3 Minutes Networking
Extra No.2

3Minutes NetWorking

地獄極楽編

特別第2回telnetオプション Randomly-Lose

これを読み始める前に、3分間ネットワーキング第53回第54回第55回を読んでおくことをお勧めします。

■ Randomly-Lose

インター博士

ネット君。実はな。

ネット助手

なんですか、博士。深刻な顔をして。

インター博士

第55回とても重要なtelnetオプションをひとつ説明するのを忘れてた。

ネット助手

とても重要って…。
そんなミスをするなんて、博士らしくないですね。どんなオプションなんです?

インター博士

RFC748にあるRandomly-Loseというオプションだ。▼ link

ネット助手

らんだむりーろす?
「偶発的消失」?

インター博士

うむ、その偶発的消失オプションだ。

ネット助手

偶発的な、ランダムな消失のオプション?
とても重要というからには大事なオプションなんですよね。

インター博士

うむ。まず、偶発的消失について説明しておこう。
サーバやホストが、システムクラッシュやデータ消去、不正なプログラムの使用などを起こすことをいう。

ネット助手

インター博士

つまり、サーバやホスト、もしくは彼らがもつデータがそれらの原因によりネット上から消えてしまうことだな。

ネット助手

あぁ、だから「偶発的」な「消失」なわけですね。

インター博士

そうだ。これらの「消失」は非常に混乱を巻き起こす。
特にネット君のような初心者にとってそれはパニックを誘発するだろう。

ネット助手

ネット君のような」というところはどうかと思いますが。
初心者がパニくるというのはよくわかります。

インター博士

そういう嬉しくないサービスを提供してくれるサーバたちは非常に問題だ。
大体そういうサーバに限って、「よくダウンします」と文書化しないんだよな。

ネット助手

まぁ、普通そういうことを文書化してくれる律儀なサーバ管理者はいないと思いますが。

インター博士

いやいや、消失するというサービスを提供しているんだから、サービスは文書化しないとマズイだろう。

ネット助手

そういうもんですか?

インター博士

そういうものだ。
なので、ユーザがサービスを無効化する手段が必要ではないか、と思わないかね?

ネット助手

それは思います。

インター博士

その無効化するために、telnetオプションとして偶発的消失オプションが存在する。
これは偶発的消失を行なうためのオプションだ。

ネット助手

偶発的消失を行なうためのオプション?

■ オプション交渉

インター博士

うむ。デフォルトでは偶発的消失オプションは無効化されている。
つまり…。

ネット助手

つまり?

インター博士

偶発的消失は許されない
よって、故意であろうが偶然であろうがシステムクラッシュ、データの消去などは起こしてはならない。

ネット助手

オプションが無効化されているのならば、そういう「消去」は起こしてはいけませんよね。

インター博士

うむ。
もしサーバが偶発的消失を望むならば、ユーザ(クライアント)にオプション使用の許可を求めなければならない

ネット助手

ということは、telnetのオプション交渉を行うわけですね。

インター博士

その通り。
偶発的消失オプションのコードは以下の通りだ。

コード名前意味
0x100[Randomly-Lose] 偶発的消失偶発的なデータ・ホストの消失を認める。

[TableEX02-01:オプションコード]

インター博士

このコードを使って、オプション交渉する。

[FigureEX02-01:Randomly-Loseオプション交渉]

ネット助手

ははぁ。サーバがオプション使用を求めた場合、クライアントが拒否したら偶発的消失はできないんですね。

インター博士

そうだ。
絶対に偶発的消失をしてはならない。

ネット助手

そりゃそうですよね、使用が拒否されたんですからね。
当然ですよね。

インター博士

うむ。
確実にデータやホストは存在しなければならない

ネット助手

なるほどです。

インター博士

一方、使用が認められた、もしくはクライアントから使用要求が来てそれを許諾した場合は、すぐさま偶発的消失を実行する。

ネット助手

推奨されているのはディスクの初期化

インター博士

そうだな、それを実行できるようにしておくことが推奨されている。

■ オプションの使用

インター博士

このオプションは実装しないか無効化しておくことを希望されている。

ネット助手

実装しない?

インター博士

実装しないということは、偶発的消失をクライアントに認めてもらうことができないわけだな。

ネット助手

あぁ、なるほど。
つまり確実なわけですね。

インター博士

うむ。
さらに実装した場合は、無効化しておくことを希望されている。

ネット助手

それって結局…。

インター博士

うむ。サーバとそのデータは100%確実であることを希望されている、ということだな。

ネット助手

ははぁ。
サーバは偶発的消失サービスを使ってはいけない、と。

インター博士

そういうことだ。
重要なオプションだろう?

ネット助手

ええ、こんな重要なオプションを第55回で説明し忘れるなんて、ほんとに博士らしくないですよ。

インター博士

うむ。まったく弁解の仕様がない。
フォローできたところで、今回はここまで。

ネット助手

了解。
3分間ネットワーキング・特別編でした〜♪

RFC748
1978年、4月1日発表。
確実
[reliable]
コンピュータの性能評価では信頼性[Reliability]という訳がされている。
ネット助手ネット君の今日のポイント
  • ぜひ実装してほしいです。

3 Minutes NetWorking Extra No.2

管理人:aji-ssz(at)selene.is.dream.jp