<おわりに>

 市民参加型の演奏旅行を目指した今回は、前回よりも施設、学校を訪れ
ての演奏会、音楽教室の割合を増やして行われたが、シリアの人々の強い
関心と積極的な参加が見られたのは大きな成果だった。また現地日本大使
館、国際協力事業団の強いバックアップもあり、50人近くの現地在留邦人
がボランティアとして参加した結果、大規模な参加型国際交流行事とする
ことができた。

 文化、習慣の異なる国で大規模な事業を進めるにあたっては、思うとお
りに行かないことも多かった。現地の人に常に歩調を合わせ続けることは
困難な場面もあり、こちらが主導権を握りながら進めていかざるを得ない
場面もあった。しかし理想的には、あくまでも相手のペースに合わせながら
物事を進める必要があると感じ、これは次回に生かさなければならないと
考える。

 激化するパレスチナ問題に加え、アメリカによるイラク侵攻が進められている
非常に緊張した状況の下で、経済的にも裕福とは言えない生活を強いられてい
るシリア市民の皆様に音楽を届けることで少しでも安らぎの時間を共有するこ
とを願って行われた演奏旅行だったが、彼らの心からの歓待にも助けられて無
事終えることができた。いつの日かこの地の人々に、戦争や紛争に脅かされる
ことのない平和な時代が来ることを祈り、これからも彼らと共に手を取り合い、
歌い続けていきたい。


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