β遮断薬の信奉者


β遮断薬は、肺高血圧による右心不全のある患者に禁忌です。そのβ遮断薬の信奉者である医師に掛かったことは亡母にとって悲劇という以外ありません。
β遮断薬の信奉者である医師は、とにかくβ遮断薬を投与することが目的になっています。更に不本意ながら投与を中止することがあっても、β遮断薬の投与が間違いと考えません。亡母の経過を見ると、はっきりします。

医師がβ遮断薬の信奉者であるかどうか見極めることは実に大切です。

初診日からのβ遮断薬の投与がなければ、、亡母の経過は根本的に違ったと、確信しています。

■ 亡母に投与されたβ遮断薬

販売名 一般名 用量 発売元
製造元
添付文書「禁忌」事項の内容
アーチスト カルベジロール 10mg/day 第一製薬(株)  肺高血圧による右心不全のある患者
 〔心拍出量が抑制され症状が悪化するおそれがある。〕
テノーミン アテノロール 50mg/day ゼネカ薬品(株)
住友製薬(株)
 肺高血圧による右心不全のある患者
 〔心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。〕

◇β遮断薬について◇

β遮断薬は高血圧症、狭心症に用いられています。

β遮断薬は心臓のβ受容体をブロックして、心臓の収縮力を弱める作用と脈拍を減少させる作用により心拍出量を減らし、それに伴って末梢血管抵抗が低下し血圧を下げます。

β遮断薬は心不全には禁忌とされています。肺高血圧による右心不全のある患者にも禁忌とされています。
しかし今は、慢性心不全(左心不全の場合)については、投与され始めています。アーチストの場合、入院して、最低量1.25mg(2002年12月から販売)といった少量からです。但し、アーチスト単独では投与されていないようです。テノーミンは選択されていません。
β遮断薬の常用量をいきなり使うと心不全を発症または助長し、危険です。

β遮断薬を積極的に投与している医師は、欧米に比べて使用頻度が少ないと考えています。

■ 経過

 1998年12月15日、亡母は、動くと息切れがする、動いたあと動悸がする、脈が速いといって、循環器内科を受診しました。既に、エマベリンL(カルシウム拮抗薬)を服用していました。
砂山医師は、胸部X線写真上で肺高血圧を示唆する所見を読影出来ませんでした。これが致命的になりました。心電図所見、胸部X線写真の心陰影拡大所見は高血圧によるものであり、また頻脈・動悸はエマベリンL(カルシウム拮抗薬)によるものではないかと判断し、降圧剤をアーチスト(β遮断薬)10mg/dayに変更しました。

12月26日(β遮断薬服用後11日目)に、救急外来を受診することになりました。本来なら精査・入院が必要であったにもかかわらず、帰宅させました。これは、亡母を診察した循環器内科の高谷医師が心電図の判断を誤ったからです。

砂山医師も高谷医師も診断が出来ません。

亡母は、β遮断薬を服用するたびに症状の悪化を繰り返しました。

砂山医師は1999年1月26日にβ遮断薬の投与を中止しましたが、肺高血圧症の存在が確認された1999年6月29日まで、亡母を高血圧症と判断していました。

■ 亡母に投与されたβ遮断薬と血液検査の結果

順天堂の循環器内科は、β遮断薬を実に積極的に投与しています。頻脈に対してβ遮断薬を使用していました。

  GOT GPT ALP LDH    
’98/12/15  23  23  427  518   頻脈・動悸の原因はエマベリンLによるものではないかと判断  
 アーチスト(10mg/day)に変更 11日※
’98/12/26 82 89      アーチストによる肝機能障害が疑われるため。  
 テノーミン(50mg/day)に変更 5日※
’99/01/05 53 107 420 670  肝機能障害が疑われるため  
 エマベリンL(カルシウム拮抗薬)に変更  
’99/01/19 22 20 434 362  エマベリンLだと脈拍が速くなるといって  
 テノーミン(50mg/day)に変更 1日※
’99/01/26 なし  亡母のこの薬に慣れるまで体がもたないとの訴えにより  
 ヘルベッサーR(カルシウム拮抗薬)に変更  

※ β遮断薬服用後、症状悪化に要した日数。

■ β遮断薬への変更についての砂山医師の説明

1. 初診の方で、中年以降の女性の方で、血圧が高くてかつ脈が速く、特にカルシウム拮抗薬飲んでらっしゃる方は、β遮断薬に直すと症状が良くなるような方も、確かに多いいんですけれどもね。(2000年2月23日付電話、甲A4号証)

2. β遮断薬への変更は、頻脈を伴う高血圧であったためであり、循環器内科の方針等とは一切関係ありません。心不全による頻脈の可能性を考えなかったことに関しては、不注意をお詫びするのみですが、一般に、頻脈を伴った高血圧でカルシウム拮抗薬が投与されている場合、カルシウム拮抗薬をβ遮断薬へ変更することは常識的な選択と考えます。(2000年7月28日付書簡、甲A5号証)

3. 結果的に言うと、そうかもしれません(カルシウム拮抗薬で脈拍低下作用のあるのに変更してもよかったのではないか?の返答)。ただ、高血圧の治療を受けていて、頻脈傾向があって血圧が高い方というのは、普通のやり方ですけれども、もしカルシウム拮抗剤を使っていたら、両方とも落とすようなβ遮断剤に変えるというのが普通のやり方です。(2004年7月12日・砂山医師の本人調書)

4. 頻脈といっても、確かに頻脈の領域には入りますけれども、多少脈が早い程度、その程度ですし、あと頻脈を起こし得ると言われているカルシウム拮抗剤、それを使われていましたので、診断的治療としてβ遮断薬に変えました。(2004年7月12日・砂山医師の本人調書)

■ まとめ

砂山医師の頭の中は、β遮断薬を投与することで一杯のようです。したがって、カルシウム拮抗薬が頻脈傾向の薬となり、躊躇なくβ遮断薬に変更する。頻脈の原因を調べる気は全くありません。
診断的治療としてβ遮断薬を投与されたら、患者は一溜まりもありません。

砂山医師は、亡母の訴えや臨床所見について、心臓に原因があると疑って、心エコー検査を実施しませんでした。β遮断薬の投与が間違いになることを、自分から進んで行わなかったということになります。

β遮断薬を投与してはいけない患者に投与した場合、医師の免許を取り上げるべきです。こうした荒療治が必要です。そうしたことをしない限り、亡母に起こったことは防げないと思います。