【登場コマ数からみたキャラの重要度】

暇な奴だという嘲笑を覚悟のうえで『犬夜叉』コミックスのキャラクター別登場コマ数を数えてみました。第35巻まで累計で、
1位 犬夜叉(7,800コマ)
2位 かごめ(6,322コマ)
3位 弥勒(3,131コマ)
4位 珊瑚(2,334コマ)
5位 七宝(1,863コマ)
6位 桔梗(1,047コマ)
7位 鋼牙(921コマ)
8位 殺生丸(878コマ)
9位 奈落(861コマ)
10位 神楽(667コマ)
11位 琥珀(604コマ)
12位 冥加(417コマ)
13位 楓(341コマ)
14位 邪見(338コマ)
15位 りん(276コマ)
16位 蛇骨(270コマ)
17位 蛮骨(267コマ)
18位 煉骨(237コマ)
19位 刀々斎(209コマ)
20位 睡骨(184コマ)
21位 白童子(175コマ)
22位 奈落の赤子(150コマ)
23位 神無(146コマ)
24位 草太(136コマ)
25位 無双(119コマ)
26位 銀骨(93コマ)
    阿毘姫(93コマ)
28位 北条(45コマ)
29位 魍魎丸(35コマ)
30位 御霊丸(28コマ)
31位 聖(26コマ),…
ですが、興味深い現象がいくつかあります。
1.主人公とヒロイン・犬夜叉とかごめ(第1推移グラフはこちら

 作品の名前になっているわけですから、登場コマ数は当然主人公の犬夜叉がNo.1なのですが、実に第6巻までの累計では、かごめの方が犬夜叉を100コマ近くも上回っています。両者の累計が逆転するのは、第7巻第8話「邪気の跡」すなわち犬夜叉がかごめを現代に追い返し、連載開始以来初めて彼女が1話に1コマしか登場しなかった回だったのです。その後、第8巻までの累計でも一時抜き返したりして、ヒロインと主人公のデッドヒート(?)が展開されています。いかにこの作品においてヒロインであるかごめが重要なキャラであるか、改めて実感しましたね。
 しかし第9巻まではそれこそ「寄り添うように」累積コマ数を延ばしていた二人も、第10巻以降じりじり差が開いていきます。珊瑚の登場が契機となったようで、その後も鋼牙、神楽&神無が登場し、第16巻以降は犬夜叉とのコマ数が離れるばかりで、第35巻時点で1,478コマの差がついてしまいました。今後の展開で、ヒロインの登場率の復興が期待されるところです。

          (カット協力  如月 玲さん)
2.マスコットキャラ・七宝(第2推移グラフはこちら

 第3巻第10話から登場する七宝は、犬かごコンビの最初の仲間として定着、コンスタントに出場を続けます。第9巻までの累計では犬かごに次いで堂々の3位を保ちます。ストーリーに直接絡む機会は少ないものの、小さい体で確かな存在感を示してくれます。かつての『うる星やつら』におけるテンちゃんのスタンスですね。
   
          (カット協力  如月 玲さん)
 第10巻で弥勒に抜かれるものの、第19巻で1,000コマを突破し、第20巻まで4位を保ったのは立派なものです。第21巻でついに珊瑚に抜かれて5位になりますが、その後も手堅く出番を伸ばして、ついに1,800コマを突破した「作品の顔」の一人です。
3.サブキャラの重鎮・桔梗と殺生丸

 もう一人のヒロインである桔梗は回想シーンで登場するケースも多く、第5巻第8話で復活して以降は定期的にシリーズ構成にかかわってきます。この桔梗と交代で交互にシリーズ構成の役割を担うのが主人公の兄・殺生丸で、短気集中で登場する度に主人公の成長のきっかけを与えていきます。両者とも犬夜叉一行と別行動のために登場コマ数はさほど多くありませんが、1コマ当たりの存在感が非常に大きいサブキャラといえます。
 両者の差ですが、「兄よりは元彼女が重要」だったのか(^^;)、第8巻で逆転して以降は桔梗が100コマ前後の差を保ち続け、第29巻の衝撃の展開でしばらく表舞台から退場を余儀なくされたものの第32巻で再復活、第33巻でついに1,000コマに到達です。二人に悪役の奈落を加えた三人は、犬夜叉一行の五人に次いで6〜8位トリオを形成し、第13巻から第25巻までの長期間にわたって定着します。第26巻で鋼牙が乱入、1,000コマ未満の第2グループのトップ争いが熾烈さを増しています
4.名コンビ結成・弥勒と珊瑚

 第6巻第3話で登場する弥勒は、主人公と性格が対照的なために相方的レギュラーとなり、第10巻の時点で七宝の登場コマ数を抜いて3位に躍り出ます。少なくとも表層上は軟派な彼にも異性の連れ合いが必要だったのか、第9巻第7話では強くて純朴な女性版犬夜叉ともいうべき珊瑚が登場します。登場2話目にして弟が操られ、父親と仲間を殺害されるというあまりに悲惨な展開だったのですがインパクトは絶大で、犬夜叉一行に加わってからは怒濤の勢いで上昇、第11巻で桔梗を抜いて5位、第21巻で七宝を抜いて4位になります。

          (カット協力  如月 玲さん)
 弥勒と珊瑚はセットでコマ割りに登場する頻度が多くなり、第8〜15巻あたりは常に470コマ前後の差が不変でした。名コンビ結成です。第16〜21巻では560コマ前後、第22〜25巻では650コマ前後、第26〜30巻では750コマ前後、第31〜35巻では800コマ前後と差があまり開かずに持続する「寄り添っての登場」がかつての主人公とヒロインを彷彿させています。30巻でめでたく婚約(^o^)、最終回までこのコマ差は継続するでしょう。
5.悪役の存在感・奈落一派

 第7巻第1話から登場する奈落は、人見家の若殿の顔と、分身の傀儡の姿を分類するのが面倒なのでまとめて数えましたが、着実に出番を積み重ねて第12巻で冥加を抜いて9位、第22巻では殺生丸も抜いて7位進出です。その後抜き返され、35巻までで登場コマ数の差は17コマ。ストーリー上でも殺生丸に対して「態度がでかくなって」ますが(^^;)、虎視眈々と殺生丸を抜こうとしているようで、こちらもなかなか白熱しています。桔梗や犬夜叉らとの絡みが多いのでチャンスは大きいかと思われましたが、分身が増えるほど出番を取られるという矛盾も抱えているようです。彼の分身キャラでその後も準レギュラーになるのは長女(?)の神無と次女(?)の神楽。これに珊瑚の弟・琥珀を加えた一行が、あれこれと犬夜叉一行に謀略戦を仕掛けていくというのが第13巻以降の基本ストーリー構成となって定着します。
 行動的な分だけ神楽は目立ち、次々と出番を増やして古株の楓と冥加を抜き去り、第27巻ではついにベスト10入りです。神無はあまり喋らないキャラなので目立たず、まだ140コマをちょっと上回ったところですが、珊瑚の弟・琥珀は神楽に次いで11位です。彼を奈落一派に入れるのは珊瑚に悪い気もしますが(^^;)、存在感という意味ではなかなかのものを保っています。なお第29巻から奈落の赤子が登場、92コマまで伸ばしたところで再「分身」、その片割れは白童子として第35巻までで一気に175コマ稼ぎ、赤子は赤子で150コマまで伸ばして一気に神無を抜き去ってしまいました。
 …え? 殿? 「そもそも神無、神楽、無双、赤子、白童子はすべてわしの分身なのだから、わしの存在感はその合計値なのだ」とおっしゃいますか(^^;)…これはご無礼申しあげました。合計すればえーと2,118コマ。おお、七宝以上で5位。さすがでございますなあ。
6.その他のサブキャラ達(第3推移グラフはこちら

 鋼牙は第14巻の登場以降準レギュラー化し、怒濤の勢いで登場頻度を伸ばして、26巻では殺生丸と奈落を抜いて7位になります。第29巻時点でも桔梗を猛追、一番の出世頭といえるでしょう。なぜか拙サイト開設から一年間ほど出番がまるでなく、第33巻までで殺生丸と奈落に抜き返されて9位に転落しましたが、最近ようやく再登場で存在感を示してくれまして35巻までで7位に返り咲き。最終回までには1,000の大台をクリアするでしょう。同じく第14巻で登場した少女・りんは殺生丸に救われて行動を共にしてから快進撃、500コマ以下の第3グループで邪見を脅かすライバル関係(ストーリー上でも^^;)にまでなりましたが、最近は離され気味。30巻では冥加が古株の意地を見せて琥珀を抜き返し11位に返り咲きましたが、32巻で再逆転。邪見VSりんの古株・楓を追い抜く勢いでの競り合いは注目です。かごめの弟・草太と、クラスメート・北条君は主な舞台が戦国であるゆえどうしても不利なんですが、ストーリー展開上のインターミッション的役割として健闘を期待したいものです。特に草太は、32巻で神無に抜かれて10コマ差をつけられただけに出番がほしいところですが、ストーリーが佳境に向かうとますますカヤの外でしょうか?
7.人気投票と印象率

 2002年サンデー16号でキャラクター人気投票の募集が行われ、結果が同25号で発表されました。1位から犬夜叉5,195,殺生丸2,106,かごめ1,830,弥勒1,357,珊瑚1,216,七宝1,121,桔梗544,鋼牙426,神楽164,りん160,奈落97,冥加61,邪見61,神無44,琥珀35,刀々斎30,無双22,楓6…という順位と獲得ポイントでしたが、これを別の観点からみてみました。
 つまり人気投票開始時点での「印象率」です。投票の募集が始まった16号に掲載された連載はコミックス第26巻に収録されているので、それまでの累積ということで、投票結果で獲得したポイント数を、コミックス第25巻までの累積登場コマ数で割った値で比べると…
1位 殺生丸 3.22P/コマ
2位 りん   1.01P/コマ
3位 珊瑚   0.87P/コマ
4位 犬夜叉 0.87P/コマ
5位 七宝   0.84P/コマ
6位 桔梗   0.69P/コマ
7位 弥勒   0.66P/コマ
8位 鋼牙   0.65P/コマ
9位 神無   0.60P/コマ
10位 神楽  0.47P/コマ
11位 かごめ 0.37P/コマ
12位 邪見  0.28P/コマ
13位 無双  0.18P/コマ
14位 冥加  0.18P/コマ
15位 奈落  0.16P/コマ
16位 刀々斎 0.15P/コマ
17位 琥珀  0.11P/コマ
18位 楓    0.02P/コマ
 殺生丸の存在感の大きさが際立っていますね。こりゃもうひとりの主人公というべき存在でしょう。りんちゃんが2位なのが凄い。殺生丸の「何かを変えた」少女の存在感は、多くの読者が感じていたようです。

          (カット協力  如月 玲さん)
 珊瑚が主役の犬夜叉をわずかに上回って堂々3位。桔梗も弥勒や鋼牙より上。ヒロインのかごめが神無&神楽より下。奈落は無双より下。
 キャラクターが増えてくるとともに、ヒロインが相対的に印象度を低下させてしまった感があります。かごめ贔屓としては辛い結果ですが(T_T)、こうしてみるとまさに、サブキャラや後から登場したキャラが主役級を食ってしまう下克上ですね。
 神無は目立たないけど印象度では神楽を上回って「姉の面目躍如」。七宝も鋼牙や桔梗を上回る大健闘です。弥勒もそうなんですが、性格温厚にして優しさがウリのキャラは、印象度ではどうも損をするようです(すげー贔屓目な表現^^;)。
8.独特の存在感・七人隊

 悪役集団・七人隊首領の蛮骨は、キャラクター人気投票開始の約二ヶ月前に初登場したばかりなのにも関わらず314ポイントを集め、コミックス26巻第2話〜第7話までで86コマですから実に3.65P/コマ! 番外扱いというべきでしょうが、圧倒的な印象度を残しています。蛇骨もあの特殊嗜好と相まって蛮骨を上回る341ポイントを145コマで集め、2.35P/コマでした。煉骨も29ポイントを獲得、0.25P/コマでした。人気投票のタイミングも影響したでしょうが、奈落とはまた違った個性派悪役集団として、読者に存在感を示してくれたようです。私的には二重人格に苦悩する睡骨が人気投票で圏外だったのがちょっと意外でした。
 28巻でついに全滅しましたが、累積コマ数ではその時点で蛇骨が14位、蛮骨が15位まで進出する大健闘でした。もう出てこられない以上、29巻で邪見が抜き去り、いずれはりんにも抜き去られる運命とはいえ(^^;)、これだけ目立った悪役はそうそういなかったと思われます。
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