藤娘 歌舞伎鑑賞教室 2009.7.24 W250 | ||||
24日の千穐楽に、国立劇場で歌舞伎鑑賞教室をみてきました。
梅枝の「藤娘」。梅枝の藤の精は、無理してそれらしくやろうというあざとさが全くなく、自然の色香があり品格もあって素晴らしく魅力的でした。 何気ない風でいながら限界まで膝を曲げる中腰の姿勢の美しさに、鍛えあげられた柔軟な足腰を感じさせました。まだ22歳という若さながら折り目正しい芸を身につけ、面長でいかにも古風な女形という雰囲気を持つ梅枝の今後が本当に楽しみです。 ―曽我十郎、五郎兄弟の父河津三郎は兄弟がまだ幼いころ、領地の境争いから工藤祐経に暗殺された。・・・ それから長い月日がたった相模の国の曽我村の正月。曽我五郎は我が家で矢の根をといでいる。そこへ大薩摩主膳太夫が年始の挨拶にやってきて、宝船の絵を置いていく。 他のところも廻らなければならないからとあわただしく主膳太夫が帰ったあと、五郎は良い夢が見られるようにともらった宝船の絵を枕にして昼寝をする。 すると夢の中に、兄の十郎が現れて「敵の工藤の屋敷にとらわれているから、助けにきてくれ」と訴える。目覚めた五郎は兄の念力が通じたに違いない、助けに行こうと奮いたつ。 おりよく通りかかった馬士畑右衛門からむりやり馬を借りて、大根を鞭がわりに手に持ち、五郎は工藤の屋敷へと急ぐ。― 筋隈に車鬢、仁王襷を背負って大根売りの裸馬にまたがり、大根を鞭代わりに手に持って花道を入っていく五郎。「矢の根」は子供が初めてみる歌舞伎としては長さも内容もぴったりです。 五郎を演じた男女蔵は隈どりもよく似合って、ぱっと見て誰だろうとおもうくらいとても精悍な感じでした。ただ見た角度のせいかもしれませんが、身体つきが仁王様のような偉丈夫にみえ、全体に丸い感じがしなかったのは荒事として違和感があり、これからの課題かと思いました。仁王襷を掛ける後見の方たちの手際も立派でした。 最初の解説の段階で、亀鶴が丁寧に「矢の根」のあらすじと五郎のお節尽くしの台詞を説明したのも役にたって、小学生がメインのお客さんでしたが、とても熱心に見ていました。大薩摩の詞章だけを、電光掲示板で出していましたが、どうせなら台詞も全部出してしまったほうが良かったのでは?と感じました。十郎の亀鶴は柔らかさと夢枕にたった幻という感じがよく出ていたと思います。 「歌舞伎のみかた」ですっぽんからピカチュウのぬいぐるみを肩にのせて登場した亀鶴は、しっかりと小さな子供たちの心をつかむことに成功していました。子供たちは亀鶴の質問にも真剣に応えていましたし、最初から舞台にあがる子供たちがきまっていたため、よどみなく運んだこともよかったです。 この歌舞伎の解説は全くつまらなく感じることもありますが、今回は終始和気あいあいとなごやかな雰囲気で、亀鶴がシンになっての養成所の研究生たちによる立ち廻りも見事に小気味よくきまっていました。亀鶴は本当に子供好きな人なんだなぁという感じをうけるくらい自然に子供たちにとけこんでいたのに感心しました。 というぐあいで今月の歌舞伎鑑賞教室は、とても気分よく観劇することができました。 |
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この日の大向こう | ||||
最初は2~3人の方が声を掛けていらっしゃいました。大向こうさんも最終的におふたりいらしていたようです。 「藤娘」になると一際明るく気持ちよく響くお声が良い間で掛かり、踊りの雰囲気を一層もりあげていました。梅枝さんの「藤娘」がとても見ごたえがあったので、最後のころは一階からも数人の方が声を掛けていらっしゃいました。 |
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7月国立劇場演目メモ | ||||
●歌舞伎のみかた―亀鶴 ●「矢の根」―男女蔵、亀鶴、橘三郎、 ●「藤娘」―梅枝 |
壁紙:「まさん房」 ライン:「和風素材&歌舞伎It's just so so」