大阪府在住のMさんからの情報提供です。足まわりをオーリンズの純正形状ショックに変更されています。アイバッハのバネとの組み合わせを試され、その後純正バネとの組み合わせに変更された経緯をまとめて下さいました。オーリンズの物造りの姿勢についてもコメントを加えて下さっており、参考になります。以下、大阪のMさんのレポートです。
脚を換えようと思い立ったのは、2万キロを過ぎた頃から突き上げを感じ始め、発進、停車時の上下(ピッチング)が出るようになってきたことが主な理由です。ゴルフを含め、ドイツ車で脚(ダンパー)を換えるなら、ビルシュタインがメジャーだと思いますが、過去にレガシーB4(ビル付)に試乗した際、とても硬く感じたのと、バイクのサスをオーリンズに交換して、それがすごく良かったことから、GOLFのダンパーもオーリンズに決めました。
バイク(CBR1000F)用のサスをオーリンズに交換して感じたことは、バイクの性格がツアラーであることもあり、より遠くへ快適に移動できる乗り物になったということです。しかし、それだけでは無く、ノーマルとは段違いのトレース能力を手に入れ、ツーリングの最中にワインディングを楽しむことも十二分にできます。
さてGOLFですが、オーリンズのダンパーに、バネはアイバッハを組み合わせてみました。これは、色々と調べたところ「ガスショック+ノーマルバネだとノーマルより車高が上がってしまう」という情報を入手したからです。それと、同じ交換するなら「少し低めに、カッコ良く」という狙いも有りました。
(単筒ショックはガス反力が強いことから、バネが同一なら複筒に比較して車高が上がり気味になります、とくにリア側は軸重が軽く、サスペンションのレバー比も作用することから、車高が上がる量も多めになります。ノーマル形状の単筒ではオーリンズとビルシュタインがポピュラーですが、ビルシュタインのガス反力は非常に強く、それに比べてオーリンズのガス反力はさほどでもありません。ビルの場合は無視できないくらい車高が上がりますが、オーリンズでの車高の上がり具合は極僅か、無視できる程度だと思います。管理者補足)
写真は、アイバッハとオーリンズを組み合わせて装着した時のものです。車高が程良く下がってイイ感じです。しかし、この組み合わせを装着後、なかなかセッティング(ダンパーの減衰力調整)が決まりませんでした。一般道で合わせると高速で柔らかく、高速で合わせると一般道で硬いというものでした。色々やって行くうちにそこそこのセッティングが出た頃、丁度タイヤの寿命が来たのでパイロットプレセダに交換しました。タイヤを交換して、さぞかし良くなるだろうと思っていたのですが、期待とは反対にドタバタするようになってしまいました。
そこでバネ下重量に差があるのではないかと思い、タイヤの重量を調べて見ました。結果は表の通りで、標準タイヤのMXMと比べてプレセダは約1kg/本重いことがわかりました。で、「バネ下が重くなったからドタバタするんだ」と思い、またタイヤの剛性も低い感じでグニャグニャした感覚もあったため、ホイールを含めた再交換を考えました。(検討したホイールの重さと、組み合わせた時の重さも、表にまとめてあります)
オーリンズ+アイバッハ、それに純正BBSとプレセダを組み合わせた足まわりは、私にとって片道50キロを超えると疲れを感じるような乗り味になっていました。2ヶ月くらいは乗って、調整して、を続けていましたが、足がドタバタする感じは拭えませんでした。ちょうどその頃、アウディのA4,ニューA3の試乗をしたのですが、全くバタバタしないのです。しかもA3のタイヤは225/45−17でホイールを考えるとゴルフの物より重いはずなのに...。それから、ホイールとタイヤの再交換はやめて、バネを純正に戻すよう考え始めました。
オーリンズの理念として、「不要なものは作らない」という思想が伺えます。具体的には、2輪用のオーリンズで、私の乗っているCBR1000F用のリプレイスサスは、リアのみのラインナップで、フロントは用意されていません。別の車種ではフロントのスプリングまで用意されているものもあります。それから推測すると、GOLF用にノーマルバネとの組み合わせを前提としたショックを出しているのは、ノーマルのバネで十分とオーリンズが判断したのだと考えられます。オーリンズに聞いて見ると「GOLF用オーリンズ・サスはターボモデル(のノーマルバネ)を前提に設計している」とのことでした。
(純正バネと組み合わせた写真です。フロントは単筒倒立式、調整ダイヤルは下側になります)
上記のように車高の関係もあり、当初からダンパー交換+ばね交換を考えてしまったので、とにかく硬くならないバネを調べてたどり着いたのがアイバッハでしたが、結果から言うとバネ交換は不要だったようです。定期点検+バネ交換を済ませて戻ってきたゴルフの車高はノーマルの車高とほぼ同じです(C/GLiほどは高くはありません)。そして乗り心地もCBR1000F用オーリンズの感覚に近く、タイヤが上下に動いてはいるけど、動いていることを感じさせないものでした。「これこれ、この感じ」です。
(オーリンズはリアも単筒倒立で、アッパー側がシリンダーになります。調整ダイヤルは下側です)
とりあえず調整は標準状態(前、後共締め込み状態から7クリック戻し)ですが、これでも十分な感じです。結果から判断すると今回の乗り心地の悪さはローダウンスプリングと標準ストロークダンパーの組み合わせによるものだと思います。GOLF乗りの方の中にはビルのショートストロークとH&Rの組み合わせで良い感じ結果を報告されている方を見受けましたので、どうやら、オーリンズには標準長さのバネ(GTI用)が良いようです。アイバッハとオーリンズの組み合わせではストローク不足になるのではないかと思います。
オーリンズの選択に先立って、COXでゴルフに乗せてもらいましたが、あのオーリンズはひょっとするとストローク(とダンピング)の変更をしてあるかもしれません。(COX SS−2キットのオーリンズは、減衰力だけでなくストロークも専用にセッティングしてあるそうです:管理者補足)長々と書きましたが、とりあえずは長距離を走れる車に戻ったと思います。下の写真は、オーリンズ付の愛車、CBR1000Fの写真です(お金使いすぎかも...)。
ノーマルバネ+オーリンズサスに交換後前後調整を1クリックずつ加減を調整しましたが、今のところ標準の前後全締−7クリックが一番の好みです。
詳細なレポートを送っていただき、どうもありがとうございました。私自身、オーリンズには興味津々でしたので、とても参考になりました。
(このページは、掲載している方法および結果を保証するものではありません)