第203回 創造性の欠如を人気者でカバーの安易

社会に大きな影響を与えるものの筆頭はテレビでも、
番組内容の質の低下はますます顕著になっているようです。
視聴者の意向と制作現場の遊離が、視聴者のテレビ離れを起こし、
それらの原因を認識できないまま、知名度の高い人気者の力で
挽回を図ろうとしているかに見えます。
多くの局で同じ顔ぶれの司会者、同じ顔ぶれのコメンテーター、
アイドル等の使い回し現象が見られるのはそのせいなのでしょうか。

我が家のテレビ視聴は口にモノを入れている間だけ。
つまり食事中かおやつの間だけ。
お行儀が悪くても、今の状態のテレビを視るのに
わざわざ時間を割いてという気にはなれない。

食事中は大抵がニュースか報道番組なので都合がよい。
しかし、土曜の夜の食事の時間帯のニュース関連は
「情報7days ニュースキャスター」が唯一となっている。 
この時間帯にニュース番組を見たい人はこれを見るしかないので、
他局との競合がないと言う要素も人気者の起用とは関係なく、
視聴率のポイントになるはず。

司会業分野のビートたけしさんは今や絶大な人気を誇っている。
何しろ「たけし」の文字をタイトルにつけるとそれだけで視聴率が良くなるとか。
各局のテレビ番組欄に「たけし」の名前がついている謎に納得した。

それにしてもたけしさんのテレビ番組のスケジュールはすごい。
わたしがたけしさんの番組を視るのは口にモノを入れている20:30から
22;30くらいの間のみ。
メインのNHKのニュースウオッチ9が始まる前「世界丸見え特捜部」の後半部分と、
NHKのニュース番組がスポーツニュースに変わるころ
「ビートたけしのTVタックル」の後半にチャンネルを切り替えるけれど、
なぜか今はまったく視なくなった。

たけしさんの他の番組は視たことはないけれど、
視聴している番組だけについて言えば、内容は結構面白い。
たけしさんの名前で視る人もいるかもしれないが、
番組内容に焦点を合わせて視ている人もかなりいると思っている。
わたしなどは必要性の感じられない、たけしさんのわざとらしいかぶりものや
白塗りの顔を視ると、浮いているのではと気の毒に思うくらいです。

広い世間ゆえにあれらを視るためにチャンネルを合わせる人がいたとしても、
番組内容に興味を持って視る人の方が断然多いのではと思っています。
それゆえの視聴率の高さをタレント人気で持っていると勘違いして、
人気タレントの活用となるなら疑問があります。

かつてTBS開局60周年記念ドラマ「南極大陸」で、人気俳優の木村拓哉さんを起用し
莫大な予算を使ったドラマの視聴率がはかばかしくなかったと話題になりました。
要因はいろいろあるでしょうが、最も大きな要因は
木村拓哉さん人気にあやかろうとする安易なキャスト選考ではなかったか。
俳優は役作りである程度はこなせますが、木村拓哉さんの容貌で
昭和の厳しい時代の苦闘を描くのは相当違和感があったはず。
 
思うに人気とは何か。

絶大な人気を誇る歌手の曲がすべてヒットしない訳は?
人気スターの映画がすべてヒットすると限らないのはなぜ?
ほとんど無名のタレントのドラマがヒットするのはなぜ? 

ヒットの根本にあるのは、努力を積んで創りあげた内容(企画等)が放つ
人間の心に訴える力であるはず。
つまり、人気の力がすべてではないとの結論に達します。

しかし、世の中を席巻しているのは何につけてもこの人気度。
言いかえれば知名度のようです。
それゆえ人気を作るプロジェクトの度合いも激しくなり、電波をジャックしたりする。
フアンの方には申し訳ないけれど、AKB48やK-POPのような韓流人気の作られ方は、
わたしには異常に思えるものでした。

今やアイドルだけではなく学者や医師、弁護士等の
お堅いといわれるジャンルの世界にまで人気作りは行われています。
 
テレビ番組の制作現場さん、人気者起用が高視聴率などの妄想はもうやめませんか。
視聴者に失礼です。
良い内容の番組作りに励めば人気者を起用しなくても視聴率は上がるはず・・・ですから。

最近ヒットした「半沢直樹」の成功の原因は、現場スタッフが作りたいと思ったものを
作ったからだと言われています。
ある分析では、ドラマを見るのは20代〜40代の女性とか。
その好みに合うように「いつかどこかで見たドラマ」の乱立が目につくようになり、
視聴者に飽きられつつあった。

「半沢直樹」は、女性に人気のない男性路線のお堅いドラマでも
自分たちはこれを作りたいのだという現場の熱気が伝わったからという人もいる。

一見、なるほどと思わせる分析ですが、果たしてそれだけであれほどの高視聴率に
繋がったのでしょうか?
ドラマの視聴率に目をつけたメディアの発する横並びの、
「半沢直樹」狂想曲の奏で方は異常でした。(いつものように)
それに乗った一般の人のブログやツイター等の狂騒状態も半端ではなかった。

つまり、当初はそこそこ視聴者の気持ちを捉え話題になったドラマが、
いつの間にかメディアの格好の飯のタネやブログやツイターの話題提供のタネとなり、
実態以上の人気に輪をかけたというのが真実ではないかと、
ネット姫のへそ曲がり分析です。

異常なほどの、半沢、あまちゃん現象に、日本人の流されやすい特質が
浮き彫りになっているようで、背筋がすこし冷めたくなりました。

ちなみにここ10年以上はドラマは見ていませんので、
直樹さんもあまちゃんも残念ながら見てはいませんでした。


HOME  TOP  NEXT