昭和の本
「本棚」の項目にも書きましたが、先日、オークションで『現代婦人手芸全集 ビーズ篇』という
本を入手しました。
とても古びているのですが、中身はきちんと読めますのでとても満足しています。
ご丁寧にも、難しげな漢字には全部読み仮名つきでしたので、私にも内容がわかりました(笑)。
さて。内容ですが……現代のとはずいぶん違いますね〜(苦笑)。
「非売品」であることも手伝ってか、カラーページは一頁のみ! なのです。
そして、作品数のわりには200頁を越す分厚い本でもあります。
作る人のためにと、図も一応載っているのですが、丁寧な文章で作り方を書いてあるので
ここまでのページ数になってしまったんでしょうね(笑)。
どれくらい丁寧かといいますと、およそ現代の本には紙面の都合で書けないだろうな、という感じなんですが
一番あとの行に「これですつかり(すっかり)出来上がりでございます」とあるのです。
私がレシピを書くことがもしあれば、かならずこの一行を入れてみたいほどです。和む表現です〜。
素材は、ほとんどの作品に丸小ビーズが用いられています。たまに「新ダイヤ」という穴が4つの素材とか
竹ビーズなどが出て来ています。色がよく判らないのがとても残念なんですが、「寶石(宝石)色のビーズ」というのも
出ていました。このビーズで何をするかというと「栗鼠」ちゃんを刺繍するのだとか。「寶石色」の「栗鼠」。う〜ん……(笑)。
作品は、アクセサリーがあまりなくて袋物がバリエーション豊かでございました。
今と違い、首飾りは金具を用いずに頭からかぶる形式のもののみのようです。この本には大作が多くて
ランプシェード・テーブルセンター・鳥かご(中に入るのは本物ではありません)・花瓶敷きなどなど
実際に作ったらずいぶんと達成感が沸き、今後の自分の人生に誇りすら持てそうなほどに根気が必要そうでした……(涙)。
ただ、この本の「序文」において「ビーズウォーク(原文ママ)はこれから後もその装飾手芸として
(中略)益々盛んな流行を見るであらうと言ふ事は必ずしも私共の我田引水的な考へ方と許りは言へないだらうと存じます」
とあるように、今も昔もビーズワークはとても親しみやすい手芸だ、ということがよく伝わってきました。
もしもこの時代にスワロフスキーやファイアーポリッシュビーズが簡単に輸入できていたら、
この昭和初期の女性たちはいったいどんな色あわせをしていたのかな、などと考えてみるのも楽しそうです。
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