ノーマルプーリーの加工(SK用)
< 能書き >
カメファクの新旧、WJマロッシと数点社外プーリーを試しましたが、
夫々に良い性格を持っている物の、街乗りで使おうとすると、
いまいち「コレ!」というバランスに優れた物がありません。
贅沢を言えば、ノーマルがもう少し、低速を稼ぎつつ、
高速側でも作用してくれると嬉しいのですが・・・・
と、手元に余っていたSK用のノーマルプーリーを眺めているうちに
「加工できる余裕がある」と、気が付きました。
思い立ったが吉日。
お馴染、アド通専属の技術主幹、山ちゃんの工房(要は仕事場!?)に潜入して
旋盤を拝借してきました。
< 目 的 >
ノーマルプーリーの素直な特性を殺さないまま、
ワンランク上の低速〜高速性能UPを狙います。
< チョイス >
< チョイス >
今回、私がチョイスしたのはコレ!
って、SK1型のノーマルプーリーです。
左側はこれからご案内する、加工済み品。
右側がノーマルです。
< 内 容 >
< 加工前 >
ノーマルプーリーの頂点部です。
内部のメタルが飛び出さない用に
(圧入されているので簡単には動きませんが)
ストッパーの役目をするような形状になっていますが、
結構厚みがあります。
目を付けたのはこの部分でした。
↑このような感じで、頂点部の厚みだけ落とす感じで、
外周付近は削らない角度で切削していけば、
低速側のベルトの落としこみ量が増えるので、
アド特有の苦手なスタートダッシュが良くなるのでは?と、
考えました。
また、頂点が削れる事により、
ローラーを更に外側へ行かす事が出来れば、
プーリーの移動量も増えるので、最高速UPにも
貢献してくれそうです。
< 加工後 >
そんな訳でサクット、加工後の写真です。
加工は、毎度お馴染の、アド通専属主幹技術員、山ちゃんの
工房にお邪魔して、旋盤を借用して来ました。
加工後、ランプレを仮装着して、ボスの突き出し量を測ると、
ノーマルより0.5mmほど増えていました。
< 加工前2 >
さて、正面側の、低速側の加工が終わった所で、
今度は、高速側の加工です。
目的は、WRの移動量アップなので、
転動面の高速側を加工する事になります。
ココは、リューターでの加工です。
(良いサイズがあれば、ベルトサンダーの方が綺麗に出来そう・・)
< 加工後2 >
なるべく外側の壁を、
転動面に沿うように均一に滑らかに削ります。
この外壁、初期(W型)のプーリーでは
低く作成されているので、初期プーリーで加工したほうが
とても楽に作業が進みそうなのですが、
私の場合、シャキッとした変速感の強い、SK型プーリーを
使用したかった為、面倒臭い加工となりました・・。
< 効果 >
ローラーが外壁に張り付いた状態です。
上が加工前、下が加工済みです。
外壁に穴が開かない程度に、ほんの少し
(深さにして1mm程度)しか削ってませんが、
WRの移動量は思いの他、増えています。
ノーマルプーリーは新品でも3000円でお釣りが来るので、
下手な社外プーリーを買う予算で、2個買えてしまいます。
もっとも、、、自分で作業した工数を工賃換算すると、
社外プーリーとあまり変わらない価格になってしまいそうですが・・
<バージョンアップ?>
更に、最高速を狙って、試験的に外側の壁を取り除いた仕様も
作成してみました。
ところが、取り除いた外壁の効果を発揮する前に
プーリーがフェイスとタッチしてしまうらしく、
最高速は変わらずで、
バージョンアップ前の加工プーリーと同じ性能でした。
余談ですが、勢い余って
手持ちのスペア3個を全部施工してしまいました。
< 注意事項 >
・ウェイトローラーには、装着方向があります。ご注意下さい。
また、クラッチケースを外す際に、インパクトドライバー等を使用される場合は
くれぐれも手を叩いてしまわない様にご注意下さい。
・ベルトを駆動させる部部ですので、油脂は滑りの原因となり天敵です。
プーリー表面への油脂の付着はご注意下さい。
・走行時、常に回転している重要部品です。
作業は細心の注意を払い、作業漏れ等ないようにご注意下さい。
< 使用する材料 >
・SUZUKI純正プーリー(SK-1用)
品名:フェイス、ムーバブルドライブ
品番:21120-11F11
値段:2700円/個 位だったと思います(要確認)
< 使用する工具 >
・インパクトドライバー(クラッチケース)
・プラスドライバー
・プーリーロックレンチ(スズキ車用)
・17mmソケットレンチ
・旋盤
・リューター
< 使用するケミカル >
・パーツクリーナー
< 参考文献 >
特に無し
< インプレ >
さて、待望のインプレ?です。
先ずは、ローラーや他の駆動系パーツのリセッティング無しに、
加工プーリーだけ装着して走りました。
当然のことながら、ベルトスライド面の角度が変わっている(寝ている)ので、
マッタリとした加速感になりました。
マッタリと中低速を過ごし、高速側でキビキビする感じ(無加工品のように)です。
変速回転数にして、ピーク部で150〜200rpmほど落ちています。
肝心なスタートは、ベルトの落とし込みが深くなったのが功を奏したのか、
ヤマハ車程にはなりませんが、それに近い、「ドバッ!」と出る感触です。
WRをトータル94.5gから90gに変更して
リトライです。
かなり良くなり、ドバッっと出て、そのまま、ノーマルプーリーと同じ加速感で
最高速域へ突入です。
90kmまでの加速タイムの比較は以下の通りです。
速度 | 加工前 | 加工後 |
〜30 | 2.80 | 2.73 |
〜50 | 4.23 | 4.08 |
〜70 | 6.21 | 6.01 |
〜90 | 10.58 | 10.32 |
〜100 | 14.89 | 14.12 |
比較する分には、〜50までの到達時間が
良くなり、そのアドバンテージを保ったまま、
加速していく感じです。
その後、90〜100km/hにかけては、
WRとプーリーの移動量が増した事により
変速終了点の違いからか、加工前に比べ、
一気に伸びて行く感じです。
そしてココからが、今回のプーリーの本領発揮のデーター。
以下が今まで使用していたWPC加工したプーリーとの最高速の比較です。
< WPC加工プーリー >
計測条件 | 最高速 |
実用範囲内(30秒以内) | 115km/h |
最高速測定ステージ | 127km/h |
< 今回の加工プーリー >
計測条件 | |
実用範囲内(30秒以内) | 121km/h |
最高速測定ステージ | 130km/h |
と、ノーマルプーリーながら、
カメの新型プーリー(最高速133km/h)に迫る勢いです。
(流石に外径に差があるので、カメに歩がありますが・・)
<主なエンジン仕様>
・シリンダー : キタコ改
・ピストン/リング/ピン : キタコ改(WPC+謎ショット)
・ヘッド : 純正改57.5Φ 容積秘密
・リードバルブ : CR80
・キャブレター : PWK33 MJ#135 SJ#40
・ベルト : カメ
・プーリー : SK純正(WPC+謎ショット)
・ランプレ : W純正(WPC+謎ショット)
・トルクカム : SK純正
・クラッチ : マロッシデルタ 黄色バネ
・センスプ : 社外レッツ用
・ギア : カメハイギア
・マグネト : 純正改(軽量)
・点火時期 : 純正改 5°進角
・CDI : W純正
・IGコイル : RS125(NX4)
・マフラー : W純正改(謎ファインチューン)
結果として、満足行く結果となりました。
実は、施工前、半信半疑だった事も有り、
中古の古びたプーリーで実験したのですが、
かなり良い感触を得られたので、
その後新品を買いWPC加工した上で、最施工したのでした・・(笑)
(写真が、新古入り乱れているのはその為だったりします・・)