ゴルフ4のフロントワイパーですが、若年式はオーソドックスなパンタグラフ式、高年式はエアロタイプに改められてます。このパンタグラフ式のワイパー、拭き取り動作でビビリが発生しやすく、あまりいただけません。
それに、見た目にスッキリしないし、運転席や助手席からフロントウィンドウの下部にパンタグラフのワイパーが見えるので、前方視界もスッキリしない印象になります。実はこれ、高年式のエアロタイプに簡単にスイッチできます。
こちらがゴルフ4フロント用のエアロワイパー換装セットです。白い箱にはブレードが入っており、ビニールに包まれているのはアームです。エアロワイパーはブレードとアームの取り付け構造が根本的に異なるので、アームごとの交換になります。
作業はまずボンネット後端の養生からです。上写真のように、ボンネットの後端にマスキングテープを貼りますが、4〜5枚貼り重ねてください。運転席側だけでなく、上右写真のように助手席側ワイパーの支点付近にも同じように貼ってください。この養生は、必ず実施するようお願いします。
それから、作業に際しての禁止事項を2点、先に記しておきます。まず、上左写真のように、ブレードを外してアームだけを立てた状態には絶対にしないでください。何かの拍子にアームが降りると、フロンガラスが割れる場合があります。それから、アームを立てた状態でボンネットを開けないでください。アームとボンネットが干渉して、傷ついたり変形するおそれがあります。以上2点、作業中は十分にご注意ください。
養生が済んだら、ワイパーの付け根にあるボルトのキャップを外します。キャップはマイナスドライバーで引っ掛けて抜き取るようにします。ワイパーアームに一箇所窪みがありますので、そこにドライバーの先端を引っ掛けると簡単に外れます。
助手席側のアームも、同様に付け根のボルトのキャップを外します。こちらは、ボンネットを開けた状態で作業した方がやりやすいと思います。やはり。窪みのところにマイナスドライバーを引っ掛けて外します。
つぎに、ワイパーアームの支点をとめているナットを外します。13mmのレンチを用いて反時計方向に回すと外れます。運転席側、助手席側とも、ボンネットを閉じた状態で作業できるます。
ナットを外したら、アームを手で持って引き抜いてみてください。この状態で引き抜ければラッキーですが、固着していて抜けない場合が殆どだと思います。抜けない場合は、アーム付け根の固着している部分に浸透性潤滑材を吹き付けて、5〜10分くらい待ちます。
潤滑材が浸透するのを待ち、ナットを裏返しに締めます。手で締まるところまで締めてから、1回転ほど戻しておきます。その状態で、上右写真のようにナットのフランジとアームの付け根をウォーターポンププライヤーで挟みます。このとき、かなり思いっきり力を入れてください。
これで抜ける場合が殆どですが、これでも抜けない場合がときどきあります。スライディングハンマーがあれば使えますが、一般的な工具ではないので、上記の方法で抜けない場合は以下のステップに進んでください。
イグニッショんを一旦ONにしてワイパーを作動させ、ワイパーが丁度真上に来たときにイグニッショんを切ってワイパーの作動をを止めます。その状態で、付け根の部分を今度は下側からプライヤーで摘みます。ここでも、やはり思いっきり握ってください。この方法であれば、内部の構造(モータやリンクなど)に負担が掛かる心配はありません。
2〜3回プライヤーで摘んだら、またワイパーを作動させて水平位置に戻し、今度は上から摘みます。要は、付け根の固着部分に交互にギクシャクと力を加えることで少しずつ抜けてきます。ワイパーを立てて下から摘み、寝かして上から摘むのを数回繰り返すと、まず間違いなく取り外しができます。
なお、ワイパーを作動させる際は、ガラス面を清浄にして、かつできればガラス面が濡れた状態で行なってください。乾いた埃を噛んだ状態でワイパーを作動させると、ガラスに微細なキズが入る恐れがありますので、ご注意ください。
これで、アームを軸から緩みますので、あとはナットを回して外し、アームをしっかり持って引き抜きます。運転席がわ、助手席がとも、ボンネット等にぶつけないように気をつけて、完全に取り外します。取り外しさえ完了すば、あとは難しい作業はありません。
なお、アームは、水平位置(定位置)の状態で外しますが、もしそれ以外の位置で外した場合は、イグニッションを一旦ONにしてワイパーを作動を切り、必ずシャフトの回転が定位置に戻っているようにしてください。
アームが外せたら、新たに取り付ける方のエアロワイパーブレードとアームを組み立てます。アームは全長が長く途中が緩く「く」の字に曲がっている方が助手席側、全長が少し短く比較的ストレートの形状の方が運転席側です。ブレードは、長い方が運転席側、短い方が助手席側です。
アームにブレードを取り付けるのは至って簡単で、ブレードとアームを直角にした状態でブレードの穴にアーム先端のピンを挿し、そのままブレードがアームと平行になるまで回転させれば完了です。
アームにブレードをセットしたら、助手席側からシャフトに差し込み、ナットを手で仮締めします。アームはバネの力で反発しますので、浮かないように、根元付近を少し押さえつけながら、ナットを手で締まるとことまで締めこみます。
運転席側も、同様に差し込み、付け根が浮かないように押さえ気味にして、手でナットを締めます。アーム付け根のテーパー穴(先細りになっている穴)には、新品状態ではナール(回転防止のギザギザ)が切ってありませんので、この時点では角度を任意に調整できます。
ワイパーの取り付け角度は、ガラス面にあるターゲットマークを目安にします。上左写真の丸印が、ターゲットマークです。運転席側はブレード先端の延長がこのターゲットマークに来るようにします。助手席側はブレード中央付近にもターゲットマークがありますので、目安にしてください。
それほど厳密である必要はないですが、運転席側のブレードの延長線と、助手席側のブレードの延長線が丁度ターゲットマークのあたりで交差する感じに合わせると、見た目のバランスも良く、拭き取り範囲も適正になるようです。
この時点で運転席と助手席にそれぞれ座ってみて、ワイパーの見え方を確認してください。一目瞭然、パンタグラフ式のワイパーよりも格段にスッキリ見えます。運転席側と助手席側のブレードの見え方が極端に違っていたり、位置が高くて視界の邪魔になる場合は、外に回って取り付け角度を再調整します。
ブレードの取り付け角度が決まったら、ここでナットを一旦仮締めします。この時点では、もしかすると取り付け角度の再調整が必要な可能性がゼロではないので、ナットを緩めに締めておきます。軸が空回りしない程度に規定トルクの3分の1くらいで締めて下さい。規定トルクは15Nmなので、その3分の1、つまり30cmのレンチの先端を1.5キロくらいの力で回す程度のトルクです。
仮締めしたら、ウォッシャー液を出しながらワイパーを作動させ、拭き取り範囲を確認します。とくに、運転席側のブレードが振りすぎてピラーに当たらないか、また拭き残しの部分が大きすぎないかチェックしてください。上右写真の位置くらいまで拭けていれば、問題ありません。
さらに、ワイパーを作動させてスイッチを切り、停止したままの状態で、再度ターゲットマークとの位置関係を確認します。先ほど取り付けたときに合わせた位置と概ね同じであればOKです。違っている場合は、作動させた後の停止位置の方が自然な定位置ですので、一旦ナットを緩めて再度角度を微調整します。
角度調整が完全に決まったら、ナットを本締めします。本締めの際は大きなトルクを掛けるので、シャフトや内部のリンクに無理な力が掛からないように、ワイパーアームを押さえてレンチを回します。
締め付けトルクは15Nmなので、30cmの長さのレンチならその先端付近を握って約5kgの力で回す感じです。それほど厳密でなくても、大丈夫です。ナットを締めたら、もと使っていたキャップを被せて完了です。
仕上がりは、こんな感じです。あとは養生のマスキングテープを剥がせば完了です。パンタグラフ式よりも、格段にスッキリしますね。現代的な感じです。何より嬉しいのは、外観よりも運転席からの景色です。まるでフロントウィンドウが少し広くなったかのように、視界が開けます。
若年式のゴルフ4にお乗りの方には、工房長が自信を持ってお奨めするモディファイメニューです。是非お試しください。なお、ポロ用のフロントエアロワイパー取り付けも、上記と同じ手順で行なえますので、ご参照ください。
ブレードが古くなった場合の交換用ブレードは、ディーラーで純正部品をお買い求めいただいてもOKですし、maniacsでもご用意いたしますので、ご安心ください。