ザ・ブロック
THE BLOCK
FL/バンダイ


Written by 史
FLザブロック!
 
ブルックリンの街並を身軽な着こなしで歩いていそうな若者。フッ素を配合した洗剤(ザブ)。あるいは、16世紀半ばに、我が国にキリスト教を宣教しにやってきたポルトガル人(フランシスコザビエル)。このように、様々な物事を彷彿とさせるこの響き、ザブロック。ザビームギャラクシアンとはいわず、ザブロック。あらゆる言葉の相似集合のなかに埋もれている、このゲームですが、他よりただ1点だけ抜きん出ているものがあります。それは、流線型。この珍妙なシェイプという、唯一無二の視覚的自己主張を、我々は興味深々と観察しています。


ノリノリのSOUND!
 
お分かり頂けるか不安ですが、オープニングはなんと「テテレレ テレレー, テレー テレー, テテレレ テレレー, テー レレレー(名称知りません)」なのです。電話の保留音でよく耳にする、あの音楽ですね。
造形美というステータスを十分に失墜
させている、このアンバランスさ。40過ぎの開発員が、風呂場で歌う鼻歌をテスト版に設定しておいたら、その試作品が企画会議も開かれることなく、そのまま市場に出てしまったという感じがします。
このサウンドを耳にした当時の子供達は、皆落胆したことと思います。しかし、21世紀のこの時に、改めて聞いてみると、なんとも心温まる柔和な響きに変貌を遂げていました。20年という月日が我々を成長させたのでしょうか
「メリーさんの羊」
だったらなお良かったのにな、というような有り様です。気が付くと前世紀の子供騙しに、大人になってから騙されているんですね。では最後に、極めつけです。ゲームオーバーは、なんと「クレイジークライミング」です!
 
ゲームは5種類、全部「ブロック崩し」!
 
限られた「ブロック崩し」という遊びのなかで、考えうる全ての工夫を盛り込んでいるようです。
難易度の設定は「ラケットの大きさ」、ゲームの種類は「基本」「障害A&B(ボールを跳ね返す障害物がある)」「エイリアン(ブロックが点灯した時だけ消すことができる)」「ピンボール(ブロックが左右に移動する)」の計5つ、操作系統では多種のボタンと擬似アナログ(デジタル入力)のパドルコントローラーで盛り上げてくれます。
でもやはり、「ブロック崩し」は「ブロック崩し」。画面にはブロックしか表示されません。そういう意味でも、やはり「ザブロック」なんです。
 
 
パドルで雰囲気再現!


ザ・ブロック&ビームギャラクシアン
入手経路(ほのばな〜)
 
僕は以前より「FLビームギャラクシアン」が欲しくて、方々の玩具屋さんを巡っていました。
これは、オークションなどでも高値が付き、入手困難な部類にはいる人気機種です。あるとき知人のKさんから垂れ込み情報をいただいて、JR中央線のM駅にある玩具屋さんに出向いてみました。
なんと、そこには「FLビームギャラクシアン」と「FLザブロック」が1個ずつ並んで売っていたんですね。もう、嬉しくてたまらなかったですね。
良く考えて見ると、自宅から電車で15分の僅か10kmのところに、目当てのものが売っているんですから、不思議なものですよね「欲しいもの、遠からぬ場に、ありにけり」といったところですかね。ところで、この2つの筐体を見比べてみてください。底辺の部分が「ザブロック」は「凸」、「ビーム〜」は「凹」になっています。こういうちょっとした変化を加えてあるのが、嬉しいですね。
 
それからもうひとつ、この玩具屋さんには、ネットを通じて知り合った友人O(我がHPでおなじみのRED FOX)さんと、初対面を迎えた日にも行きました。
「スペースディフェンダー」を手に入れる夢を20年間も胸に抱き続けてきたのだ、と彼から聞いていたので、それなら売っているので、一緒に行ってみようということになったんです。
その日はわざわざ2人で高尾山に登って苦労したあとで、ゲーム入手という20年越しの念願達成の感慨に浸ろうという計画まで立て、つつがなく実行してしまいました。山頂で「(帰電の)掲示板でT鈴木さんが、オイラの発言流すんだよ〜」とつぶやいていたのが、今でも耳に残っていますね。
 
あ、結局「ザブロック」は面白いのかという問いに対してですが、その答えはNO!
 



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