肺動脈造影


 肺血栓塞栓症の診断においては、最終的な診断法の一つです。急性症例と慢性症例では、基本的な異常所見が大きく異なります。

 亡母は入院後の状態が悪かったので、DSA(digital subtraction angiography)で施行しましたが、DSAの高精化に伴い、また使用造影剤の濃度や量を低減できることから、DSAは広く受け入れられています。
 しかし、亡母の場合は選択的肺動脈造影ではないので、雑誌で見るDSA画像(図1)とは明らかに違うことが分かります。雑誌で見るDSA画像(図1)では、病変の詳細な観察が出来ます。この点においても、病院のレベルや意識の低さを感じます。

検査日:1999/08/06

画像

放射線科医師の画像検査所見
iv DSA
 左腕より穿刺。
 5F pig tail catherを右房に留置し造影している。
 両肺野共に肺底部での血流が乏しくなっている様に思われ、肺高血圧症に伴う変化と考えられるが、血栓を示唆する様なfilling defect像等ははっきり指摘できない。

● 図 1 雑誌で見るDSA画像1)

慢性肺血栓塞栓症(慢性PTE)の肺動脈造影所見
左:中枢型慢性PTE。主肺動脈から区域枝動脈近位部に慢性肺動脈血栓の典型的所見が存在する。
右:末梢型慢性PTE。肺動脈主要病変は亜区域枝より末梢に存在し、主肺動脈の所見は軽微である。

1) 中西宣文:慢性肺血栓塞栓症治療のエビデンス,治療学36:1189-92,2002