藤川矢之輔さんによる
「歌舞伎教室〜っ!」
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写真 広島市民劇場
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11月例会 『三人吉三巴白浪』 に先立って、さる9月24・25日の両日藤川矢之輔
さんを迎えて歌舞伎教室が開催されました。ここでは藤川さんがお話してくださった
ことの一部を報告します。
※ 歌舞伎の文字と意味 〜傾くから歌舞伎へ〜 ※
はじめは「かぶき」とひらがなで、 もしくは、傾く(かぶく)という字を使っていまし
た。人と違ったことをする・流行の先端を行く・奇抜な扮装をしている人たちのこ
とをいっていました。
そのうち、かぶきの中で三要素が強まり・・・
歌・・・周りの音楽や謡(セリフの調子から謡うと言われる)和製ミュージカルといわ
れる所以です
舞・・・踊り
伎・・ 演技
この三つが重なった歌舞伎が定着して現在に至ったのです
※ 歌舞伎では一目見ただけでその人物がどういう性格かがわかる!※
三人吉三・・・・お嬢吉三では、大川端でお嬢吉三が裾を引いて登場する。
川端で本当に裾を引いて歩いていたら、ぼろぼろになってしまう
が、女らしいお嬢さんを表現するために裾を引きずって出てくる
んです。
そして美しさを強調しておいたところで、ぱっと裾を持って月をじーっと目で追い
ながら、「月もおぼろに白魚の・・」のセリフをいう!お嬢さんだなーと思っていた
人が一転して啖呵を切る。
全く逆転したことが起こることのおかしみ・歌舞伎独特の世界(発想)です。
※ 世話物の長台詞にはご注意!※
世話物とは、江戸時代の現代劇で日常的な物をあつかった作品です。(三人吉
三もこれにあたります。)
世話物は江戸時代の場面・言葉で進行していきます。町人などの話でセリフも
崩れていてわかりやすくなっていますが、自分の気持ちや生い立ちなどを七五
調で語る長ゼリフがあり、調子は良いんですが、飾りの言葉にとらわれてしまう
と訳がわかんなくなっちゃいます!
例)
「月はおぼろに・・」の名セリフも・・
おぼろも白魚も本筋とは関係ない。「思いがけなく手にした百両こいつは春から
縁起が良いわい」のセリフのために言ってるだけ!(前置きが超長い!)
何だろう?と真剣に考えると歌舞伎は難しいとなってしまう。解ろうと思う神経で
くたびれちゃうんです。頭で理解しようとするのではなく感覚的にとらえて楽しん
で下さい。
※ 歌舞伎と演出 ※
従来の歌舞伎には普通演出家がいません。しいていえば座がしらがいる程度。
だからダメ出しは殆どなし。しかし、それでは観客がどう感じているかがわから
ない。そこで、前進座の舞台では演出進行役をおいてやっています。
※ 3Tを大切に ※
1. テキスト
歌舞伎が上演されるたびに台本が段々膨らんでいってしまうことがあります。
アドリブやおもしろいことをやると楽しいんですが本筋が解りにくくなってしまう。
シンプルにテキスト(原本)に戻って演っていかないとお客には解らなくなってし
まいがちです。
2. テーマ
芝居にはテーマがあります。因果・応報etc・・お客様に共感してもらえるテーマ
をうまく引き出すことが大切。
3. テンポ
歌舞伎はともすれば退屈になってしまいがち。お客様が退屈しないようなテンポ
を作るように心がけています。
我々が歌舞伎を作る上でこれらの3Tを大切に心がけています。
※ 大向こう ※
大向こう(かけ声)ってなかなかできないもんですね。
屋号で声をかけます。大坂屋!ってな感じです。屋号がない役者は名字で呼ん
でやってください。でも実際にやるってのは本当に大変。
それよりもお客様の拍手が頼りですね。三人吉三の時も三人が見栄を切ったと
ころで拍手してもらったら拍手が収まるまで待っていますので、拍手をいただけ
ると本当にうれしいですね。逆に拍手がないと寂しいことになってしまいます。
(笑)
※ 最後に ※
本当にお客様が楽しんでみていただきたいですね。歌舞伎って楽しいんだって
言ってもらいたい。江戸時代の活発なときの歌舞伎の面白さを再現したいと思
いますので存分に味わってください。
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