特集
      10月3連休の悪天候 その2

2006年10月6日、日本航空795便上海行きの出発が翌日に遅延したことについて、地上勤務職員に対し補償を求める乗客が多く目に付いた。今回の遅延は天候不順によるものであり、航空会社の責任ではないと主張する会社側に対して、乗客たちは航空会社の対応が不備であったことに起因する損害を賠償せよと主張しているのだが、いかがなものだろうか。

たしかに当日の天候は悪かったが、同時刻に出発する全日空、中国東方航空の上海便はその日のうちに出航していた。(もちろん遅延はあったが)また日本航空は「あくまで推測ですが」と前置きはしていたものの、12時30分頃には出航するという説明をしたにも係わらず、12時になってから交替の乗務員が確保できないという理由で出航できないというのはいかがなものかという指摘もあるだろう。しかしながら僕はこれよりひどかったケースをくしくも経験しているため、さほど怒りは感じなかった。

 僕は2年前の2004年、やはり10月の3連休(9日〜11日)ユナイテッド航空を利用して、ハワイへ旅行していた。このときも10月9日、日本に台風22号が上陸し、ハワイ−成田便(ハワイ8日発の2便)が欠航となったため、搭乗客たちは9日、10日にハワイを発つ便に振り替えられた。しかしながら3連休ということもあって、10日の便はすでに予約の段階で満席となっており、さらにその便に欠航便に乗るはずだった乗客が振り替えられたため、この日は多数オーバーブッキングの乗客が出た。僕は10日の第一便に予約を入れていたが、「第一便に席はないから」と言われ、第二便にチェックインするよう指示された。荷物を預け、出国ゲートまで赴いたが、「席がないからまた明日来い」といわれたのだった。

帰国翌日大阪出張の予定が入っていたため、明日来いと言われても非常に困る。僕は他社便への振替を頼んだが、「私はそういうことはしません」と無責任な回答。この答えにさすがの僕も激怒した。「第一便の予約を入れておいたのに、第二便なら席があるからと客に無断で振り替えた上に、出発ゲートに来たら席がないというのはどういうことか。ふざけるな」(と日本語で怒鳴った)

僕の他に欠航した便に乗る予定だった4人の団体客が「もう2日も待っている。今日の便に予約を入れ、座席番号と予約番号を手にしているにもかかわらず席がないとはどういうことだ。予約番号まで入手している」と文句を言っていた。係員は「あと一席しかないので、4人は無理だ」と答えていた。

そのやりとりを聞いていた客は「明日来れば席はあるのか」と尋ねたが、係員に回答はなかった。これだけのやりとりがあるにもかかわらず、係員からはなんら謝罪はおろか状況説明もないのだ。何を聞いても「できない」「ちょっと待って」「私たちにはわからない」とのらりくらりの対応であった。

結局残った一席は僕のものとなり、なんとか帰国できた。しかし、あまりの杜撰さにユナイテッド航空鞄結梹x社に文書で抗議した。同社からの返答によれば、現地係員たちから説明、謝罪がなかったことについては、非を認めているが、かかる事態となったのは台風のせいであり、チケットの種類により可能であれば、他社便への振替を行ない、台風の5日後には臨時便も運行したと主張する。しかし、この回答は要領を得ない。プライオリティ(優先度)の高いチケットを持っていた客はユナイテッド航空の便の座席を確保していたはずであり、空港に残された客のほとんどが振替のできない格安の航空券を保有していたはずである。また台風の5日後に臨時便を出したということはそれまで混乱が続いていたことを意味しており、対応がいささか遅い。(ちなみにこのときチェックインのとき預けた手荷物も成田に届かなかった。これについて同社は僕が本来乗るべき便に搭乗しなかったため、荷物がホノルル空港に戻ってきたと説明しているが、「乗せてもらえなかった」というべきである)

同社は出発が遅延した客に対し、一日400ドルの補償とホテル、食事を提供していた。しかしながら客にしてみれば臨時便を運行するなり、他社便に振替を行ない一日でも早く成田に到着したいと考えていたはずであり、すでに満席である後続便に客を振り替えるのは問題の先送りで混乱を招くだけである。10月9日成田到着便に搭乗する客に対して「欠航は台風のせいで不可抗力」と言うのは仕方がないが、後続の便の予約を抑えていた客に対して「座席が足りなくなったのは台風の被害によるもので不可抗力」とするのはいかがなものだろうか。

それに比べれば今回日本航空鰍ヘ最後まで運行に最善を尽くし、出発は翌日にはなったが、便を運行したため、予約客のうち渡航を希望する者はすべて渡航できたため、後日ユナイテッド航空のケースのような問題は起きなかったと思われる。

また天候が悪くて便が定刻どおり運行できないとき、日本航空は米系の航空会社と違い手数料無料でキャンセルする権利を認めており、今回ツアー会社もそれにならい、キャンセル希望者には全額返金を行なった。ユナイテッド航空もキャンセルする権利を与えれば、オーバーブッキング数を減らすことができたかもしれないのだ。

さらに今回のケースでノースウエスト航空会社は欠航のさい、当日の宿泊場所、交通手段の手配についても、一切補償をしなかったとのことだが、日本航空は限られた範囲とはいえ、ホテル代、交通費等を負担した。それを踏まえると、今回の件は一概に日本航空鰍フ対応が悪いとは言い切れないと思う。(ノースウエスト航空は自社のホームページを見ると、運航遅延あるいは欠航が悪天候である場合、割引料金でお客様の宿泊手配ができるよう万全をつくします。この際の宿泊料金のお支払いはお客様各自のご負担となります。」と明記してある。ただし、ユナイテッド航空が今回どのような対応をしたかは不明)

近年10月3連休の天候が安定しないことが多々あるため、この時期の旅行の計画はリスクを負うべきと改めて感じている。

 なお、このようなトラブルに遭遇したとき航空会社の対応には相違があるが、各社ともに規定化されておらず、場当たり的に対応していることも混乱の一因にもなっていると考える。今回の両社の対処も将来的に同様のケースが出てきたときに同じ対処をするかどうかはわからない。

 また、客側から旅行をキャンセルしたときは、キャンセル料がかかってくるにもかかわらず、旅行会社、航空会社はツアーやフライトが悪天候によりキャンセルしたときは、返金だけしか行わないことも問題であるとの指摘もある。ある程度交通機関が遅れたときは、「キャンセルできる権利」を客に与えてくれたほうが良いのではないだろうか。


管理者より

 前回成田空港に4,000人の乗客が泊まったと書きましたが、後の新聞記事で1,600人であることが判明しました。お詫びして訂正します。
 
 この特集に関する情報や欠航に対する航空会社の対応に関する情報がありましたら、お知らせいただければ幸いです。なお、2年まえの件をホームページに掲載することについては、ユナイテッド航空鰍ゥら許可を得ています。