猫2(にやんにゃん)パラダイス
訪問記
7月のある日、千葉県安房郡鋸南町にある
「世界の猫グッズ博物館・猫2パラダイス」に
行って来ました。
博物館は、まわりを畑にかこまれた、とてものどかなところにありました。
外観は何の飾り気もなく、コンビニのような建物で、「これが博物館?」という感じでしたが、中に入ってビックリ!
世界各国の珍しい猫グッズや猫の絵、本などが所狭しと並べられ、館内は猫猫猫で埋め尽くされていました。
近くの海岸や畑などで保護された子猫たちが、ゲージの中でミャーミャー鳴いています。里親さんを待っているのだそうです。
受付でにこやかに迎えてくれたのが館長の小林幸子さん。
暮れの紅白でド派手な衣装を着る同名の方とは大違いで、とても穏やかで慈愛に満ちた女性でした。
館長は小さいときからの大の猫好きで、ご主人と世界各国をまわって珍しい猫グッズを集めて、お二人でこの博物館を開いたのだそうです。
展示してある猫グッズを一つ一つ説明してくださり、どのような経緯でここにあるのかということを、熱く語ってくれました。
猫に対する深い想いに心を打たれました。
展示品で最初に目に付いたのが、奇妙な木彫りの置物です。
顔が猫で、体がオランウータン、手足が人間の形をしていて、高さは1メートルぐらいでしょうか。
これは、東マレーシア(ボルネオ島)のネコという意味の町クチン市で手に入れた木彫りの置物で、昔、首狩り族であったイバン族(森の人という意味)が彫ったものだそうです。
マレーシアのクチン市は文字通り猫の街で、街のいたるところに猫の置物があり、猫をとても大切にしているそうです。
「ぜひ一度行ってみてください」と館長。ほんとうに行ってみたくなりました!
メキシコの長い猫。
白黒のペアの貯金箱です。
台湾のドレスを着た猫。3匹とも顔
が違う。とってもラブリーです♪
チェコスロバキアの飾り大皿
素朴な猫の顔に引きつけられます
タイ(チェンマイ)の木彫り猫
鮮やかな赤が目を引きます
水牛の角で出来たタイの猫。
カップルかな?
バザルト石製のバステト神。
カイロの古物商と物々交換で手に
入れた逸品だそうです。
* ガラス越しの撮影のため少々不鮮明です。
これはサラワクシルクといい、マレーシア製のシルクの布で、猫の顔が染め抜かれています。
色とりどりの布にさまざまな猫が描かれていてとても美しく、心から「欲しい!」と思いました。
残念ながら展示品で、買うことは出来ません。販売するとしても、とてつもなく高い値段になることでしょう。
こんな布を身にまとって海岸を歩いてみたいわ〜♪
館内の一角に和室のようなスペースがあり、部屋のまわりにぐるりと本が並べられています。ここは「ニャンコ文庫」といい、蔵書はすべて猫に関する本で、猫の写真集からマンガ本、飼育書、小説など、あらゆる猫本が ここに集結していました。その数1200冊!日本一の猫の文庫です。「ドラえもん」まであるのには笑ってしまいました。
読みたい本がたくさんありましたが、時間がないし借りるわけにもいかないので、残念ですがあきらめました。
その部屋のテーブルの上に、アルバムが数冊置いてあります。中を見ると、家族と一緒の猫の写真や手紙などがきちんとファイルされています。ここから里子に出された猫ちゃんのその後を、里親さんが写真や手紙で知らせてくれたものだそうで、みなさん猫と戯れて幸せそうな写真ばかりです。
館内にはゲージに入った猫が10数匹、里親になってくれる人を待っています。さまざまな事情でここに来た猫ばかりです。
海岸や畑や川で保護されたコ、飼い主の事情で持ち込まれたコ、中にはこの博物館の前に置き去りにされたコもいるそうです。
写真のコはほとんど全盲で、お医者さんもサジを投げたほどの薄幸の子猫ですが、館長さんご夫妻の手厚い介護のおかげでこんなに元気になりました。
訴えるようにこちらを見る顔はとても可愛く、できることなら連れて帰りたいとおもいましたが、ダイスケの子どもたちのことを考えて、涙をのんで思いとどまったのでした。
一通り館内を見たあと、ご主人が「猫とのふれあい場」に案内してくれました。そこには、大人になった猫さんたちが思い思いの場所で、思い思いに遊んでいます。この子たちもさまざまな事情でここにいるわけで、やはり里親を待っています。ただし「最期まで責任を持って飼ってくださる方」ということが 必須条件です。
スコティッシュフォールドの
ナンチャン。
ロシアンブルーのセロリちゃん。
とても恐がりで触らせてくれなかった
勝山のカッチャン。
なぜか眠くて眠くて・・・
サンタローお得意のポーズです。
伸びをしたついでに死んだふり・・?
お腹の毛が抜けちゃったの。
でも夏向きでしょ?
ここではご主人が、それぞれの猫の名前や性格、特徴を詳しく紹介してくださいました。
ふれあい広場にいっしょに入ったのは、兵庫県から来たという二人の若いカップルだけ。このカップルも大変な猫好きらしく、猫のことをよく知っています。3人で猫と遊んでいるところは、娘夫婦とその母親に見えたかな?
「猫2(にゃんにゃん)パラダイス」は道路を挟んだ反対側にあります。博物館の玄関でゴムのサンダルに履き替えて、ご主人の案内で「猫2パラダイス」にむかいました。そこも質素な作りで、ペットショップのようなたたずまいです。入り口で手を消毒し、室内に。
ここには、かってペットフードのCMなどに出演したタレント猫ちゃんたちが80匹ほど暮らしています。さすがにみんな美猫ぞろいで、珍しい種類の猫ちゃんもたくさんいました。
でも、このタレント猫ちゃんたちがここに来た経緯をご主人からうかがい、唖然となりました。猫のプロダクションが倒産し、行き場のなくなった猫たちを引き取ったというのです。ここに来た当時は健康管理もおろそかにされていて、栄養失調や腎臓病の子も少なくなかったとのこと。
カメラやライトに照らされてストレスに耐え、人間のエゴに振り回され、必死で働いてきたタレント猫ちゃんたち。ブームが去ったからといってポイではあまりに可哀想です。
今では各地のデパートなどのイベントに招かれてみんなで出演しているそうです。かっての栄光とは程遠いけれど、今でもみんなの注目を集めているようです。よかった・・・
スコティッシュフォールドの
うなぎ君
スフィンクスの
クールちゃん
アメショーのマリオ君
マルハのCM「銭湯編」に
出演しました。
* タレント猫さんのほんの一部です。
タレント猫ちゃんのいる部屋の奥に、もう一つ部屋があって、そこでは自由に猫と触れあうことができます。部屋のすみのベンチに座ると、人なつこい猫がヒザに乗ったり肩に登ったりしてきました。中には爪を立ててひっかく子もいて、肩にはみみず腫れが・・・
毛の長い子、短い子、カールした子などなど触り放題で、ウチのダイスケきり抱いたことがない私には、幸せなひとときでした。
係りの女性が運動場に行くコを迎えにきました。どの子が行くのかな?
カメラを向けるとポーズをとってくれました。
ひとしきり猫と遊んで外に出ると、洋服は猫の毛だらけ。このまま帰ったらダイスケはヤキモチ焼くかな?
再び「世界の猫グッズ博物館」に戻り、おみやげを物色。
どれもこれも欲しいものばかりです。
「バリ島の猫の置物」とマグカップを買いました。
館長に見送られて外に出ると、可愛い猫の看板が手招きしています。
「とっても楽しかったよ♪ また来るからね。」
駐車場で、あのカップルにHPのアドレスをメモして渡しました。見てくれるかなぁ?
二人はこれから伊豆の「猫の博物館」に向かうのだそうです。猫巡りの旅をしているのかしら。すてきなカップルでした。
(おわり) 2003年7月
「世界の猫グッズ博物館」と「猫2パラダイス」のHPはこちらです。
館長ご夫妻のご協力に感謝いたします。