<あらすじ>
昭和4年11月28日、
東京の世田谷町若林町に一人の女の子が生まれました。
そのこの名前は"くにこ"
やがて、その女の子は物語の母になるのでした。
この物語は、一人の女の子が、物語の母になるまでを描くものです。
彼女が見つめていたものが、
彼女に染み込み、
いつの間にか彼女自身となり、
言葉や物語としてあふれ出していく……。
おかしくてやがて哀しい、
物語の母の物語。
<かいせつ>
向田邦子が作家になるまでを描いた舞台
絶妙なセリフ、鋭い人間観察にもとづく巧みな描写などで『寺内貫太郎一家』『阿修羅のごとく』『あ・うん』など、記憶に残る数々の傑作を生みだした向田邦子。「向田ドラマ」と呼ばれた作品群はホームドラマの基礎を築き、没後30年近く経った現在でも数多くのファンから支持され続けている。そんな彼女が作家になるまでの軌跡を辿る評伝的な要素と、遺した数々の作品からエッセンスを抽出したオマージュ的な要素を交えて舞台化。サクセスストーリーではなく、おかしくて哀しい、立派じゃないけど憎めない人間のあれこれを、向田の視点を通じて描き出す。
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