『 雪 』


空には薄く雪雲が広がり、はらはらと白いものが落ち来たる。
低い鳥の鳴き声、空気を掃くような羽ばたき。
小さく柔らかな羽毛が、天から落ちるひんやりとした軽い塊まりと共に舞う。
差し出された指に留まり首を傾げるその様子は、まるで自分の鳴き声とは違う音に耳を澄ますよう。


風花の舞う森の中、かじかんだ指の先を赤く染めながら、口元に笑みを浮かべ陶酔したような表情で一心に笛を吹く、たおやかな姿の貴人。
調和の乱れた京の街、せめてこの森の中だけでも清浄にあれと目を閉じ
静謐な音を奏でる。
怨霊さえもこの音を聞けば心慰められ、静かに眠りにつけるのではと、ふと
思う。
人外の自分でさえも、こんなにも心穏やかにいることが出来る。
役目としては如何ようにも神子に使われるとしても、本家筋の人々から奇異な眼差しを浴びせられるのは気持ちのよいものではない。
それが、この笛の音を聴くとわだかまりも消える。
先代との力の差も、出来損ないのこの身のことも、一時でも忘られる。


だから、神子が怨霊を倒し穢れを祓った地にて、その力を長く保たせるためにと理由を付け、笛を所望してしまう。
神子と怨霊を倒したその場ではなく別の日に二人にて訪れ、まるで子供が付く嘘のような言い訳に、疑問を持つこともなく言われたままに笛を吹く。
式神もこの笛を好むのか、呼びもせぬのに飛翔してくる。


冷たさを増す空気の中、静かに静かに奏でられる笛の音を、いつの時でも守ってやりたいと思う心に、何かがひっそりと満たされてゆく・・・。






【杏桜】 の恭極杏子 様に、『雪』イラストのお話をいただいちゃいましたvv
まさか このイラストから、このように萌えなイメージを膨らましていただき、なおかつ
筆にしていただけるとは思ってもいなかったので、とても嬉しいです**
なんと表現いたしましょうか、素直で無垢な泉水ちゃんの描写が なんともいえず
萌えでございますvv
そして、なにかが静かに芽生えはじめ、理由を付けてまで 笛を所望してしまう
泰継殿も…vv
ええ、「いつの時でも守ってやりたいと思う心」に、私、大・大・大賛成ですわ!!
素敵な作品を書いてくださって、ありがとうございましたvvv


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遥か1の 泰×あか・鷹×あか 小説メインのサイト様です。
遙か1・2の地×天・白虎の『白虎楼』も併設なさっておられますv