アストロサンダー7
ASTRO THUNDER 7
(スーパーサウンドデシコム/エポック社)
Written by 史


その頃の日本って

電子ゲームの終末期である1983年には、SF映画の金字塔「スターウォーズ」の第3弾「ジェダイの復讐」が上映されて、日本はまさに「スターウォーズ」一色でした。まさに、去年の「エピソード1」の時のようにです。関連商品が次々と売られ、家電などのデザインも、その世界観に影響され近未来を意識したものになっていきました。そんな中、翌年の6月にエポック社より発売されたのがこの「アストロサンダー7」なのです。

脅威のNEW TYPE SYSTEM「2S+3D」

2S=2 スピーカー ステレオ サウンド。3D=3 次元グラフィック効果という事でこの2つ概念を直和したものらしいです。他のFLとは一線を画し「スーパーサウンドデジコム」と銘打っており、高性能な電子ゲームであると主張してます。(ただし、このシリーズはこのアストロが最初で最後)サウンドに関して言えば、残念ながら全くステレオには聞こえません。このように高性能であることや、筐体にスイッチやボタンが多いほど、子供たちの人気を獲得していた当時を思い出しました。

史、大絶賛!全てのFLの中で1番デキが良いです!

では、良さの特徴的な部分を5つに分けて紹介しますね。

1.サウンドが、
ピコピコ音でなく、サンプリング音だからっ!「ジュボォォーン!!」とか「ウィーーン!、ウィーーン!」といいます。ビームの発射音も「テロ」じゃありませんよ、「クゥィィィー」です。ちょっと発音して、想像してみてください。

2.3DシューティングのFLだからっ!
横シュー、縦シューはいろいろありますが。
3DのFLはこれだけ!奥へと超スピードで突進して行く表現が非常に優れています。なお、加速や減速が設定されており、攻撃に幅を持たせてあります。

3.エポックのお家芸、ストーリー仕立てだからっ!
基地→渓谷→宇宙→要塞→要塞内進入→原子炉爆破と
スターウォーズ張りの展開をしていきます。PCで「レベルアサルト」というスターウォーズのシューティングゲームがありますね。ゲーム展開がそれと酷似していますので、この機会にやってみてはいかがでしょうか。

4.まんまスターウォーズだからっ!
敵機の形はタイファイター、デススターのような要塞が出てきます(
フェードイン!)。スターウォーズ好きなら、世界に一種しか存在しないFL版をGETせずにいられません!

5.何色も使ってカラフルで、キャラデザインがカッコイイからっ!
カラーセロファンで多色カラーを再現する事に成功しています。筐体もデカイし、箱もカッコイイし、操作性も抜群、言うことはありません!って、絶賛してしまいましたが、あくまで主観です(^^)3Dスクロールが駄目という人には、勧められませんが、操作は楽です。敵ゾルダー宇宙要塞エネルギー源にビームを8発命中させると、「
ジュボ、ジュボ、ジュボ、ジュボ、ジュボ、ジュボ、ジュボォォォォォン!!」これを、是非体験していただきたいですねー。

確信犯?パッケージ・デザイン

スターウォーズです、間違い無いです。PC「レベルアサルト」のパッケージのデザインと非常に近い印象を受けます。さらにセガのSGシリーズ専用ソフト「スターフォース」までそっくりさんです。
「スターウォーズ」といったら、「Xウイングのコクピットから見えるデススターの原子炉へと続く渓谷」での戦闘の光景と
相場が決まっているようです。

エポックものには元ネタあり!?

余談ですが、「幻魔タイタン」はオリジナルか?というと、実はそうじゃないんです。これもまた当時、CG合成で話題になったSF冒険映画「タイタンの戦い」が元ネタなのです。何でそんなことが言えるのか、不思議に思われる方のもいるでしょう。だって、箱を見てください。各キャラの名称や、ストーリーがそのままでしょう。

入手難易度もトップクラス!!

残念ながら、これはそう簡単には入手できません。その理由として挙げられるのが、’83年の任天堂「ファミリーコンピュータ」の登場です。この頃になってくると、テクノロジーも発達してきて、より細かな表現を玩具で実現できるようになりました。つまり表現力に限界がある電子ゲームより、自由度が高く、比較的安価で沢山のゲームが遊べるTVGの方が、断然子供たち(当時の私たち)に好まれたのです。子供たちは、こぞってファミリーコンピュータに飛付いたため、玩具屋さんはこれらの電子ゲームが不良在庫となることを警戒して、仕入れを敬遠したため、玩具屋さんでの遭遇数も、グッと減るという訳です。
ただ、望みがないとは決して言いません。
先見の眼の無い店主は、1ダース(12個入)の「アストロサンダー7」を仕入れ、そのダンボールごと倉庫にしまっている可能性は大きいです。FLは大きく場所をとるため、奥に引っ込めてしまったという話をよく聞きます。このゲームを発見するときは、きっと日焼けなど無い、まるで今日発売されたかのようなコンディションで発見することでしょう。

玩具屋さんは軒並みつぶれていきます。関東はほぼ壊滅しました。電子ゲームに出会えるチャンスは、あと2年ぐらいが限界です。さあ、発掘に出かけるのです!

MAY THE GOT OF FL BE WITH YOU...
あなたにFLの神が降り、この電子ゲームを手にすることを願って。



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