最終手段

 

残念ながら、最終手段を決断せざるを得なかった方。もう一度、よく、考えてみてください。本当に、手術することが必要なことなのか。二人で引き起こした結果でも、最終的に手術を受けるのは、女性自身であって、より大きく傷つくのは必ず女性自身です。相手と、よく相談して、あなた自身としても決心できてから、手術に臨みましょう。もしかすると、出産するという方法も可能かも知れません。また、手術するとしても、貴女自身が、手術したことによって、今よりもっと進んでいけるように前向きに考えてください。手術したことを、心の傷として持ち続けるのではなく、手術したことによって自分の道を進み、自己の実現を果たせることができれば、きっと、生を受けられなかった子もあなたを応援してくれると思うのです。そして、手術をする我々も、だからこそ、お手伝いをする価値があると信じています。

 

麻酔手術合併症合併症に対して

1) 麻酔

手術の麻酔は、ほとんどが静脈麻酔です。早く効く強力な睡眠薬と考えていただければ良いと思います。薬によっては、喘息の方に使えないものもありますので、今までの病気のことなどをきちんと医師に伝えておきましょう。精神安定剤を長期服用していたり、過度の緊張をしている方は、効きにくいことがあります。また、あまり使いすぎると呼吸困難になることがある薬ですので、手術中に十分に効かない方も、まれにはいらっしゃいます。

呼吸困難などを早期に発見する為のモニターが完備してある病院ならば、安心して手術を受けることができます。

2) 手術

吸引法を使う場合と、掻きだす方法があります。術者によってなれている方法で行います。吸引法では、細い管を入れて真空で吸い出してしまいます。掻きだす方法は、昔から行われている方法です。小さなスプーンの様なもので、子宮の壁についた組織を引っかきとります。いずれも、見えない子宮の中を探る手術ですから、熟練が必要です。必ず、母体保護法の指定医で受けるようにしましょう。

3) 合併症

手術には、いくつかの合併症が考えられます。子宮の壁に食い込んでいる組織をはがすので、出血は必ずあります。ただし、子宮が元の大きさに縮む力で、血管が押しつぶされ、出血は少なくなるのが普通です。子宮の出口の近くや卵管の近く等の弱い部分に妊娠していた場合、子宮壁の傷が大きくなる為、出血が増えることがあります。また、子宮の縮む力が弱いと、いつまでも出血がとまらないことがあります。さらに、子宮の変形(二つに分かれていたり、中に壁があったり)があると、壁に傷がついたり、出血する部分が大きくなるので出血が止まりにくくなります。そのほか、血液の病気などがあると、出血が止まりにくくなることがあります。

術後には、抗生剤などを処方され、子宮の感染を防ぎます。しかし、術後安静を守らないと、子宮の中に細菌が入り、炎症を起こすことがあります。ひどくなれば、全身に菌が広がることもあります。また、炎症のあとが瘢痕(硬い組織)になって癒着(くっつく)すると、その後の妊娠が難しくなることがあります。

4) 合併症に対して

 出血がひどい場合には、輸血や開腹手術が必要になる場合もあります。が、ほとんどの場合は、子宮の収縮剤を投与する事で治ります。総合病院であれば、ただちに入院して処置をしますし、診療所であれば、提携している病院へ搬送して治療を受けることになります。診療所の場合は、どこの病院と提携しているのかを聞いておくと良いでしょう。

 血液型がRh()の方は、抗体ができる前にグロブリン(免疫物質)を投与する必要があります。これをしないと、次の妊娠の時に血液型不適合を起こして流産の原因になったりします。Rh()型の血液の型は、あらかじめ術者に相談しておいて下さい。

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