| 雷といえば、そういえばもう一つ言い方がありますよね。そう、稲妻です。カミナリ、イカズチときて、まだ言い方があるんですね; |
雷と稲妻、これは同じ意味なのでしょうか?
「そりゃそうだろう」、僕はそう思ったのですが、どうやらちょっと違うようです。
と言っても、そういう研究の文献も本もなにももってないので、今回も広辞苑が唯一の頼りです。
題して「稲妻で広辞苑を旅しよう♪」 |
ところで、稲妻ってなんか変な言葉だと思いませんか?稲の妻、だなんて。
これ実は、本当に稲のツマだと、昔は思われていたようです。
広辞苑によると、稲妻は
| 「稲の夫(ツマ)」の意。稲の結実の時期に多いところから、これによって稲が実るとされた。(引用−4) |
とあります。
僕の聞いた話だと、雷が落ちたところには稲がよく実るから、稲を実らせるツマだと思われていた、ということでしたが、このことは後で書きますが、どうも違うようです。雷が落ちると地面の電場が変化するからよく実るのかなあ、と思っていたのですが・・・
(雷も漢字の中に田があるから、田んぼと何か関係あるのかなあと思ってたのですが、前回見たとおり関係なかったようですねえ。)
|
この「ツマ」、今でこそ妻として夫婦のうちの女性の方を指すようになっていますが、かつてこの「ツマ」ってのは別に女性を指していたわけではなかったんようです。
広辞苑によると、ツマは「妻」とも「夫」とも書き、
| 結婚している男女間で、互いに相手を呼ぶ称。男女どちらにもいう。また、第三者からいう場合もある。(引用−5) |
とあります。だから、別に稲妻という名前だからといって(もとは稲夫?)稲妻を女性に見立てていたとか、逆に男性に見立てていたとかいうわけではないようですね。(要は稲の配偶者、ってことですね)
|
| でもどちらかいうと、ギリシア神話で大地の豊穣の神ガイアは女性だし、それに地母神信仰なんて世界中にあるし、大地の方が「女性」で、力強くそして大地に「突き刺さる」稲妻の方が「男性」と思われていたのではないかなあと、別に根拠はありませんが、素人考えでそう思えます。 |
| * * * * * |
さて、雷と稲妻が同じ意味なら、当然広辞苑にも雷をひけば「稲妻に同じ」、稲妻をひけば「雷に同じ」と書いてあると想像/期待したのですが、それが書いてないんですよ。「かみなり」と「いかずち」は相互に書いてあるんですけどね。「いなずま」「かみなり」「いかずち」、三つをひいて比べてみますと、
いな‐ずま【稲妻・電】
空中電気の放電する時にひらめく火花。多く屈折して見える。また、それが空に反映したもの。動作の敏速なさま、また瞬時的な速さのたとえに用いる。いなびかり。いなたま。いなつるび。(季・秋) |
かみ‐なり【雷】
1)雲と雲との間、雲と地表との間に生ずる放電現象。また、これに伴う音。積乱雲の内部に発生した電位差によって生ずる。雷雲の生ずる原因によって熱雷・界雷・渦雷などに分ける。いかずち。(季・夏)。
2)雷神。雲の上にいて、虎の皮の褌をしめ太鼓を打ち、へそをとるという。かみなりさま。かみ。なるかみ。(季・夏)
3)口やかましく責めること。がみがみいうこと。また、その人。 |
いかずち【雷】
かみなり。(季・夏) |
| (引用−6) |
となっています。「電」と書いて「いなずま」と読むとは驚きです。さておき、違いをまとめてみると |
(1)現象としての違い
稲妻は「火花」または「それが空に反映したもの」であるのに対し、雷は「放電現象」または「これに伴う音」。つまり稲妻は「光」、雷は「音」ということになります。 |
(2)派生した意味の違い
稲妻は「動作が敏速なさま」。そういえば「彼は稲妻のように走り去った」というようには使えても、「彼は雷のように走り去った」とは言わないですね(後者はなんか遅そう;)。
一方雷は「口やかましく責めること」、「父さんの雷が落ちるよ」とは使えても、「父さんの稲妻が落ちるよ」とは言いませんね(後者はなんかきれい?)。つまり稲妻は「速さ」、雷は「エネルギー」と考えることができそうです。
(そういえば、「稲妻シュート」や「稲妻アタック」はあっても「雷シュート」や「雷アタック」はあまり聞きませんねえ。) |
(3)季語としての違い
稲妻は「秋」の季語であるのに対し、雷は「夏」の季語。これはちょっと意外でした。 |
いやあ、ちょっと調べるだけでいろいろわかるものですね。面白いです。もう一度まとめると、
| |
現象 |
派生した意味 |
季節 |
| 稲妻 |
光(火花)(稲光) |
速さ(俊敏なさま) |
秋 |
| 雷 |
音(雷鳴) |
エネルギー |
夏 |
となっているようです。 |
でも、雷か稲妻かどちらがよく使われるかというと、やっぱり雷のようです。雷は雷光、雷鳴、などいろいろありますが、稲妻は稲光だけで稲鳴はないですものね。
やはり雷を自然現象として一般化する方が適切のようです。 |
ところで、稲光、雷光を見ると感動しちゃうということは書きましたが、あの光の筋を見てどうしても「竜(または龍)」を彷彿しちゃうのですが、皆さんはどうでしょう。
「龍の起源は稲光に違いないッ!」
と思って、「竜(りゅう)」をひいてみると、
りゅう【竜】
(慣用音。漢音はリョウ)
1)想像上の動物。たつ。
イ)〔仏〕(梵語 naga) インド神話で、蛇を神格化した人面蛇身の半神。大海や地底に住し、雲雨を自在に支配する力を持つとされる。仏教では古くから仏伝に現れ、また仏法守護の天竜八部衆の一とされた。
ロ)中国で、神霊視される鱗虫の長。鳳(ホウ)・麟(リン)・亀(キ)とともに四瑞の一。よく雲を起し雨を呼ぶという。
ハ)ドラゴンのこと。
(注:イ)のnagaの、一つ目のaは正確にはaの上に−が付きます。表示できなくてさ;) |
| (引用−7) |
とだけあって、雷のことは一言もないんです。まあ、イ)の「雲雨を自在に支配する力を持つ」やロ)の「雲を起し雨を呼ぶ」は近いかな、と思わせてくれますが・・・
|
ちなみに「竜」という字は「龍」の略字で、部首は「竜」(笑)。この「立」を除いた部分は「電」も同じく持っていますが、何か共通点があるのかな?
それから、「籠(かご)」という字は竹かんむりに龍ですが、龍とどういう関係があるんだろう?
よく凧(たこ)に「龍」って書いてあるけど、あれってなぜだろう?フランクリンの凧による雷実験と何か関係あるのかな? |
疑問は尽きませんが、このあたりにしておきます。
でも本当に雷と竜は関係ないのかなあ?? <ちょっと悔しい |