テクノネット レポート 2006.12

  

2006年12月14日〜16日 東京ビッグサイトにて開催


 環境問題に対する関心は、いまや社会のあらゆるところに広がっているように見える。産業界においては、作ったものだけでなく、作るプロセスからさらには、ものづくりの姿勢までが、環境との調和を考えなければ時代に入ってきたようである。しかし、環境に問題への対応では、産業界においても、業種によって、あるいは企業によっても、かなりの温度差があるように見える。
 一方、一般市民の環境問題に対する対応も、ここ数年大きく変わってきているように思える。一部の先進的な環境擁護の主張はいまだにあるものの、多くは現在の社会の中でどのように環境との調和を図っていくか、それも無理せずに、過激にもならずというあたりが主流となりつつあるようだ。
 こうした産業界と、一般社会の流れは、環境問題へ関心を持つことをひとつのライフスタイルとして打ち出すまでになっている。
 エコプロダクツという展示会は、こういった世の中の流れをうまく捉えた展示会として発展しつつあるようだ。
 主催は産業環境管理協会と日本経済新聞社。エコマテリアル展とうたってはいるが、あくまでも比重はエコのほうであり、マテリアルではない。この会場の出展企業の多くは、マテリアルについての情報よりも、自らの会社が行っている環境戦略が一般の市民にどう評価されるかを、観測する場所としているようだ。参加者へものを訴えるのではなく、環境への取り組みをどのように訴えるのか。これまでさまざまの展示会があるが、こうした性格の展示会はなかったように思う。それだけに、企業の展示も様々であり、何をどう見るかは、参加者によって相当違うはずである。企業が訴えたいものを、展示会参加者は果たして興味を持ってもらえるのか。その意味での工夫も大変だろうと思う。
 一方、参加者にとってみても、この展示会には何を目的に来場するのか。環境と調和するとはどういうことかを具体的に知りたい、あるいは環境にやさしい生活をはじめてみたいがどうすればいいか、ということであろうか。果たして、これに対して、企業の展示はうまく答えているのかは気にかかるところである。
 その意味でも、この展示会はいままで企業がかかわってきた展示会とは、かなり性格が違う。エコ社会の実現には、これまでの展示会とは違った発展のさせかたを、出展者、参加者が共同してつくりあげていくこともひとつの鍵となるような気がする。(八代啓一)

 大学生もブースを設けて環境に対する姿勢をアピール


  
食はエコの基本                    エコライフは新しいデザインを模索する


  
企業の展示も様々。家電、OA機器、電子機器のメーカーは自社製品が環境対応にどのように取り組んでいるか、規制との対応でわかりやすく表示している(左、カシオのブースでは、欧州の規制への対応が部品ごとに紹介されていた。だが、規制というと、なぜヨーロッパが先行するのか。環境規制も国家戦略に組み込まれているからだ、とする意見もあるが、環境規制に関する考え方が日本とはかなり違うことも事実のようだ。一方、自社の製品、材料をあらためてエコの視点で評価すると、従来材料中でもっとも注目されるのが、リサイクルの優等生である、紙をベースとする材料だ(右)


  

エコプロダクツ展の主役は実は、子供たちである。10年後20年後の地球環境は?
小学校、中学校、高校の生徒たちが見学に訪れるのは頼もしいが、
それに値するだけの環境を私たちは果たして残せるのだろうか。



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