8.ステアリング換装 (1/1ページ)

 プチチューニングpatariloさんのつてで、R32用純正ステアリングホイールが入手できるとのこと、しかも「今回が最後」とのことで、おもわず飛びついた次第です。pataさんのお車にはこのステアリングが装着されていて、じつは昨年のオフ会で一度試乗しています。太いグリップ、筋肉質の造形、手にしっとりと馴染む皮質など、バツグンの感触とカッコ良さで、ほとんど一目惚れでした。

 こちらが、そのステアリング。一般には入手難なようですが、私はpataさんのお世話になってほとんど労せずしてゲット。pataさん、ありがとうございます。入手は困難でも、取り付けは簡単。GTIのノーマルステアリングと全く同じ構造ですので、エアバッグユニットはノーマルをそのまま使って、ステアリングだけポン付けでスワップできます。

    

 ステアリングの交換は、まずエアバッグの取り外しから行います。エアバッグの取り外しは、物理的な取り外しと、電気的な分離があるのですが、まずは物理的な取り外しから行います。上の写真は、取り付け前のR32用ステアリングの写真ですが、ノーマルのステアリング内部も全く同じ構造になっています。エアバッグは、左写真の左右2ヶ所のクリップで引っ掛かって止まっているだけです。右写真は、ステアリングを裏側から見たところですが、矢印の穴(アクセスホール)からマイナスドライバーを挿し込んで、クリップを開いてエアバッグを取り外します。

 実際の作業は、写真のような感じで行います。ステアリングをどちらかに90゜回転させて、アクセスホールを上側に持ってきて、手探りならぬ、ドライバー探りでクリップを開きます。ドライバーの先端をクリップに引っかけて、柄の方を上に持ち上げるようにするとテコでクリップが開くのですが、全く見えない状態での作業ですので、慣れないとちょっと手こずります。交換する方のステアリングで表から見ながら練習してみて、感触をつかんでから挑戦すると上手くいきます。 

    

 左写真は、クリップの拡大、右写真はドライバーを突っ込んでテコでこじってクリップを開いた状態です。クリップは一杯まで開かないとエアバッグユニットが外れてきませんので、確実に一杯まで開くようにします。片側のクリップが外れたら、ステアリングを180°回転させて、逆側も同じように外します。このとき、ステアリングを回転させるために(パワステを効かせるために)一旦エンジンを始動することになりますが、エンジンを掛けたままアクセスホールにドライバーを突っ込むと、ホーンの回路が短絡して「ビーッ」とクラクションが鳴ってしまいます。ステアリングを回したら、エンジンを切ってからドライバーを突っ込む必要があります。

 クリップを両方外すと、エアバッグユニットが外れますが、線はまだつながっています。この状態でエンジンを掛けて、ステアリングをセンターに戻しておきます。戻したら、エンジンは切って、キーを抜きます。以後、ステアリング交換がすんで、エアバッグユニットの結線が完了するまで、イグニッションをONにしてはいけません。エアバッグユニットがない状態でイグニッションをONにすると、エアバッグ警告灯が点灯してしまうからです。エアバッグの警告灯はホールド機能になっているので、一旦点灯させてしまうと障害状態を解消しても警報(警告灯)は復帰せず、診断装置をつないでリセットしなければならなくなります。実は、私はそれをやってしまい、ディーラーのお世話になってしまいました。要注意です。

 エアバッグユニットのハーネスは、エアバッグユニット側を接続したまま、ステアリング側から分離します。コネクタ1つと、はめ込み端子2つを外しますが、上写真の端子1つは外れにくいかもしれません。ドライバーなどで外しますが、どうしても外しにくい場合は、ここを分離しないままステアリングを先に外して、それからステアリングの裏側からドライバーを入れて端子を外すことになります。下の例では、表側から外して作業を進めています。

    

 左写真は、エアバッグユニットを完全に外した状態です。この状態で、あとはセンターのボルトを1本外すだけなのですが、このボルトはトリプルスクエアという特殊な形状をしています。それ用のスプラインビットが無いことにはどうしようもない状態。右写真は、ヤフオクでゲットしたトリプルスクエア用スプラインビットのセットです。これで1980円、送料200円で送ってくれましたので、ディーラーやショップで交換を頼むよりは、工具を買った方が安く上がります。ステアリングのセンターボルトにはM12用のスプラインビットが適合します。

 センターボルトを外したら、ステアリングはスポッと抜けますので、交換して再びボルトを締めるだけです。VWのこのステアリングには、シャフト側にもステアリング側にもセンターの合いマークが打ってあるので、交換時にセンターズレを起こす心配はありません。外す前に、合いマークが合っていることを確認したら、交換するステアリングも合いマークを合わせて挿し込めばOKです。挿し込んだら、ボルトを締めて完了。あとはエアバッグの端子をもとどおり結線して、エアバッグユニットをハメれば完了です。エアバッグユニットはバチンと押し込むだけでハマります。

    

 っで、取り付け完了した状態が、これです。2時と10時の位置の内周側にちからコブがあり、3時と9時の位置には外周側に手のひらがフィットするような絞りがあります。その下の4時と8時の位置は外周側が膨れていて、全体としては内周、外周ともにデコボコしています。ぶっとい上に形状が筋肉質なので、見た目のカッコ良さはノーマルの比ではありません。皮の感じもソフトで手に良く馴染み、握った感じも完全に一回り以上太く、スポーティそのものです。まるで違う車を運転しているかのような感覚にすらなります。

 ・・・が、これが実は具合良くなかったんです、私には。どう感じたのかというと...

 まず、握りが全体に太すぎて、鷲掴みになってしまう感じ。断面形状が扁平で奥行き方向に長いため親指の腹を乗せ難いことも、鷲掴みの感じを増長します。掌の中で遊びがないので、手首を使った繊細な操作には向かず、腕全体で力ずくでねじ伏せるようなイメージになり、GTIのステアフィールはとマッチしない感じです。それに、GTIのステアリングギアはロックトゥロックが3.1回転とゲインが低めなため、町中などではかなりグルグルとハンドルを回す必要があるのですが、その低めのゲインと鷲掴みの感覚が、何ともチグハグな感じなのです。

 もともと鷲掴み系の操作を好む方にはフィットすると思われますが、私の好みには合いませんでした。やはり、このステアリングはロックトゥロック2.6回転のR32に装着してこそ本領を発揮するというのが率直な感想。わたし的にはGTIに装着するならギアボックスごと変えないと、って感じです。もちろん、そこまでやると今度はステアフィールと足周りのバランスがチグハグになるのでしょうが...。VWはやはりスゴイですね。車全体の方向性から、ステアリングホイールまでを考えているのだろうと、実際に交換してみて感じた次第です。

 加えて、私の場合は右手で4時の位置付近を持つことが良くあるのですが、そのときに4時の外周の出っ張りが掌にフィットせず、違和感があります。気にしだすと余計に気になり、長時間乗っているとイヤになってきます。このステアリング自体は非常に格好良く、皮の感じも高級感があって良いし、それに何よりもレア物ということで、何とか使いこなそうとノーマルと何度か付け替えたりしながら検討を重ねたのですが、さんざん悩んだ挙げ句、結局ノーマルに戻すことにしました。pataさん、お骨折りいただいたのに、ホントすみません。

       ←結局コレ

 3.5万キロ使ったノーマルのステアリングは、すでにテカリがあって滑りやすく、新品のR32用とは比べるべくもなく見窄らしいのですが、でも、やはり操作しやすく、しっくりくることの方が優先だというのが私の結論です。今回の教訓は、やはりノーマルは偉大なり、そして不満のないところは弄るべからず、って感じです。いかにもわたし的な展開で、我ながら笑ってしまいますが。家内には、「また、せっかく買ったのに気に入らないわけぇ?」といわれてしまう始末。返す言葉もございません。・・・いずれ、ヤレがひどくなってきたら、ノーマルの新品をヤフオクででもゲットして交換しようかと思っています。

(このページは、掲載している方法および結果を保証するものではありません)