8.『租税国家の危機』木村元一・小谷義次訳、岩波文庫、1983

租税国家という表現は、元来、財政社会学上の言葉であって、シュンペーターが経済学の中に導入することによって一般化した。彼は租税国家論を経済体制、つまり資本主義経済とのかかわりにおいて展開する。
そのために封建社会の崩壊課程から説き始め、資本主義の成立と自由主義の関係、そして租税国家と資本主義が切り離しがたい関係にあることを解明する。
1918年に発表された。
戦争の原因は資本主義にあるとか、資本主義の危機の要因は戦争であるといった見解に対してこれを否定し、それらの原因はもっと深いところにあるとして、資本主義の全生活様式を鋭い洞察と確実な分析とによって解明したもので、『資本主義・社会主義・民主主義』と共通の立場で書かれた本である。