作品名 あずみ        
作者名 小山 ゆう
出版社 小学館
発行日 1995.01〜


ストーリー

時は戦国末期、関が原の合戦は東軍・徳川家康の勝利に終わったが、以前豊臣派の旧勢力が残り、また巷では敗戦や大名の取り潰しによってあぶれた浪人たちが徒党を組み「野武せり」と化して村、町を荒らすという秩序がまだ、完全に整わない世の中であった。

敗残した豊臣方の兵の多くは秀頼が成人するのを待ち再度蜂起する夢を持っていたが、 徳川陣営はその芽を ことごとくつみとるべく "計画"を遂行した。
家康のブレーンともいえる高僧 南光坊天海は、
「世の中から権力奪取の夢を見る者を取り除かない限り戦が終わることはない」 と考え、 武術の達人であり戦乱により何よりも尊い者達を
失っていた爺(小幡月斎) に、天下泰平のため、不穏な動きと勢力を
事前に摘み取る−「枝打ち」をする、武術集団を育てることを依頼する。

その目的のために選ばれし10名の子供達を10年かけて育て上げた。 中でも最高の剣の使い手であり、唯一の女性剣士・・・。
それが 「あずみ」である。

厳しい修行を終え、女としてではなく「剣士」としての誇りを胸に広い世界に旅立ち、多くの人達と出会い そして別れ。
「過酷な使命」と「優しさ」の狭間での葛藤に 悩み、涙を流す。

「あずみ」の成長を描く。「女」へ・・・。



個人的感想

こんなにも過酷な運命の少女を描いたコミックスは衝撃でした。
映画になって話題を呼び、コミックスを手にしたのですが、人間としてとても深い部分を考えさせられます。

「何が正しいのか」
みなそれぞれ自分の信念に向かって一生懸命に生きている。
それだけにその信念がすれ違ったときに苦しみはすさまじい。
ずっと修行してきた仲間を殺すことで一人前になるなんて・・・
でも、それが「暗殺集団」

あずみの神がかり的な強さ、そして美しさの光る、人間の業を考えさせられるストーリーです。