では無かったのか……
それとも……三蔵にも特別な想いを抱いているのか。
……どちらにしても面白くない……
八戒の特別は……自分だけでいい……
今日の宿は珍しく一人部屋が四つだった。
「なあ、八戒。ちょっと話があるから後で俺の部屋に来てくれねえ?」
そう言って俺は八戒を部屋に呼んだ……
一人部屋で八戒を待つ間いろいろと考えた。
でも気持ちが焦るだけで……
「悟浄、入りますよ」
何も考えがまとまらない内にそのときが訪れた。
「どうしたんですか?話って……」
いざ八戒を目の前にして……何を言ったらいいか分からない。
「お前、三蔵の事が好きなの?」
遠回しに話を進めようとしたのに、焦りの余りいきなり核心に迫ってしまう。
「はあ?」
八戒も突然のことにいまいち状況が飲み込めない。
「俺よりも三蔵の方が好きなのかよ」
一度表に出してしまうと、押さえていた気持ちが次々と溢れだしてくる。
八戒の腕を掴むとベッドに引き倒す。
「ちょっと……悟浄?」
悟浄が一体何を言っているのか分からない。
なぜこんな事になっているかも……
「なあ……俺よりも三蔵の方がイイのかよ」
縋るような……眼差し……
「ごじょ…ん……んん…」
突然唇を奪われる。
いつものような軽いキスではない。
相手を深く求める情熱的な口づけだ。
「ん……んん」
悟浄の手が八戒の上着にかけられる。
「……八戒……」
悟浄はそれを勢いよく引き裂く。
「や…ごじょ……」
続いて乱暴にベルトを引く抜きズボンを下着ごと脱がせる。
そして八戒の白い肌に舌を這わせる。
「…や……あ……やめ…」
悟浄は胸のあたりを集中的に責め立てる。
そして右手を下ろし八戒の中心をそっと掴む。
「ん……や……悟浄……」
悟浄はゆっくりと手を動かす。
旅に出てから、そういう行為は全くしていなかった為、急速に高められていく。
「…ご…ごじょ……」
八戒の手が悟浄の背中に回される。
悟浄が手を動かすたびに背中に回された指に少しずつ力が籠もる。
「ん……んんん」
悟浄がひときわ強く刺激を与えると八戒は悟浄の背中に強く爪を立て達する。
悟浄は手についた白い液体を八戒の胸に塗り込めていく。
ヌルヌルとした感触が胸のあたりにはい回る。
悟浄はそっと八戒のまだ閉じられた蕾に唇を寄せる。
「や…ごじょ……そんな所……」
舌と指を使って少しずつソコを解していく。
その刺激に八戒の中心が再び反応を示し始める。
決して強くはない焦らすような刺激に八戒はだんだん我慢できなくなる。
「ごじょ……も……して…ください……」
荒く上がった吐息……
薄く色づく頬……
うっすらと開かれた瞳に浮かぶ涙……
どれをとっても官能的だ……
「…ああ……」
悟浄は八戒の瞼に軽く口づける。
八戒の体を背中から持ち上げる。
そして上体を起こした自分の上に下ろす。
「あ……は……あああ…」
八戒の腰を掴みゆっくりと上下させる。
「ん…や……!?」
強い刺激に目を見開く。
その瞬間、八戒の目に映った物……
「な……かがみ……?」
目の前に置かれているのは大きな姿見。
そこには自分たちの今の姿が映される……
後ろから悟浄に体を掴まれ、その身に悟浄を取り込んでいるその部分まで……
「や……やめ……」
八戒はぎゅっと目を瞑る。
「八戒……見ろよ…」
「や…だ……」
いやがって身をよじる八戒の耳元に優しくささやく。
「お前を愛しているのは……俺だ……」
「…………」
目を覚ますとそこは悟浄の腕の中だった。
悟浄はまだ眠っている……
「…僕が愛しているのも……貴方だけなんですよ……」
悟浄が気づかないようにそっと頬に口づけた……
「…八戒…、なんで避けるんだよ〜!」
それからしばらく、恥ずかしさの余り八戒は悟浄を避け続けたのだが……
それは自業自得なのでどうしようもない……
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