2011年8月例会


 劇団民藝
『静かな落日』
-広津家三代-

         作/吉永仁郎

         演出/高橋清祐

           <キャスト>

        広津和郎/伊藤孝雄
        広津桃子/樫山文枝
        広津柳郎/安田正利
        志賀直哉/水谷貞雄
        宇野浩二/小杉勇二
      松田史朗/大場泉/伊東理昭
      武藤兼治/梶野稔/塩田泰久平         松敬綱/披岸喜美子/仙北谷和子
      相場早苗/藤巻るも/飯野美穂子

             日程
会  場 日 程 昼の部 夜の部
アステールプラザ
大ホール
8/9(火) -  18:30
8/10(水) 13:00 -
安佐南区区民センター
ホール
8/11(木) -  18:30
8/12(金)  13:00  -
    上演時間 2時間45分(休憩含む) 
     終演:夜21時20分 昼15時50分 
     希望日締切り 6月30日(木)
     シ−ル発行 7月26日(火)

劇団紹介
 
1950年に滝沢修、宇野重吉、北林谷栄らによって創立。
「心に明るい火を点ずるような、生きていく喜びとも勇気づけともなるような」
舞台をつくりだそうと公演活動をつづけています。
人びとと社会との関わりあいを深くとらえた作品をとりあげ、リアリズムを基調とする密度の濃い劇空間を創りあげることをめざしています。



★内容、舞台写真は劇団HPから掲載しています

 

あらすじ
 明治の流行作家でありながら、世間に背を向けて筆を折った祖父の広津柳郎。
 一方、ペン一本で「松川事件」の無罪を勝ちとった文学者・広津和郎。
 その父を十年以上支えつづけた娘・桃子ですが、女学生時代の思い出は母との別居による父への不信感ばかり。戦時中も「負ける戦争はしないものだ」とうそぶく父に反発します。
 小説の神様といわれた志賀直哉との親交。文学一筋の親友宇野浩二との出会い。不器用な男同士の友情や面白おかしい人間模様のなかで、やがて遭遇する日本の黒い霧。
 粘り強く裁判をたたかいつづける病身の父に、
ぴったりと寄りそう桃子は、信頼と尊敬をこめて「好きよ。お父さんが好き」とひとりつぶやきます……


かいせつ
 思わずこぼれる笑い、知らず知らずのうちにあふれる涙、心にしみるセリフの数々。
 作家三代のおかしな家族の近景をユーモラスにしっとりと描いた『静かな落日』は、上演を重ねつづけ民藝を代表する舞台となりました。
 2011年は「松川事件」無罪判決からちょうど50年。
一介の文学者・広津和郎が、ふと関わってしまった難事業の歳月を感じます。
「何もしないに限る」とばかり《散文精神》を説いて、志賀直哉らとマージャン三昧、骨董趣味にあけくれた広津が、なぜ松川裁判にのめりこんでいったのか……
 「どんな事があってもめげずに、忍耐強く、執念深く、みだりに悲観もせず、楽観もせず、生き通して行く」
――
広津和郎のことばは、いま、時代の確かな手触りを感じさせてくれるでしょう。


みどころ
『静かな落日』は広津家三代目、
広津桃子の視点と語りで進む。  祖父広津柳浪は、明治時代の女性参政権を描いた「女子参政蜃中楼」で文壇に登場し、社会を鋭く告発したが早々と筆を置いた。
 父広津和郎がこの芝居の中心人物である。戦前戦中の暗い時代に呑みこまれることもなく、自分を見つめ独自の人生観を貫く。晩年は「松川事件裁判批判」に心血を注ぐ。  
 娘広津桃子は父が愛情を感じていない母から生まれた。それで父に対し素直な気持ちになれず複雑な感情を持つが、やがて父を理解するようになり自分の意思で作家への道に入ってゆく。  
 和郎にスポット当てると評伝劇、柳浪と和郎、和郎と桃子の親子関係で見ると家族劇、和郎と宇野浩二、志賀直哉との関係では文学者の友情劇とも読み取れる。  


 

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