第166回 クヒオ大佐に見る女性の結婚願望

知り合いの男性6人の死亡に関わっていると伝えられる、
世間を騒がせた女結婚詐欺師の存在はまだ記憶に新しい。

古くから結婚詐欺の犠牲者は女性に多く見られ、
うまい口実をエサにさんざお金を貢がされたあげく、
ポイと捨てられるのがオチだった。

今回はまったくその逆である。
しかもその犠牲者たちは金銭被害だけでなく、
命さえも奪われている悲惨な結果に終わっている。

結婚詐欺事件の特徴は、男性が犠牲者の場合は
女性に優しさを求める傾向があるように思えるけれど、
女性の場合はお金や、地位、学歴を重視するようです。

それゆえに普通では考えにくい荒唐無稽な内容でも、
簡単に騙されてしまう側面があるのでしょうか。

以前「クヒオ大佐」という映画が上映された。
これは実在の結婚詐欺師をモデルにした映画であり、その荒唐無稽さが話題になった。

ウイキペディアに詳細が掲載されている。

彼は生粋の日本人でありながら、外見が白人に似ているということで、
ジョナサン・エリザベス・クヒオのアメリカ空軍特殊部隊パイロットを名乗り、
出身地はハワイ、父はカメハメハ大王の末裔、
母はエリザベス女王の双子の妹と称した。

女性の前に現れるときは、常に金ぴかの空軍の制服姿であったそうだから、
その突飛さに度肝を抜かれる。

まあ、これだけでも大抵の人なら吹き出してしまうところですが、
学歴がまたすごい。

6歳でワシントン大学を卒業から始まり、エール大学で弁護士資格を得て、
東京大学法学部大学院で法学博士号を得る。
伯母の要望もあってケンブリッジ大学にも留学していた時期がある。

さらにターゲットとなる女性には、
私と結婚すれば軍から5000万円の結納金が支給される。
イギリス王室からも5億円のお祝い金が出る。
ウェディングドレスはダイアナ妃のドレスも手がけたデザイナーに依頼する。
結婚式は故郷のハワイで盛大に行い、仲人は田中真紀子、
司会はKONISHIKIに依頼して快諾してもらっている。

このギャグのような内容で、銀座のホステスさんまで騙された。
銀座のホステスさんと言えば、夜毎の酒席で多くの上客の品定めをし、
その眼力は相当に鍛えられているはず。

それがなぜ、このような陳腐な内容に、コロリと騙されたのか。

つまるところ、彼女たちの結婚のキーワードが、
「地位、名声、財産」であったからでしょう。

今回の結婚詐欺被害男性たちも、
女性詐欺師に優しさやぬくもりを求める傾向があったようです。

メディアは、容姿がごく普通の女性でも「美人」「超美人」と表記し、
世間の興味をそそる手法が当たり前になっている。
それでもこの女性詐欺師に対してはさすがに「美人」とは書けなかったらしく、
その文字は見当たらなかった。

それにもかかわらず、女性詐欺師は男性たちから次々に大金をせしめている。

ニュースでその金額を知り、驚嘆した。
男性にこのような大金をはたかせるのは、
世間ではそれなりの美人と相場が決まっているからです。

この女性詐欺師に「美人」を使えなかったことを考慮すると、
なぜ、と思うばかりの大金を彼女はいとも簡単にせしめているけれど、
残るは女の奥の手の「優しさ」しか思い当たらない。

事実、女性詐欺師はそのあたりが巧みだったとか。

生き残った被害者男性はすべてがわかった後でさえ
「あの時間は幸せだった」と述懐しているという。
運が悪ければあの世行きになっていたにもかかわらずであるから、驚く。
被害者にこうまで言わせるとは、お見事というほかはありません。

女性が結婚を夢見るとき、男性に経済性を求めるのは何ゆえなのか。 

男女同権を世の中に声高に標榜していても、
結局のところ、女性は男性の経済力や名声に寄生して、
贅沢三昧をしたいということなの?

女性の結婚観が男性に対して、<地位や高資産>などを求める生活を望んでいるうちは、
幸せになりたいの「幸せ」の意味は、本来のものからどんどん遠ざかっているはず。

世間に溢れている女性雑誌の内容は、
いかにして経済性に富んだ男性と結婚できるか、
いうなれば玉の輿に乗れるかの記事が目玉になっているような印象さえある。
そのための化粧方法やファッション、振る舞いの逐一さえも伝授することに
ページを割いているものもあるようです。

蛇足ながら、クヒオ大佐は逮捕された後、
その手口などはワイドショーなどで報じられていたにもかかわらず、
刑期を終えて出所した後も、やはり同様の手口で女性から結婚費用を騙し取るなどし、
被害総額は約1億円と言われているから、理解に苦しむ。

女性の結婚願望の価値観が変わらない限り、
クヒオ大佐のような結婚詐欺師の出番はまだまだあるようです。

ちなみに興信所の調査では年間約600件、
毎日2件ほどの結婚詐欺に関する調査依頼があるという。
そのうち30代の90%はインターネットで知り合っているもの。

今回の事件の女結婚詐欺師も30代。
インターネットを盛んに駆使していたというから変に納得してしまいました。


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