証拠説明書


以下は、2002年10月11日に提出した証拠説明書である。固有名詞は必要に応じてイニシャルとした。

 甲A号証

 甲B号証


甲A号証 

号証 標目 作成者 立証趣旨
甲A1
 〜
甲A5
書簡、FAX及び電話記録 被告S
原告K子
 亡E子の死後、被告Sを数度に亘り被告医院に訪ね、外来時の経過について尋ねた。
平成11年10月下旬には原告M夫の求めに応じて外来経過についての報告と外来カルテ及び検査データが被告Sから送られてきた(平成11年10月30日付け)
 被告Sより院長(当時)の脳外科S教授宛のFAXの返事を受け取ったほか、直接書面によるやりとりを数度に亘り行った(電話を含む)。
 当初は要領を得ない回答も多かったが、平成12年2月23日の電話をきっかけに、次第に多くの点が明らかになった。
甲A1 平成11年10月30日付書簡 被告S  平成11年4月20日の外来において心尖部の収縮期雑音を、被告Sは聴診所見の異常と認めず、この時点でも高血圧症と診断している事実。
甲A2 平成12年2月2日付FAX 被告S 1. 平成11年4月20日の胸部X線検査で、右の第2弓の突出が軽度ながら存在していたことが判明したこと。
2. 被告Sは、亡E子が平成11年8月31日亡くなったことについて予想外の結果と考えていたこと。
甲A3 平成12年2月17日付書簡 被告S  被告Sは亡E子が服用していたカルシウム拮抗薬を「頻脈傾向となる降圧剤」と考えて、躊躇することなくカルシウム拮抗薬を頻脈の原因とした。
甲A4 平成12月2月23日付電話記録 被告S
原告K子
1. 被告Sは平成11年6月29日の心エコー・ドプラー検査結果をみるまでは、肺高血圧や右心系拡大と下肢の浮腫の原因が右心不全であることを考えていなかった。
2. 被告Sは左心不全の方が右心不全に比べて直接命にかかわると考えていたこと。
3. 亡E子についても、既に服用していたカルシウム拮抗薬をβ遮断薬に変更すると症状が良くなると被告Sが考えていたこと。
甲A5 平成12月7月28日付書簡 被告S 1. 亡E子の主訴である動悸や息切れを今までに循環器内科を受診した人同様、はっきりとした原因はないと、被告Sが考えていたこと。
2. 肺高血圧、右心不全が判明した平成11年6月29日及びそれ以降の検査結果について、被告Sは説明不足と言い張っていたが、説明をしなっかた事実をついに認めたこと。
3. 被告Sは、亡E子が平成11年8月31日亡くなったことについて予想外の結果と考えていたこと。
甲A6 平成12月8月24日付書簡 呼吸器内科SE医師  被告医院呼吸器内科SE医師との書面によるやりとりの内、訴状の内容に取り上げた点は以下の通りである。
1. 平成12年4月22日、剖検報告書の内容を聞きに、原告M夫と原告K子が被告医院を訪ねたとき、主体でないという理由で、右心不全に関する記述の説明をしなかった事実。
2. 被告医院ではPGI2の使用経験がないこと。
3. PGI2の治療について国立循環器病センターに問い合わせた時、先方が特に胸水貯留と血圧が低いことを問題にしたこと。
甲A7 平成12年10月27日付書簡 呼吸器内科SE医師  造影剤を比較的多量に使用する通常の血管造影は亡E子の状態が悪くてできず、DSA実施(平成11年8月6日)したこと。
甲A8 平成11年11月6日付謝罪文 看護部SM  呼吸器内科病棟の2名の看護婦の非常識な言動について看護部長から謝罪があったこと。
甲A9 平成11年12月3日出当時アメリカ在住の脳外科S教授宛(当時院長)書簡 原告K子 1. 被告Sの診断と治療について、原告K子が疑問を感じた点
 (1)頻脈の原因を調べずにβ遮断薬を使用したこと。
 (2)入院前に、検査結果を聞いていないこと。
2. 被告準備書面(1)では否認されているが、既にこの手紙で指摘していた内容
 (1)平成11年1月26日脳外科S教授の発言内容。
 (2)平成11年7月29日ナースステーションの前で、被告Sに会ったこと。
甲A10 平成12月12月29日付脳外科S教授宛FAX 原告K子  亡E子に対する被告Sの診断に対する原告K子の評価と被告Sへの質問(返答は甲A2)。
甲A11 平成12年2月6日付脳外科S教授宛FAX及び被告S宛書簡 原告K子  被告Sに行った質問の内容(返答は甲A3)。
甲A12 平成12年6月21日付被告S宛最終質問 原告K子  特に重要な質問は
1-a)カルシウム拮抗薬をβ遮断薬に変更したことについて。
1-b)受診理由である「労作時の息切れ」について。
3. 入院前に検査結果を話さなかったことについて。

 但し、2は平成12年4月22日に聞いた病理解剖の結果を基にしている。
 被告Sの返答は甲A5。


甲B号証

号証 標目 作成者
作成年月日
立証趣旨
甲B1 毎日ライフ1999年9月号 毎日新聞社
H11.9.1
 原告M夫と原告K子が被告医院の医師らの説明ではなく、この雑誌を購入したこと(平成11年8月7日)ことにより、知った肺高血圧症の内容。即ち、被告医院の医師らが説明しなかった内容。
※肺高血圧症の概要について。 
甲B2 慢性血栓塞栓性肺高血圧症のホームページ 肺高血圧症センター  慢性血栓塞栓性肺高血圧症の概要。
甲B3 別冊・医学のあゆみ 循環器疾患 Ver.2 医歯薬出版(株)
H13.3.20
 被告Sと被告医院の医師らによって説明と対策が行われなかった亡E子の右心不全の臨床所見。
※慢性肺血栓塞栓症は肺高血圧症と右心不全を主徴として理解し、治療法を検討すべき疾患であること。
甲B4 綜合臨牀 第50巻・増刊号 (株)永井書店
H13.5.30
 被告Sが自らの判断で一度も実施しなかった心エコー検査が早期に右心負荷を発見するために必要かつ重要であったこと。
※肺高血圧症における心エコー検査の必要かつ重要性について。
甲B5 内科診断学 (株)医学書院
H12.9.1
 亡E子から両下肢の浮腫の訴えがあった時、ふしゅの原因として右心不全を疑い、心エコー検査を実施しなくてはならなかった。
※浮腫の診断の進め方について。
甲B6 肺血栓塞栓症の臨床 (株)医学書院
H11.3.15
1. 予後を左右するのが右心不全による低心拍状態であること。その認識は、被告Sと被告医院の医師らにはなかった。
2. 被告Sが判断を誤った胸部X線所見(平成11年4月実施)は、三尖弁逆流(TR)の進行によって生ずること。
3. 三尖弁逆流(TR)は、心エコー・ドプラー検査によって得られる所見であること。
※慢性肺血栓塞栓症の臨床において知っておくべき基本事項。
甲B7 日本臨牀 第59巻6号 (株)日本臨牀社
H13.6.1
 被告Sと被告医院医師らによって説明と対策のなかった右心不全の臨床所見。
※肺高血圧症の臨床所見。特に右心不全に関する事項。
甲B8 アーチスト錠10mg/20mgの添付文書 第一製薬(株)
H9.11
 亡E子に投与されたアーチスト(β遮断薬)が肺高血圧による右心不全に禁忌であること。
甲B9 テノーミン/テノーミン25の添付文書 アトラスゼネガ(株)
H8.11
 亡E子に投与されたテノーミン(β遮断薬)が肺高血圧による右心不全に禁忌であること。
甲B10 医薬品の使用禁忌とその理由 改訂4版 (株)医薬ジャーナル社
H10.8.25
 亡E子に投与されたβ遮断薬(アーチストとテノーミン)が肺高血圧による右心不全に禁忌である理由。
甲B11 Heart View 2002年5月号 メジカルビュー社
H14.5.9
 被告Sと被告医院の医師らが見落としていた肺性P波は肺高血圧症の心電図所見として重要であること。
※肺高血圧症の心電図所見について。
甲B12 診療録等の開示に関する被告Sからの手紙 被告S H12.5.22 1. 診療録等及び剖検報告書を申し込んだこと。
2. 患者であった亡E子との関係を証明するために、戸籍謄本を提出する必要があったこと。
3. 平成12年7月3日に、開示料及びコピー代12,130円支払ったこと。
診療録等の開示申込書 原告K子 H12.5.25
同上領収書 被告医院 H12.7.3
甲B13 死亡診断書 被告医院O医師
H11.8.31
平成11年8月31日に亡E子が死亡したこと。

※は文献の内容である。


HOME裁判記録 証拠説明書