
コタ・キナバルからパダス川のラフティング(急流下り)ツアーに参加した。川まで鉄道で行くと聞いたときは、うれしかった。どこの国でも長距離バスや飛行機のなかには旅行者しかいないが、鉄道は地元の人々が利用するため、生活の一部に触れることができる。また自分は乗り物に弱いので、車に比べれば線路の上を走る鉄道はありがたいとも思った。
しかし、鉄道が発車したとたん、その期待はもろくもくずれた。長さわずかに5メートルほどの客車はおんぼろでさびついており上下に激しく揺れた。トイレも床に穴が空いているだけで、「大きな用」をたすことはできなかった。
途中の農場で列車は家が建ち並んでいるところに停車する。窓の外を見るとバス停のような小さな駅が見いだせた。列車はわずか75キロほどの距離を2時間近くかけてボーフォートの街に辿り着いた。ここで乗り換えのため1時間待った。愚か者は乗り物酔いを覚ますため、迷わず街に繰り出した。街の裏手にあるパダス川の氾濫を防ぐため高床式となっている商店が建ち並ぶこの街は、幸いにも自分好みのアジアの田舎街だった。


