習志野隕石


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2020年7月2日、02時32分03秒、神奈川県上空から東京湾北部に向けて明るい火球が出現した。
落下映像は藤井大地氏(神奈川)、KAGAYA氏、SonotaCo氏(東京)、高橋織男氏、司馬康生(兵庫)の自動監視TVカメラ
によって撮影され、上田昌良氏によって軌道計算された。
一方、SonotaCo氏も軌道計算から隕石落下の推定を進められた。
当夜の関東地方は曇りがちで、良好な撮影映像でないものも含まれ、明るすぎる火球のため映像が飽和している部分も含まれた。
さらに、経路途中以降で火球は分裂を示していた。これらの影響で、火球の位置測定は困難なものとなった。
それでも、消滅点高度が20km程度という初期計算の結果から、隕石らの落下が濃厚で、落下予想域が首都圏の
人口密集地の可能性があるので、直ちに集中的な調査が進められた。 その詳細はSonotaCo Networkの投稿参照。
大気突入時の地心速度は秒速16.6kmで、秒速4.6km/s程度まで減速した消滅点の地上高度は22.7kmだった。
KAGAYA氏の画像を含めて落下映像では、火球の分裂が確認できる。
分裂は、経路の半ばで数回発生し、小片が経路後方に遅れて飛行すると共に、経路末端付近で4個の分裂片が確認できた。
このうち、末端付近の分裂片は、主たる隕石と共に地上まで達して発見可能な大きさと見込まれる。

隕石落下推定計算の結果は、偏西風によって東に流され、千葉県習志野市から千葉市花見川区付近と見込まれた。
推定される落下質量は、最大破片について1.5kg程度と見込まれ、分裂片はそれより十分小さいと見込まれる。
大きな破片ほど大気減速が効きにくいため、遠く、すなわち東側に落下している。

さて、発見された隕石は合計3個、落下を推定した地域より北に1−4km程度ずれている。
発見された質量は1号が合計130g程度、2号が合計350g程度、3号が15g程度だが、落下のごく一部の可能性がある。
未発見のより大きな隕石がより東側に人知れず落下している可能性はなお残る。


落下予想域と隕石が発見された場所
赤の円が落下諸元を変えながら試算した隕石が落下したと予想する場所
星印が、隕石が発見回収された場所
(地理院地図に加筆)



Link
The Meteoritical Society
【国立科学博物館】「習志野隕石」が国際隕石学会に登録されました
国立科学博物館、火球由来の隕石の2つ目を千葉県船橋市で発見
【国立科学博物館】習志野隕石の新たな破片(習志野隕石3号)が発見されました