新エッセイの部屋

第1回 ・・・・ 初 春  チ ュ ー リ ッ プ

 新年を迎えてフラワーショップの店頭には、春の花が出始めています。ラナンキュラス、アネモネ、ポピー

などキンポウゲ科の花が私は大好きです。女らしくて優しげで、それでいて芯はしっかりしていて、なんだか

日本女性の鏡のような気がします。

 さて、これらの花を私はできるだけ鉢植えで買ってきます。その方が切り花よりも長く楽しめますし、最初

の花が終わった後で根元からちょっぴり栄養不良気味に生えてくる花がまた良いのです。なぜか元気に咲

いた最初の花よりも絵心がそそられたりするのですから不思議ですね。鉢植えの花の方が切り花より長持

ちするとはいってもそこは生き物、こちらの思い通りにはゆかないこともしばしばです。

 普段はベランダに置いてあるので描くために部屋に入れたりすると即、部屋の温度に反応してつぼんで

いたものが、みるみるうちに全開するのです。チューリップやアネモネなどが特にこの傾向が激しくて、半開

きの状態を持続させるには一工夫必要です。先ず部屋の暖房を切きります。当然陽の当たる部屋はそれ

だけで暖かいから不向きです。足温器、電気膝掛け、そして背中にホカロンをペタンと貼っていざ花と向き

合うのです。 可愛い花のフォルムができるだけ持続した状態の中で絵を描くための舞台裏の話でした。

 さてその気温に敏感なチューリップですが何とも可愛いものです。

「咲いた咲いたチューリップの花が  並んだ並んだ赤白黄色 どの花見てもきれいだな・・・・・」

初めてこの童謡を耳にし、チューリップの花を知る幼子も多いのではないでしょうか。その幼子の初心に

返り描く原点を見つめ直す花として一番ふさわしい可愛いチューリップを新年のご挨拶としてお届けします。

                                                2005年 初春  三さ子

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