須田国太郎 絵画を読む
後藤純一 著
定価 本体 2,000円+消費税
送料 350円

須田国太郎は明治24年(1891年)に京都に生まれました。 京都帝大で美学・美術史を専攻したあと欧州に遊学し、日本人画家の 多く集まるパリを避け、スペインのマドリッドを拠点と
して4年を過ごしました。
同年代・同郷の梅原龍三郎、安井曽太郎が早くに画壇の寵児となったのに比べ、須田は高い評価を受けながらも、その難解で暗い画風からか、人気の裾野の広がらないまま現在に至っています。都内の数多い美術館で須田の作品を所蔵しているのは竹橋の近代美術館以外に ほとんど見当たりません。しかし、その重厚で幻想的な画面や琥珀にも似た絵肌は日本の絵画では貴重な存在で、魅力的です。
須田の魅力に惹きこまれた著者は、画家須田国太郎の画業を丹念に追い、その背景を探ります。
評伝的な事実を踏まえながらも、描かれた絵画の画面からそのモチーフとその変遷を追うことで須田国太郎という画家の生涯の軌跡をくっきりと浮かびあがらせました。
本書は、画家須田国太郎の評伝ではありませんが、著者は、文献、資料だけでなく、絵が描かれた場所を訪ね、時代と画家の精神の交錯する跡を丹念にたどった労作です。今後、須田について考え、語るためには、本書の存在は大きな意味を持っています。
巻末には、須田国太郎関連文献を掲載しました。
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