バイオエタノール市場拡大に伴い、小麦の価格が高騰しています。 日本は小麦を9割方輸入している上様々な食材の基本材料なので多くの食材が値上げに踏み切り、この半年間物価が上がり続けています。結果として国内市場確保/農家保護のために据え置かれていた米価よりも小麦単価の方が上がったそうです。 それを受けて米穀パン(米から作るパン)が一部で積極開発されるようになったと聞きました。開発技術そのものは以前からあり一部でも出回っていましたが、米価が下がらないため「高いパン」でした。しかしここまで小麦が上がると米で作る方が安い。もしこのまま小麦高騰が続けば米穀パンの市場が拓け、減反政策に喘ぐ国内農家が活気づくかもしれません。
価格は関税からも大きく影響します。 これまで木材市場は安い海外産に押されていましたが、最近中国やロシアが自国内消費のために関税を引き上げた結果、これまで切っても採算が合わなかった国内産木材が相対的に安くなって、国内林が利用され始めているそうです。 林業の再生は国内林野整備につながります。あるべき「自然との共存」の姿です。
1月に起きた冷凍ギョーザ事件、中国で加工された冷凍食品に毒が混入していた問題は原因不明のまま終わる気配にありますが、不信感は根強く、これを機に中国での加工をやめて国内へ回帰する可能性があります。特に食材についてはありそうですし、期待できます。 もしそうなると、先進国の中でも特に低いとされる自給率が向上します。
どれも楽観的な予想ではありますが、価格高騰が環境へ良い影響をもたらしていると考えることもできます。同時に、適正価格とは何かについても考えさせられます。
すぐそこで作られたものよりもはるか遠くの国で作られたものの方が安いというのは、考えてみればおかしな話です。はるか遠くの国で作られたものの値段には当然輸送費も含まれています、にも関わらず近くのものよりも安いということは、生産コストが極端に安いということ。つまり我々は、その程度の賃金ではるか遠くの国の人たちをこき使う王様集団ということになります。彼らも我々と同じ生活レベル・経済レベルになる権利があるとし、実現すれば、今の価格がいかに極端に「安い」かがわかるでしょう。地元で作られたものが「高い」と感じること自体が、既におかしいことになります。
僕だって物価が上がると生活が苦しいし、多少質が悪くても安い方を選ぶ人です。それに貿易はトレードオフだからこんな単純に割り切れる話でないし、ついでにいえば小麦高騰が需給バランスだけの問題でないこともわかってます。 とはいえ、現在の物価がもっと「高く」ならないと、食の安全保障はもちろん自然環境の持続も追いつかないだろうし、覚悟しておかなくてはいけないんだろうなと、思います。 ついでに言えば、「世界中の人が同水準の生活をする世界が理想」と叫ぶためには、物価のさらなる高騰を積極的に受容しなくてはいけないことになるでしょう。 |