ここでは、北海道で実際にトドを食べている地域があるので、事例として紹介したいと思います。 紹介するのは、日本最北の島、礼文島。ここでは、害獣駆除として撃ったトドを肉、脂身まで解体し、地元で消費している。聞けば、交通の便が発達していなかった頃から、冬期間閉ざされた地域での重要なタンパク源であったというのだ。さすがに今はそんな時代ではないが、今でも好んで消費する人たちは多く、1頭上がるとほぼ1つの町内で消費されてしまう。
例えば、指と指の間の脂身を一度湯がき、酢味噌で和えたものがある。味というよりは、歯ごたえを楽しむ感じの料理だ。 (写真右→)
また、知床の羅臼でもトド肉を食べる習慣がある。観光客向けの食堂も有名だが、ハンター(トド撃ち)に教わった教わった食べ方は普通の焼肉だった。たれは醤油で、ここに多量のコショウを入れてつけて食べる。どんなにコショウを多く入れても辛くならないのだとか。この方法で食べたが、確かになかなかの味だった。焼肉にする肉は礼文のような血抜きは行っていないが、撃った後に海中に数日入れておき、自然に血が抜けるのを待つという方法を取っていた。 さらに、札幌のすすきのにもトド肉を出すお店がある。知床らうす亭というお店で、大和煮、から揚げ、ルイベ(凍らせて薄くスライスしたもの)の3種類を出している。女将さん曰く、「駆除され、ただ死んだのではもったいないので、有効活用したいと思って出している。貴重な種だということも知っているので、宴会料理などには出さない方針だ。お客さんの中には批判の声もあるし、意外とおいしいと言って、北海道の思い出にしてくれている場合もある。」とのこと。トド問題に直面している1つの現場がここにもあると私は勝手に思っている。
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