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| T.パレスチナ難民に関わる法律的問題
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■ 国際法のもとでのパレスチナ人の地位とその集団的、個人的権利
1947年,国連総会でパレスチナ分割決議が採択された結果、イスラエルが建国され、
もとからそこに住んでいたアラブ人が故郷を追われて難民となったので、
国際社会はパレスチナ難民の問題に対してはその発端から責任を引き受けてきました。
50年以上にわたり国連はパレスチナ人の民族的権利や政治的権利、
そして人道的支援に関して数々の決議を採択してきましたが、
その中でも最も早い時期に採択されたのがパレスチナ難民の故郷へ帰る権利(帰還権)
とこうむった損失の補償を受ける権利を認めた1948年の総会決議第194です。
難民に関する国際的な協定と決議194が違うのは、難民法の主眼が補償と再定住にあるのとは逆に、
決議第194ではパレスチナ人の自らの国への帰還が力点となっているところです。
パレスチナ難民の最も大きな願いは祖国へ帰還を許されることです。
パレスチナ難民には帰還権とともに、さらに多くの民族的諸権利が誰にも奪うことの出来ないものとして与えられています。
というのも彼らはパレスチナ民族全体の一部であり、他から干渉されることのない自決権を持っているからです
(国連総会決議3236、1974年)。
1949年にはパレスチナ難民の帰還権を損なうことなく人道的支援を行うために国連パレスチ難民救済事業機関
(UNRWA=アンルワ)が設立されました。その責務は決議194と結びついています。
UNRWAはパレスチナ難民が住んでいる各国政府の同意のもとで、彼らの救援の為に数々の任務を国際社会に代わって行うものです。
しかしほとんどのパレスチナ難民には国籍がありません。彼らはUNRWAの援助を受ける限り1951年に国連で採択された
「難民条約」やUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の保護からははっきりと除外されています。
UNRWAにはパレスチナ難民の保護を保証するような権限はなく、
また、UNRWAが持つようなその機能を述べたはっきりした規則もありません。
UNRWAの機能は、例えば1982年のイスラエルによるレバノン侵攻といったこの地域の政治情勢に左右されながら発展してきました。
国際的な保護の仕組みに入れないので、パレスチナ難民は特別に弱い存在となっています。
というのも、民族としての集団的権利は国際的には認められているものの未だに実現されてはいないところで、
個人としての権利の享受は民族としての集団的権利とは相容れないもの、それを否定するものとしてみられているからです。
このことはレバノンにおける彼らの法的地位にも反映しています。パレスチナ難民が公的社会的権利を持つことは事実上
彼らをレバノンに強制的に定住させることになると見られていて、パレスチナ難民にはそのような諸権利が拒否されているのです。
パレスチナ難民に唯一公的権利を認めているのは,1965年にアラブ連盟が定めたカサブランカ議定書です。
この議定書はパレスチナ難民に市民権は別として、彼らの住むアラブ各国の国民と同じ扱いを受ける権利を与えています。
レバノンはカサブランカ議定書を修正と留保付で批准しましたが、その完全な実施には至っていません。
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■ レバノンのパレスチナ難民に関する国内法と手続き
カサブランカ議定書はパレスチナ人の民族としてのアイデンティティを認めつつ、
パレスチナ人の住むアラブ連盟各国で彼らに労働許可、雇用,移動の自由、居住権を認めるように求めています。
しかし、この議定書は各国の移民法や市民権法と調整されることなく、
議定書が国内法と対立する時は必ず国内法が優位にたちました。
このためレバノンの法制度のなかで、パレスチナ人ははっきりと規定された法的身分[アイデンティティ]を持っていません。
パレスチナ難民はUNRWAに登録している限りレバノン政府のパレスチナ人局に登録することが出来ますが、
1956年以降レバノンに入ったパレスチナ難民を登録することがUNRWAには許可されていません。
登録難民は外国人として位置付けられ、レバノンの法律のもとでは彼らの公的,社会的、経済的な基本的諸権利は否定されています。
特例措置としてパレスチナ人局が身分証や旅行書類を発行することはあります。
他の外国人と同じくパレスチナ人住民も労働許可に基づいて就業することができますが、
数多くある職業のほとんどから締め出されています(現在、70数種類もの職業を禁止されています:事務局注)。
外国から来た他の賃金労働者と違うところは、パレスチナ人は各種の補償や社会保障の掛け金を給料から天引きされているにもかかわらず、
それらのサービスや補償を受けられないということです。レバノンの労働法は他の国でレバノン市民の受ける待遇に対応して、
その国から来た労働者を扱うという互恵の考えに基づくので、国のないパレスチナ人は他の国から来た労働者より認められる権利、
特典は少ないのです。
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■ 結び
レバノンにはパレスチナ難民を管轄する機関が二つあります。
パレスチナ難民の公的権利についてはレバノン政府が主に責任を持つ一方、健康、教育、
救援に関する権利はUNRWAが代表する国連の主たる責任となっています。
重なり合う分野も多くありますが、レバノンの法律やレバノンとUNRWAとの合意のなかにこれらを調整する仕組みがあります。
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