恵方巻
裏
「は〜、美味しかった」 「それは何よりだな」 彩菜手作りの恵方巻を堪能したリョーマは、手塚と共に2階に戻った。 「やっぱり、彩菜さんの料理って美味しいね」 「そこまで褒められると、母親ながら嫉妬してしまいそうだ」 「だって、本当に美味しかったんだもん。あ〜、もっと食べたかったな」 ゴロゴロとベッドに寝転がって、彩菜のに対する賛美を口にするリョーマに、手塚は苛立ちを感じていたが、それと同時にゴロゴロする度に誘うように素肌を晒している姿に、ムクムクと欲望が膨れ上がる。 「あ〜、食べたいな」 手塚の思いに気付かないリョーマは、腹ペコの狼の前にいるプリプリとお尻を振って草原を歩く子羊状態。 「…そんなに食べたいのなら、お前はこれを食べればいい」 「えっ?んぐっ」 いきなり身体を起こされた上、頭を掴まれたリョーマ。 驚きで口を開けたリョーマに、手塚は猛り狂った己の熱塊を突っ込んでいた。 「んぐっ…んっ」 「どうだ?美味いか」 「ぷはっ、俺が食べたいのは太巻き!こっちじゃない!」 どうにか頭にある手を払って、リョーマは熱塊がから口を離し、キッと見上げて文句を言う。 「先ほど美味そうに咥えていたではないか」 醜い嫉妬心から手塚は、リョーマに冷たく接する。 口でする行為も、自分からするのと強制されるのとでは意味が違う。 何で急に意地悪な事をするのかと、涙目になってしまう。 「…何かイジワルだね、国光…」 「お前が母ばかり褒めるからだ」 ポツリと呟いた言葉に己を取り戻した手塚は、済まなかったと誤るが、一度膨らんだ欲望は簡単には治まらない。 「リョーマ…」 先ほどとはうって変わった優しいトーン。 「…仕方ないから、食べてあげる」 お腹はいっぱいにならないけど、気持ち良くなる為にリョーマは、手塚の熱塊を頬張っていた。 これからの節分の夜は、食べられない太巻きを頬張る習慣になりそうだった。 |
T子さんの妄想は私の想像を超えた。
手塚、酷いよ!むしろ、T子さんが酷かった。