ブレーキフルードの補充・交換
< 能書き >
意外と、整備の中で忘れがちなのがブレーキフルード。
パッド交換やエアーによるタッチフィーリング悪化でもない限り
点検をする人は少ないのではないでしょうか?
パッドを交換しなくても、パットが磨耗した分それを押すピストンが
キャリパーから出てしまうので、マスターシリンダー側のフルードは
減ってしまいます。
基本的に、パットを使い切っても、フルードタンク内のフルードは
なくならない様に設計されているようですが、
元々注入量が少なかったりしますと、パットを使い切る前に
フルードがタンクから無くなるなんて事も考えられます。
そんな時は、パット交換までの間、少し補充してあげましょう。
また、OIL同様にフルードも劣化します。
特にキャリパー側は常に高温にさらされていて、過酷な条件下で仕事をしています。
また、吸湿性も強く、通常使用下で空気中の湿気を吸い、その湿気が高温で気化、
結果、キャリパー内のエアーとなってブレーキのタッチフィーリングにも影響します。
重要部ですので、整備経験の少ない方は難しいかもしれませんが、
交換の方法も紹介したいと思います。
< 目 的 >
減ってしまったブレーキフルードを補充します。
また、劣化したフルードの交換も実施します。
< チョイス >
< チョイス >
今回、私がチョイスしたのはコレ。
BP製 のブレーキフルードDOT4。
チョイスと言うより、いつも私は車に使った余りを使用します。
通常の純正はスズキブレーキフルードDOT4です。
< 内 容 >
< 工程 1 >
まずは、フルードが入っているタンクの蓋を外します。
< 工程 2 >
う〜ん。 焦げ茶色に濁ってますね。 汚い。。
ここまで来るとかなり劣化しているので交換です。
補充の場合はここにフルードを入れて完了です。
尚、蓋を閉める際、写真の黄○の部分がでっぱっているかも
知れないので、写真のように戻しておきます。
< 工程 3 >
ここからは、フルード交換です。
本来は、写真の機械を使ってパーっとやってしまうのですが
今回は、手動業でご案内致します。
ちなみに写真の機械。別にフルード交換専用ではありません。
良くホームセンターで売っている園芸用品、
その名も、「電池式噴霧機」なるもので、
水を蒔くのに使用するものです。
吸引の仕組みを逆にして外のホースで吸い込み、
フルードはタンクへ行くように改造してあります。
名づけて「強制フルード吸引機」←そのままやん!
< 工程 4 >
手動でフルードを交換する際に使うのはコレ。
ピンクチューブとワンウェイバルブ。
ワンウェイバルブは無くても作業出来ますが、便利アイテムです。
よく、レーサーレプリカのガソリンタンクの上部についてる
ガス抜き用のホースにつけるワンウェイバルブ。
ブリーダーが開いていてもキャリパーへの逆流を防いでくれます。
勿論、ワンウェイの向きは出口側に向けておきます。
< 工程 5 >
キャリパーのブリーダの蓋を取りピンクチューブをセットします。
< 工程 6 >
フルードタンクにはブレーキフルードを満タンにしておき、
この後、残量に気を使いながら作業を進めていきます。
キャリパーの色は気にしないで下さい。
ブレーキレバーを5回ほど握り、5回目を握ったままにして
キャリパーのブリードを緩めます。(角度にして90°位)
そうすると勢い良くブレーキフルードが出てきます。
この瞬間、ブレーキレバーは握りきってしまいますが
そのまま離さず、先にブリーダを締めます。
ブリーダを締める前にレバーを離してしてしまうと、
開いたブリーダから、折角排出したフルードを逆流させてしまう他、
最悪はエアーを吸引してしまい、キャリパー内にエアーを
入れてしまう事になります。
コレで、ブレーキレバー一握り分のフルードを
排出できた事になります。
再度、数回ブレーキレバーを握り、同じ工程を繰り返します。
フルードを抜いた直後のレバーは、全くタッチが無い状態ですが、
数回握り直す事により、タッチが回復します。
タンクにフルードを補充しながら、この作業を、納得が行くまで
繰り返します。
基本的には、キャリパーから出てくるフルードの色が綺麗になったら
フルードの入れ替えは完了したと判断しても良いと思います。
あとは、フルードの量を調整して、蓋を閉めて完了です。
< 工程 7 >
ここから先は更に難易度アップです。
フルードが完全に空の状態からです。
ブレーキホースをメッシュタイプの物に交換した場合や、
マスターシリンダー、キャリパーをオーバーホールした方なんかは
この状態からのスタートになります。
この状態で、フルードを入れ、工程4〜6を実施しても
なかなかキャリパーまでフルードが届かず、
時間がかかってしまいます。
これは、マスターシリンダーのポンプ部にもエアーが入ってしまい
十分な圧力がホースに伝わらず、フルードを上手くキャリパーに
送れない為です。
< 工程 8 >
そんな時はココ。
まずは、マスターシリンダーのバンジョウボルトの
部分でエア抜きをします。
ブリーダなんて無いので
(ブリーダ付きのバンジョウも市販されている様ですが・・)
排出されるフルードは撒き散らしとなります。
撒き散らしを防ぐ為、ウェスなどで周りを保護します。
作業は、工程4〜6と同じで、
レバーを握りキャリパーのブリーダを緩める感じで、
バンジョウボルトを開け閉めします。
最初は「ブジュベベベ・・」と空気交じりの何とも汚い音で
フルードが飛び出してきますが、次第に音が無くなり
フルードが湧き出る感じになります。
こうなると、次第にレバーのタッチが出てきます。
レバーのタッチが出てきたら、工程4〜6の作業に移行して
フルード交換を完了させます。
< 注意事項 >
重要部ですので、作業には十分注意して、
少しでも異常を感じたり、自信の無い時は専門のショップ等に見てもらいましょう。
フルードが目等の体内に入らない様、注意しましょう。
エアー抜きは十分に行い、走行中、少しでも異常を感じたら走行を中止しましょう。
フルードは非常に吸湿性が高い性質があります。
雨天時等の湿度の高い日の作業はなるべく避ける事をお勧めいたします。
< 使用する材料 >
・BP製 ブレーキフルードDOT4 ・・・1L ¥2,800-(だったと思う)
・3or4φピンクチューブ 1m
・ワンウェイバルブ
・廃油用ペットボトル
< 使用する工具 >
・プラスドライバー
・8/10/12mmメガネレンチ
・園芸用乾電池式噴霧器改(番外)
< 使用するケミカル >
・ブレーキクリーナー(必要に応じて)
・ウェス(必要に応じて)
< 参考文献 >
特になし
< インプレ >
作業時間としては、私が実施して
補充だけなら、3〜5分
フルードが入った状態での交換は、10〜15分
フルードが空の状態からは、15分〜25分
ぐらいです。