スピッドボールスパーキー
SPIDBALL SPARKY
ゲーム&ウォッチスーパーカラー/任天堂


Written by T鈴木


シリーズ異色作

シリーズものって、長く続けば続くほど、怪作、迷作、異色作が生まれるものです。
ゴジラシリーズの「ゴジラ対ヘドラ」や、必殺シリーズの「翔べ!必殺うらごろし」。ガンダムシリーズでも「機動武闘伝Gガンダム」なんてありました。
大抵が、マンネリを防ぐ為だとか、あるいは本当に血迷って作ったとしか思えない(?)ものもありますが、まあ一般的には評価が低いものが殆どです。
そして我らがミリオンヒット商品「ゲーム&ウォッチシリーズ」にもそんな例に漏れず、怪シリーズがあります。
その名も「スーパーカラーシリーズ」!(ドドドン!)
名前だけ聞くと凄そうなこのシリーズ、一体いかなるものなのでしょうか?その代表格と言うべき「スピッドボールスパーキー」を今回は紹介しましょう。

それはねぇだろ

スーパーカラーシリーズは、ゲームウォッチ最後のシリーズとして1984年に発売されました。
シルバー、ゴールド、ワイド、マルチ、そしてパノラマ・・・・と、これまで続いてきた一連のシリーズの最後を飾るに相応しい「スーパーカラー」という大胆な名称。
「きっと単独でカラー液晶を再現した、めちゃくちゃ美しい画面に違いない!」
そう思って購入した人は一斉にひっくり返りました。
何とスーパーカラーとは、液晶カバーに4色のカラーフィルムを貼り付けただけの、まるで初期のカラーセロファンインベーダーのような擬似カラーだったのです!
「おいおいそりゃねぇだろ!」
そう皆さん叫んだはずです。
そりゃあそうでしょう。これより以前に、サウンド、グラフィックともに優れているパノラマスクリーンが既に出ていたのですから(しかも同値段の6000円!)・・・・。


なぜ発売された!?

なぜ任天堂はいまさらこのような物を発売したのでしょうか?
もしかすると、パノラマのプロトタイプ(試作品)として開発はされていたものを、「ええ〜い、これも出しとけ!」と、商人(あきんど)根性丸出しで取りあえず発売してしまったのでしょうか?
あるいは、この当時既にファミコンに市場が移りつつあり、開発メンバーの多くがそちらにかかりきりになってしまったからでしょうか?
どちらにしても、案の定この「スーパーカラーシリーズ」は大不評で、当時G&Wにハマった人の中でも「知らない」という人が大半です。
かと言って「幻のゲーム」という大層なモノでもなく、現在でも古い玩具店などで大量に積まれているのを目にします。
もはや救いようがないですね(笑)。
バーチャルボーイを見たとき、「スーパーカラーの再来だ!」と思ったのは筆者だけではないでしょう(笑)。

内容はブロック崩し

左の画像の自機(スパーキー)を操って、ボールを吹き上げてブロックを全て破壊してください。
そう、内容的にはブロック崩しそのものです。
しかし腐っても任天堂。そこは通常のブロック崩しに終始するはずもなく、移動する破壊不能の壁、消えたり現れたりするブロックなど、様々なアレンジが施されています。
まあだからと言って、しょせん前時代のゲームなので、それほど革新的ではないのですが・・・・。
今までオリジナリティ溢れるゲームを世に送り出してきたゲーム&ウォッチ。最後のシリーズで、こんなアレンジゲームを出してしまったのは至極残念ですね・・・・。
ところで、この自機スパーキー君。ラッパのような口に、2本足というフォルム。このゲームがなければ一体何の役に立つ生物なのでしょうか・・・・?(笑)


本体デザインの妙

ただひとつ、この「スーパーカラー」が、ゲームウォッチファンに受け入れられている点は、その本体デザインですね。
何と縦長ボディにシルバーメタリック!
これまでのゲームウォッチとあまりにもかけ離れた形状に、「シリーズらしくない!」と拒否反応を起こす人もいるようですが、実は「この本体だけは認める」といった固定ファン(ヘソ曲がり)も結構いるようです。
何を隠そう、筆者もその1人なのですが(笑)。

「電子ゲームは見て楽しめ!」
・・・・誰かが言った言葉ですが(誰!?)、まさにそれにピッタリはまるゲームです!
ってフォローになってないですか(笑



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