五輪はスポーツの祭典にあらず(2)
(2010年1月号)

新年明けましてお目出とう御座います。
 生涯学習のつもりで書かせて頂いている拙文も気が付けば約20年、いつもの事ながら日本設備工業新聞社に心より感謝している。
 先月号に私は夢の話しを書きました。これから書こうと思うこともやはり私の夢物語です。どうか私のたわいのない初夢の話しを 読んでみて下さい。

私はこれ迄に「五輪」に関する記事を4回書きました。
 即ち、
 1.五輪を平和の祭典に(五輪を国威掲揚の具にしてはならない)2004.8
 2.アテネ五輪に思う(アテネの反省と北京五輪)2004.10
 3.五輪にメダルはいらない(選手には世界平和の旗手としての参加章を)2008.3
 4.五輪はスポーツの祭典に非ず(五輪憲章の改正を)2009.11
 そして今回も引き続きこの問題をとりあげたいと思います。

広島・長崎の五輪誘致に刺激されたのか懲りもせずに自分の任期の事も考えず又東京でやりたいという石原知事。
 平和の祭典をテーマにしようが、経済効果を期待しようが五輪から技を競い合い、その優劣を決することを最終目的とするスポーツを 除かぬ限り五輪は絶対に平和の祭典とはなり得ない。
 選手達も又五輪に出場してメダルを獲得することを最高の名誉と心得、マスコミもその火に油を注ぐ有様では平和の祭典の影は 薄らぐばかり。
 宮沢賢治は「世界全体が幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」といみじくも言っている。
 五輪イコール、スポーツが全世界の一般常識となっている今日、それではIOCはスポーツ以外にどの様な企画を立て、五輪を運営すれば 世界平和に貢献することが出来るだろうか。

デルフィの神のお告げではないが、例えば、いろいろな国が五輪開催期間中に同時にそれぞれの国の特色を生かして平和に貢献するであろう 既存の国際機関等の協力のもとに大規模な世界的イベントを開催するというのはどうだろう。
 例えば、
1. インド−−世界中の主だった宗教団体に号令を発し、五輪期間中、国際的世界平和と幾世紀にもわたり無意味な戦争で命を落と した人々の冥福を祈る為の一大法要を営む(過去に何回か小規模な開催実績あり)。
1. オーストリア−−世界中の著名な音楽家を集めて一大音楽祭を開催(ニューイヤーコンサートの如きものを始め世界各国の音楽 をその期間中に次々と演奏する)。
1. ロシア−−世界を舞台に活躍中の有名な劇団等を召集して次々と上演する(ボリショイバレー、シェイクスピア劇、歌舞伎、京劇等々)。
1. 中国−−有名な世界のサーカスの開催(中国雑技団、馬を使ったフランスのジンガロ等も、これは我田引水)。
1. 日本−−核廃絶及び地球温暖化対策の世界会議の開催。
1. イタリア−−世界的有名な芸術家(絵画・彫刻・書道・工芸家達のグループ展を開催)。
1. アメリカ−−世界的軍縮会議及びテロ対策会議。
1. スイス−−4年目毎に開催される赤十字社連盟及び赤十字国際委員会等によえ赤十字国際会議を五輸開催期間に合わせて開催。
1. イギリス−−ユネスコによる教育・科学'・文化の諸分野で世界的に活躍中の著名人達による世界平和維持の為に教育・科学・文 化が果たすべき役割についての一大討論会の開催。
1. フインランド−−ユニセフによる世界児童の厚生福祉増進と世界平和の実現との関連性についての一大討論会の開催。等々
 その外、ドイツ・フランスをはじめ吾と思わん国は挙って世界平和実現の為に独自の企画を立てて、それぞれの国で同時に五輪を 開催したら、少なくともその期間だけは地球上に平和が訪れるのではないだろうか。
 戦争やテロの為に消費するエネルギーと莫大な経費を平和工作に使うことが出来れば、いかなる大規模な企画も実現可能であり、 その後に訪れる平和な世界を想像すれば大いに価値のある試みだと思う。その場合、当然国際連合もその企画に一役買うが主催は あくまでIOCである。

以上これは冒頭にも書いた様に、まつたくの私の初夢にすぎない、然し夢は見なければ絶対に実現しない、“念すれば花開く”だ。
かつて中国の武王が(イン)(チュウ)王を滅ぼした時に呟いたという“馬を崋山の (ミナミ)に帰し、牛を桃林の野に放つ”、もう戦争はこりごりだという言葉を思 い出す。
 広島に原爆を投じられ一瞬にして10数万人の一般市民の犠牲者の出た日を「広島平和の日」とした如く、「怨みは怨みによって果たされず、 忍を(ギョウ)じてのみ怨みを解くことを得」法句経第五が示 す如く、怨みに報いるに徳をもってする以外に今日の地球上に決して平和は訪れない。
 例え五輪の期間が半月であろうとも、この地球上から争いごとが消えたとしたら、そしてそれが1ヵ月、半年、1年と続いたとしたら、 何と素晴らしいことではないか。
 この月刊誌「コア」は空調衛生設備関係の月刊誌です。全人類が火と水とそして空気を自由に共有することが出来る社会が実現すれば、 この地球は間違いなく豊かになり平和になる。
 そして全人類にとって最も大切な心の豊かさが芽生えます。世界平和の実現の為には、あらゆる機関を総動員し世界中の人々の英知を 搾り出す必要がある。
 宇宙から見れば地球は単なる一つの星にすぎない、宇宙を研究する前にまず地球を一つにする努力をすべきです。
 どうかこの際、この私の夢物語にご協力頂き、読者の皆様の新企画の五輪論をこの日本設備工業新聞社宛にお送り頂きたいと思います。

五輪からスポーツ競技が消えても世界選手権があれば世界中のアスリート達の技術の低下にはなりません。第一、世界選手権や五輸は “一将功成りて万骨枯る”の世界です。仮に選手達の技術が低下したとしても世界平和の実現から見れば取るに足りない問題です。
 新しい年を迎えて、この私の初夢が何時の日にか正夢になればと願っています。

以 上