「日色ともゑさん
  女優人生を語る」



      クレヨンサークル
        田中 美枝子
写真 広島市民劇場

 日色ともゑさんは、安佐南会場を発足するきっかけになった1987年の
特別例会・宇野重吉一座『おんにょろ盛衰記・三年寝太郎』で出演された
俳優さんです。今年の1月例会『かの子かんのん』にも出演、そして来年
の7月例会『アンネの日記』ではお母さん役で広島に来ることになってい
ます。そこで、旧市内・安佐南の両マチネ委員会は、ぜひこの機会に『ア
ンネの日記』で安佐南マチネ増ステ−ジを考えていきたいと思い、この講
演会を安佐南は4月23日、旧市内は24日の平日の昼間に企画したので
す。

 広島市民劇場は、夜例会・マチネ例会(昼例会)・安佐南例会と3ステー
ジの公演を行っています。各会場とも一杯で観劇しているのですが、中で
も安佐南会場は、700席に対して921名の会員数に達しており、4回に1
回は立ち見席。立ち見になると、アステールの会場で観劇をしようと工夫は
していますが、3年近くこういう状態を繰り返してしているのが現状です。そ
こで3会場の観劇条件を良くする為に、そして舞台をより楽しむためにも安
佐南マチネ増ステージに取り組むことが、2003年度の広島市民劇場の課
題として取り組まれています。

 安佐南は4月23日、場所は広島市JA緑井支店。これからの安佐南区の
中心になるであろう町です。参加者は、会員104名、一般の方69名で合
わせて173名。安佐南の取り組みの中では、今までにない参加者数です。
安佐南マチネ委員会は、初めての取り組みに試行錯誤しながらの準備。し
かし、当日は参加数の多さもさることながら、会場の熱気ムンムンに当てら
れてみんな少し興奮気味。14時、講演会は始まりました。

 会場に現れた日色さんは、可憐な感じで清楚という言葉が似合う俳優さ
んでした。亡くなられた宇野重吉さんに「鑑賞会のこと、もっと勉強しろ!」と
言われたそうで一緒に『一座』で各地を廻った話なども折り込みながら、全
国の鑑賞会の厳しい現状も気にかけてくださっていました。また東京公演で
は、自分たちもキップを売っているので人を誘うことの大変さや、各地に鑑賞
会がある事の大切さなども気さくに語ってくださいました。中でも、一番印象
に残ったのは“初々しさ”を大切にいているとのこと。最近、私自身が忘れて
いることを思い出させて戴きました。

 一方、趣味はとの質問に、見た印象とは違って登山など行動的な日色
さん。出演料代わりに貰った“田”に田植えに行くのが楽しみとのことでし
た。針仕事も好きで、パッチワークも大好きとか。日色さんの話し方や生き
方自然体で、一人の人間としての生き方がよく表れているお話でした。話
の途中に茨城のり子さんの詩の朗読も折り込んでくださり、元気と励ましと
そして希望を貰った講演会でした。

 旧市内は4月24日、県民文化センターで10時30分から講演。参加者は
会員123名、一般74名の197名。2日間とも会場一杯でした。

 毎年夏には、地人会公演・朗読劇『この子たちの夏』に出演、広島にも
8月1日竹原、8月2日広島、での公演予定です。

 ただお芝居を観るだけではなく、創る側の劇団の思いや観る側の鑑賞会
とのお互いの接点、また会の成り立ちなどを知るうえでも、こういう講演会の
必要性を感じましたし、市民劇場ならではのもう一つの良さを発見しました。

*公演終了2〜3日後、事務局に来られた会員さんで、「本音を言うと、今
まで誘うことにどうしても積極的になれなかたけれど、日色さんの話を聞い
て誘うことの大切さがわかったよ。これからは頑張って見ようと思う。」と、言
われた一言。私にとって、またまたの感動連続でした。