『踏台』井口久江役の塩田朋子さん講演会  

平成18年12月16日(土)アステールプラザ会議室で行われた広島市民劇場賞パーティーに 文学座の塩田朋子(シオタトモコ)さんが制作部の矢部さんとともに参加され、作品について話されました。
塩田朋子さん(福岡出身、中学時代福岡の市民劇場に入会していた)
   広島市民劇場出演作品
1999.2月『ピアフ−愛の賛歌−』エイコ−ン客演
     2001.2月『モンテ・クリスト伯』メルセデス役(婚約者)
     2003.5月『缶詰』       旅館の女将役
     2007.2月『踏台』       井口久江役
                     (広告代理店経通の企画制作部長で堺真彦 (渡辺 徹)と同期で元恋人)
【作品について】
 『缶詰』のハコザキ製靴の3人(団塊の世代)。リストラされ今は掃除会社に就職。担当である広告代理店のオフィスで繰り広げられる物語。文芸大作でなく新春にふさわしい、堅くなく、深刻でもないようだが、現代の社会問題であるリストラ、セクハラ、パワハラ、モラハラが織り込まれ実は深刻。色々なキーワードがあり笑ったあとで考える作品。
 初演は2004.10月、静岡、東北、北海道を巡演したが、厳しい評価もあり、公演をしながら、稽古を重ねた。今回も12月18日から稽古。
〈役作りの苦労〉
  40歳代独身OLの役(自分と同じほぼ同じ)
  頑張って仕事をしているけど、団塊の世代からはいやな女と思われている。(世代間ギャップ)世間からかわいそう、大変と同情される事も多いと地方公演の時この世代の女性から聞いた。この役を演じるにあたり、自分の友人から話を聞いたが同じようなこと言っていた。
〈伏 線〉
 同期という言葉が伏線になっている。
3人も同期で社長・専務・常務であったが、今は平の掃除人。しかし、会話していると昔の社長・専務・常務に戻っている。
 新部長井口と元部長堺も大学時代の同級生で先に堺が部長になったがある事で左遷された。何故左遷されたかを井口がほじくり返す。同期なのに人間同士の嫌な部分も見せ合う。
〈缶詰で全国を公演した時〉
 団塊の世代のお芝居ということで、会員であるお母さん方が日頃お芝居を観ないご主人を連れて観に来てくれた。リストラの話だけど観て良かったと入会した人も多い。
【市民劇場について】
 会員層が女性中心で、観るお芝居が偏るのではないかと心配。例会場や交流会で男性を見ると嬉しくなり、どうして入会したのか、お友達をどうやって誘っているのか聞いてしまう。
 今朝、西大寺の会場で講演したが、年度変わりで会員が減っているとのこと。どうしたらみんなが観に来てくれるのだろうかと考えた。解決策はないが色々なお芝居を楽しめる会なのに・・・。
 日々の生活の中で、観劇して何ヶ月かすると忘れることも多いが、このような会(市民劇場賞パーティ等)で思い出すと、一つの場面を切り取って覚えていることもある。
音楽も同様だが、なんといっても生が良い。観に来られる人によって舞台は毎回違う。体調や精神状態にもよるし、会場でも、昼、夜公演でも違う。
 東京ではごしゃ日(批評家・新聞記者が観劇する日)はすぐわかる。客席が冷たい。
役者もその日その日で違うが、開演した時のみんなの空気、ライブ感が良い。
スポ−ツと違い、白黒がつかない、人によって良かったり、つまらなかったりと受けとめ方も違う。
〈お芝居を観た事のない人も誘いやすい
 このお芝居は休憩なしの1時間45分。角野卓造、渡辺徹とテレビで知られた俳優が出演。
 〈お芝居への思い〉
 全国的に会員が少なくなり、ステージ数が落ちている。寂しい思いもあるが、役者にも責任がある。
 お芝居はみんなと交流しながら一緒に作り上げるもの。活気ある例会にしましょう。
一人でも多く増やしてもっともっとステージ数を増やして演劇が特別なものでなくなるようにしましょう。