ランププレートの謎!?


< 能書き >

予ねてから、各諸サイト様や、掲示板等で時折話題になるランププレート。
アドレス110シリーズでは、大まかに分けて3種類あり、
特に初期型と呼ばれる「W型」と後期型と呼ばれる「SK1型」に装着される
ランププレートの形状が大きく違います。

各所のインプレは大体同様の意見となっており、
初期型用はフラットな変速、後期型用は高回転でキビキビした変速
と言われております。

私も、両方を使い比べたところ、同じ様な結果でした。

ところが、初期型のランププレートを使用して初めて気がついたのですが、
初期型のランププレートに比べ後期型のランププレートは
セッティングし難い様な感覚に犯されて来たのです。

果たしてこの感覚は本当なのか?
今更ながらランププレートの構造を観察しながら、考えて見る事にしました。


< 目 的 >

変速感覚の違う、初期型用ランププレートと
後期型用ランププレートの違いを考えます。


< チョイス >

     <   チョイス   >
 今回、私がチョイスしたのはコレ。
純正の初期型用のランププレートと
後期型用のランププレートです。

左が初期型用、右が後期型用です。


< 内 容 >

     <   比較 1   >



先ずは全体像。
もうお馴染ですね。

上が初期型用、下が後期型用です。


     <   比較 2   >

上が初期型用ランププレートの拡大写真、
下が後期型用ランププレートの拡大写真です。



WRの転動面の角度が初期型用が
フラットなのに対し、後期型用は角度に変化があります。

始まりの角度が起きていて強く、真中で寝ていて緩やか、
そしてエンドの辺りでもう一度角度が起きて強くなっています。

     <   解析 1   >

それでは、転動面の角度の変化が大きい後期型のランププレートに
注目して行きましょう。

ここから先は、ほぼ私の勝手な推測と解釈です。

では何故、ランププレートの転動面の角度に変化を
付けているのでしょう?

考えられる理由としては、速度によって変速の回転数を
コントロールする事にあると推測します。

「プロジェクト/駆動系/ウェイトローラー」で説明しているとおり
回転中、遠心力を発生するウェイトローラーはその質量により
重いと強い遠心力、軽いと弱い遠心力になり、その差の相殺には
エンジンの回転数が関係していることを説明してあります。

それと似た現象なのですが、
ランププレートの転動面の角度が起きていると、
WRが移動する際、抵抗が大きくなります。

逆に転動面が寝ていると、WR移動時の抵抗は少なくなります。

抵抗が大きい場合、WRが移動するには、より大きい遠心力を
必要とするので、変速回転数は高くなります。

抵抗が少ない場合はその逆になり、回転数が低くなる訳です。

いまいち、「ピン」来ない方は、下の図をどうぞ。



地面に杭を打とうとした時、杭の先が鋭利だと、
小さい力でも地面に打つことが出来ますね。



しかし、杭の先が鈍角だと、鋭利な先端より杭を打つ力が
必要になります。

この力をWR、杭の先の角度をランププレートの転動面に
例えれば判り易いのではないでしょうか。

後期型のランププレートは、低速域は高回転で変速し、
中速で変速回転数が落ち込み、そして高速域になると
再び高回転で変速するようになる特性であることが判ります。

この様な特性は、プーリー側の形状でも出来るのですが、
プーリーは鋳物の為、鋳型の作成コストがかかります。
また、場所により肉厚が変わるので強度的な考慮も必要です。

初ロットからの投入であれば考えられなくも無いですが、
今回は仕様変更なので、プーリーの型を変更することは
至難だったのではないでしょうか?

その点、ランププレートは、鋳型より安価なプレス型なので、
変更も容易です。
また、一枚の板から作成するので、
肉厚の変化も最小限に押さえられます。

ですので、変速特性の基本はプーリーで、
小さい味付けはランププレートで、
という役割と考えて良いのではないでしょうか。

     <   結論 ?   >

そろそろ、結論と行きましょう。
勿論、私の勝手な結論ですが・・・。

上のグラフは、初期型、後期型ランププレートの変速回転数と
速度の関係を表した物です。

後期型のランププレートを装着して走行した方は
体感していると思いますが、
スタート後、30km/h辺りで変速回転数が下がってきます。

スタート時に回転が高いのはクラッチのオーバーシュートかな?
と思っていた方もいらっしゃると思いますが、
クラッチのオーバーシュートはせいぜい10〜15km/h辺りまでです。

そのまま50km/h辺りまで、下がった回転数を保ったまま
その後は徐々に変速終了まで回転数が上がり、変速終了後は
エンジンの上限回転数まで伸びていくフィーリングの筈です。

私が、セッティングし難いと感じた正体は正にこの状況で、
WRの重量を変速回転数を中速域に合わせると、
低速域と高速域で高回転になってしまい、
逆に、低速域と高速域で合わせると中速域で
なんとなく重くなってしまう状況になっていたのです。

ただ、乗り味としては不満は無く、私の場合は街乗り主体で
低速域の使用率が高く、低速は高回転の方が乗り易かったので、
中速域で合わせる様なWRセッティングをしていました。

それでは何故、この様な面倒臭い味付けのランププレート
にしたのでしょう?

考えられる理由は2つあります。

先ずはスタート時の特性変更を目的とした物。
発売当初から、出足が苦手というレッテルを解消する為、
低速域を高回転化し、出足の鋭さを向上させたと考えられます。

そして、中速域の変速回転数ダウンは?
恐らく環境対策=騒音 を考慮した物ではないかと・・・。

直管爆音車両なんかを取り締まりで音量測定するときは、
レッドゾーン始まりの半分の回転数で計りますよね?
*私は昔計られました・・・。1db差で私の勝利=見逃し(苦笑)

コレと同じ様に、メーカーでも騒音を計測するときは
回転数なり速度なりの計測点があるのでは無いか?と・・・。

その速度の計測点が40〜50km/h辺りなのではないでしょうか?

低速域を高回転で変速させ出足が向上したものの、そのまま速度を
上げると騒音計測速度で基準値クリアにならない。

仕方なく、騒音計測速度で回転数落として騒音基準をクリア
させたものの、このままでは高速域でモタついてしまう。

なので、高速域で再び高回転化して中速域の遅れを取り戻す・・・。

こんな感じではないでしょうか?



< 注意事項 >

交換に関しての注意点はプーリーやWRを交換する際の
注意事項と変わりません。

常に回転している部品なので、作業漏れ等無いように注意してください。

走行直後に交換する際は、非常に高温になっており火傷の危険性があります。

ランププレートの転動面のエンドですがエッジの処理が悪くバリが立っています。
そのまま組み込むと、WRのアウターは削れてしまう場合があるので、ヤスリ等で
バリ取りしておくと良いと思います。

   


< 使用する材料 >

・初期型ランププレート
 プレート、ムーバブルドライブ  21431-11F00

・後期型ランププレート
 プレート、ムーバブルドライブ  21431-16F03

                              ・・・いずれも ¥750-位


< 使用する工具 >

・インパクトドライバー(クラッチケース)
・プラスドライバー
・プーリーロックレンチ(スズキ車用)
・17mmソケットレンチ


< 使用するケミカル >

・パーツクリーナー
・ウェイトローラー用グリス(必要に応じて)


< 参考文献 >

・特に無し


< インプレ >

コンテンツの中で、インプレ的な内容も盛り込んでしまったので
コチラで書くものが無くなってしまいました・・・。(爆)

ちなみに、私の得た情報で、国内の規制を気にしなくても良い輸出仕様の
ランププレートは初期型と同じ物をずっと使用している・・・・らしいです。