クラッチアウターの加工  (内径拡大偏)


< 能書き >

V100のクラッチを導入してからというもの、当たり出しに専念していましたが、
どうも中々当たりが出ない・・・・。

棒ヤスリを使い、強制的に当たり出しを慣行しましたがそれでもダメです。

状態は、かなりクラッチの開き初めでシューがアウターに当たっているようで、
テコに近い部分に当たりが付くだけです。

コレでは、シュー面積の広いV100のクラッチをチョイスした意味がありません。

ひょっとして、V100とアドではアウターの内径が違うのか!?
V100のアウターが無いので判りませんが、わざわざ購入する気にもなりません。

テコ側が当たると言うことは、現状ではクラッチアウターの内径が
狭いということを意味しています。

それならアウターの内側を削ってしまえ! 
と、とりあえずやってしまうのがアド通のモットー。

実家にあるスペアエンジンからクラッチアウターを外し、
その足で友人宅へ。
強引に翌日の昼休みに加工してもらい、その日の夜には
装着、試走・・・・。

思い立ってから、完成まで僅か3日の即席プロジェクトです。


< 目 的 >

本来であればアウターを削ることにより得られるメリットは次の通りで、
目的もそれに沿った物になるハズですが、今回、私の場合はとりあえず
クラッチの当たり出しです。。。

< メリット >
・アウターとクラッチシューとの距離が広くなるので、ミートまで時間がかかる。
 (クラッチミートのタイミングが高回転よりになる)
・アウターの一番外側を削るので僅かな軽量化でも効果を大きく得られる。
・クラッチシューの重さはそのままにミートタイミングを高回転化できるので
 軽量クラッチの様にクラッチシューの圧着不足の心配がない。

< 念のため、デメリットは・・・ >
・クラッチアウターの強度が下がる(極度に削った場合ですが・・・)
・クラッチアウターが薄くなるので、熱伝導が良くなり、熱ダレが早くなる。
・クラッチシューの移動距離が増えるので、クラッチスプリングのヘタリが早くなる。

です。


< チョイス >

     <   チョイス   >

今回、私がチョイスしたのはコレ。
なんの変哲もない、ノーマルのクラッチアウターです。

どーでも良いですが、見てください。
この焼けっぷり。

チタンぢゃないですよ。


< 内 容 >

     <   比較 1   >

いきなり完成品と比較です。

左がノーマル。

右が加工品。

やり方は、知ってる人にとっては、至って簡単で、
旋盤に咥えて、バイトで内側をスリィッ!と行きます。
(↑私がやった訳で無いですが・・)


     <   比較 2   >

近づいてみました。↑はノーマルです。



コチラが加工品。

因みに、どの位削ったかと言うと、0.5mm程、切削しました。

     <   問題 1   >



コレは、実際に旋盤で回してみて判った事なのですが、
加工してくれた友人曰く、
「これ、偏芯してたよ・・・」と・・・。

どの位かというと、約0.4mmブレてたそうです。

原因は、上の2枚の写真。
スプラインの部分は溶接で接合されいるのですが、
精度が今ひとつらしく、真中に溶接されていません。

当然、削るときはスプラインを中心に芯出しをしながら
削ってもらいました。

その為、バイトが最初に当たった所を基準に
削って貰ったので場所によって、0.5mm削れた所と
0.1mmしか削ってない所があるそうです。

因みに、アウターの側面にどうも製造時にバランス取りを
したっぽい穴があいているのですが、
芯出しをした後は逆にこの穴の為に
バランスが狂ってしまう事になります。

本当は反対側に同じ穴を開けたい所ですが、
今回は即席なのでパスです。


     <   比較 3   >

上はアウター加工前のクラッチシューの当たりです。
いくら、手動で当たり出しをしても、こんな感じです。
コレでも、装着から1500kmも走行した状態なんです。



コレが、アウター加工後1週間の様子です。
無理矢理オフ会前日に装着して走行距離を稼いだので、
距離にして、約140kmです。

いやぁ〜、どうです?

毎日必死にヤスリでクラッチを削っていた苦労は
一体何だったんでしょう?
予想通り、問題解決? です(笑)



< 注意事項 >

強度を要する部分なので、くれぐれも削り過ぎに注意して下さい。
また、定期的に点検を行い、クラック等が少しでも有ったら、使用を中止しましょう。

クラッチアウターの材質は、非常に硬い様で、旋盤のバイトも
それなりの物を使用しないと、削れないので注意しましょう。


< 使用する材料 >

・アドレス110用 純正クラッチアウター
 品番 : 21220−04C21
 品名 : ハウジングクラッチ


< 使用する工具 >

・インパクトドライバー(クラッチカバー)
・シザースホルダー
・プーリーロックレンチ
・14-17mmメガネレンチ
・ラジオペンチ
・旋盤


< 使用するケミカル >

・パーツクリーナー 必要に応じて
・工業用オイル (旋盤)


< 参考文献 >

特になし。


< インプレ >

芯出しのお陰なのか、はてまた、クラッチシューの当たりが最適化
されたお陰なのか、クラッチインから最高速まで心なしか良い感じです。

肝心なミートタイミングは加工前が5100rpm程度でクラッチインだったのが、
加工後は5400rpmと約300rpmほど高回転寄りになりました。
(あまり変わっていませんが・・)

シューの当たりが出てきてからの加速タイム計測はしていませんが、
加工前に発生していた、90km/h以上から、速度が伸びず回転数だけ
上がってしまう、症状(高速でのクラッチの滑り?)は無い様で、
ノーマルプーリーながら楽に95km/hを超えて行きます。
(流石にそれ以上は辛いみたいです。。)

今後、WRの再設定も含め、煮詰めて行きたいと思います。